Un?Happy New Year〜1月1日3:00〜
※このページは2008/2/27に追加されたものです※
沼に落ちた俺達はすぐに母屋の風呂場に案内された。
今夜は特別に冷え込んでいるから早く身体を温めないと風邪をひいてしまうのは解っている。
だけど…。
「じゃあ、ふたりで一緒に入ってね♪」
ニッコリと満面の笑みで美奈子が俺の着ていた服と一緒に、聖良の着替えに用意してくれた服を俺に渡しながら、当たり前のように言った。
「はあっ?美奈子ふざけんなよ。自分の言ってる事わかってんのか?」
「わかっているわよ。でも早く入らないと風邪引いちゃうもの。こんな時に恥ずかしいとか何とか言わないでね。
普通の時と状況が違うんだから。それに今は聖良ちゃんを一人にしないほうが良いわ。まだ少しフラフラしてるでしょう?」
「だったら美奈子が一緒に入ってやってくれよ。」
「あたしは無理。人手が足りないの。すぐに戻らなくちゃ、きっと今ごろパニックになっているわ。」
「じゃあ聖良が先に入ればいい。俺は後でいいから。」
「今日はこの冬一番の冷え込みなのよ。こんな日の凍りついた沼に落ちておいて順番に入ろうも何も無いでしょ!!これで佐々木君が風邪でもひいたら聖良ちゃんが責任感じるってわかんないの?」
痛いところを突かれてグッと言葉に詰まる。
俺が大人しくなったのを了解と思ったらしい美奈子は聖良に聞こえないようにこっそりと耳打ちした。
「佐々木君頑張ってね。隣りの部屋あっためてあるし好きに使ってもらって良いから。こっちには忙しくて誰も来れないからごゆっくりどうぞ。誰も邪魔しないわよ。」
「どういう意味だよ。」
「んふふ♪優しい先輩からのお年玉よ。新しい年を迎えて二人もStep Upしなくちゃね。聖良ちゃんもそろそろいい頃なんじゃない?」
「そういう状況じゃないだろ?」
「あら、この状況こそ神様からのお年玉だって思わない?聖良ちゃんの清らかな心が神様を動かしたのよ〜。神社で新春初えっちなんて普通ありえないわよ。
し・か・も・聖良ちゃんは初めてなんでしょう?最高のお年玉じゃない。」
「どこが!!」
美奈子の奴目が昔の少女漫画みたいにキラキラ光って完璧自分の世界に浸ってやがる。
こいつの暴走グセ何とかしてくれよ。
…ったく、何勝手な事妄想してるんだよ。
「もう、せっかくのチャンスなんだからモノにしなさいよね。じゃ、人手が足りないから行くわね。早く入ってちゃんと洗うのよ。あの沼は別名カッパ沼って言われるくらい生臭いんだから、臭い取れなくなっちゃうわよ。えっちどころじゃなくなっちゃうじゃない。」
俺が唖然として美奈子を見送っている間に、気が付けば俺の隣りで聖良が自分で袴を解き始めていた。
「聖良おまえそれヤバイって。俺そこまで理性が強靭じゃないぞ。」
「だって早く入らないと…。タオル巻いて入れば…ね?一人ずつ入っていたら絶対に風邪ひいちゃいますって。」
「聖良はそれでいいのか?その…男と一緒に風呂に入ったりした事ないだろう。イヤじゃないか?」
「ありますよ、昨日もお兄ちゃんと一緒に入りましたし…」
耳を疑う言葉が飛び込んできて一瞬固まる。
「…聖さんと?」
「ハイ。」
「冗談だろ?」
「ホントですよ。家族だもん一緒に入るのは当たり前でしょう?」
無性にイライラした感情が湧きあがってくる。
いくら溺愛しているからって一緒に風呂に入るってどうだよ。
兄妹だって言っても男と女だぜ?聖さん何考えているんだよ。
俺が心の中で聖さんに怒りをぶつけていると聖良がポツリと呟いた。
「でもお兄ちゃんったら酷いんですよ。昨日お兄ちゃんがひとりでお風呂にいる時に『入っていい?』って聞いたら凄く嫌な顔されたの。昔は良く入ったのに、昨日は気分が乗らなかったみたい。」
…頭が痛くなってきた。
聖良…おまえ子どもじゃないんだから聖さんの気持ちも考えろよ。
そりゃ、びっくりしただろうなぁ。聖さんだって。
「…俺は家族じゃないんだけど。」
「そうですけど。でも先輩はあたしにとっては家族と同じでとても大切な人ですし、こんな事になったのもあたしの不注意ですから龍也先輩が風邪でもひいたら…。」
「聖良恥ずかしくない?」
「そりゃ、先輩はお兄ちゃんじゃないから恥ずかしいですけど美奈子先輩も言っていたじゃないですか。こんな状況なんですから譲っている場合じゃないと思うんです。お願い一緒に入って下さい。」
確かにそうかもしれないけど…すげぇ拷問じゃないか?
聖さんと言い、美奈子と言い…なんで聖良とどうかなって欲しいと言わんばかりのお膳立てをするんだよ。
絶対俺をからかって楽しんでいるとしか思えねぇんだけど。
「聖良、俺おまえを襲わない自信のほうがないぞ。」
「大丈夫ですよ。だってお風呂でしょう。そう言う事ってベッドでするんでしょ?」
…聖良の頭には風呂場でっていうのはインプットされていないらしい。
「ハアッ…わかったよ。じゃあ聖良が先に入って身体を洗ってくれ。おまえが湯船に浸かったら俺が入るから呼んでくれ。それでいいか?」
「はい、じゃあそうします。ちょっとあっち向いててもらっていいですか?」
「あ、ああ…ごめん。」
背後で着物を脱ぎ捨てる気配がする。
俺の後ろで聖良が裸でいると思うと本能が理性を押さえつけ始める。
うわ…やばい。絶対ダメだって。理性もたねぇよ。
「じゃあ、あたし先に入っていますから。先輩早くその汚れた着物脱いで下さいね。濡れた着物を着ていると風邪をひきますから。」
背後で風呂の引き戸が閉まる音がして中から水音が聞こえ始めた。
ガラス越しに映る聖良の影に心拍数が限界まで跳ね上がっていく。
同時に欲求を堪えられなくなりつつある体が俺の意志とは反対にどんどん暴走していく。
まずい。
とりあえず落ち着くんだ。
聖良の裸を見ないで他に意識を持っていけば大丈夫だ。
落ち着け、落ち着け…。
だいたい昨日からおかしくないか?
聖さんはホテルに行くように勧めるし、美奈子は2人で風呂に入れと言う。
みんなして俺の限界を試そうとでもしているんじゃないかと思えてしまう。
「先輩。洗いましたよ。湯船に入りますから来て下さい。あたし見ていませんから大丈夫ですよ。」
聖良の声に心臓がズキンと痛むくらいの衝撃が走る。
俺の心臓…もう限界が近いのかもしれない。
いつ発作を起こしてもおかしくないと思うよ。
引き戸を開けて風呂に一歩足を踏み入れると、湯煙の中に聖良が俺に背を向けて入っているのがぼんやりと見えた。
思っていたよりずっと広く4畳半くらいの広さはあるんじゃないかと思う。
神社ってのは大勢で風呂にでも入る行事でもあるのか?
無駄に広い風呂場に疑問が湧いてくるが、今はそんなことはどうでも良い。
洗い場でとりあえず身体を洗おうとして、ハタと気付いた。
眼鏡が無くても見えない事はないが、自分の家と違う種類ではどれがシャンプーだか良く解らない。
手で触れてみても、市販のポンプ式のボトルのような印も無いようだ。
うーん…困った。
仕方が無い。ここは聖良に頼ろう。
「聖良さぁ、悪いんだけど俺、良く見えないんだ。どっちがシャンプーでどっちがボディーソープなんだ?」
突然ザバッと風呂から上がる音がして俺の傍に聖良の気配がした。
目が良く見えていないのと湯煙が手伝って、ぼんやりと輪郭くらいしか見えないのが今は助かっている。
「こっちがボティーソープです。で、こっちがシャンプー。これがコンディショナーね。わかります?」
「ああ…わかった。ありがとう。」
「龍也先輩、髪洗ってあげます。あたし上手なんですよ。お兄ちゃんにも良く洗ってあげるんです。」
「聖さんに?」
「そうですよ。子どもの頃は美容師さんになりたくて良くお兄ちゃんで練習したんです。」
そう言って俺の返事も聞かずシャンプーを手に取り洗い出す聖良。
確かに気持ちいいんだが…
問題は洗っている時に時々胸が背中に当たるんだよな。
聖良は何も感じないんだろうか?
オレはもう限界なんだけど?
髪を洗うと今度は背中を流してくれると言い出す聖良に、好意だけ貰って湯舟に戻ってもらう。
ここで身体を洗われたりしたら…
…絶対に終わってるな、俺。
聖良が視線を逸らして入っている乳白色の湯船の中に身を沈めると、ピクンと反応してようやく俺のほうを振り返る。
顔は見えないが、きっと頬を染めているんだろう。
もしかしたら真っ赤かもしれない。
「聖良の顔も見えないな。聖良は俺が見える?」
「湯煙が凄くてはっきり見えません。」
突然聖良がスッと俺の顔を確認できる距離まで近寄った。
「ここなら見えます。先輩は?」
「ああ、何とか見えるかな?少しぼやけているけど。」
そう、ぼやけているけど確かに聖良の色っぽい姿がすぐに目の前にあって…
気が付いたら聖良を強く抱き寄せてキスをしている自分がいた。
先ほどの聖良が闇の中に飲み込まれたときの恐怖を掻き消すように、何度も唇を求めて聖良の無事を確かめる。
自分の無意識の行為に驚きながらも本能が暴走を始めて自分の意志ではもうどうしようもない所まで理性が押さえ込まれていく。
「無事でよかった…。本当に心臓が止まったぞ。」
「ん…先輩…ごめんな…さい。…ぁ…苦し…。」
抱きしめる腕の力の強さに耐えられなくなった聖良が俺から逃れるように身を捩ると乳白色の湯の中から除く白い肌が俺の視線を釘付けにした。
直接触れる肌の熱と柔らかさに、感情が抑えきれなくなっていく。
「ごめん聖良。もう限界…抱きたい。」
「え?龍也先輩?こんなところで?」
「場所なんて関係ないよ。もう限界。聖良が欲しくてたまらない。」
「龍也…セン…パイ…?」
「聖良は子どもの頃から聖さんとお風呂に入っていたんだろう?洗ってもらった事はある?」
頬を染めて瞳を潤ませる聖良に、意地悪く訊いてみる。
「いいえ…無いです。」
「本当に?俺すげぇ聖さんに嫉妬してるんだけど。」
「なんでお兄ちゃんに?―…んっ…」
『なんでお兄ちゃんに?』だって?
身を捩って俺から逃げようとする聖良の動きを封じて激しく唇を奪う。
どうしてそんなことも解らないんだよ?
純粋な聖良が愛しくて、一秒だって早く俺のものにしてその理由を教えてやりたくなる。
「ダメだよ聖良。散々俺の事我慢させておいて逃げたりしたら…。これ以上は待てない。」
「我慢って…あたし先輩に悪い事していた…の?」
首筋に舌を這わせると甘い声が漏れる。
色っぽい聖良の姿に徐々に限界が近付いて、俺の声も擦れ始めていた。
「悪い事じゃないけど…男には好きな女と一緒だったら抱きたいって思う本能がある。今までも何度も理性が限界になったことあるんだ。いつの事かわかるだろ?」
「ぁ…っ…は…い。」
「好きな女と一緒に裸でいて襲わない男はいないよ。俺だって聖良が欲しくて仕方が無いんだ。頭では理性が我慢しろって言っているけど身体は正直だよな。」
ビクッと身体を硬くして戸惑う様に俺から視線を逸らして身体を離そうとする聖良。
「逃げるなよ聖良。俺となら良いって言ったよな?」
「それは…そうですけど…だってこんなお風呂でなんて…。どうして良いかわかんないんです。」
……そっか、聖良の頭には風呂場でっていうのはインプットされていないんだっけ。
「じゃあ、ベッドの上ならいいの?」
誘うように耳元で囁くと聖良の顔が真っ赤に染まる。
「…はい。」
小さな声で、でも確かに彼女は俺の気持ちに応えてくれた。
コクンと頷いて俺に身を預けてくる聖良にキスをしながら、あと少しだけの辛抱と自分に言い聞かせ、押さえ込まれていた理性を引っ張り上げると本能をねじ伏せる。
唇を離して聖良に微笑むと、聖良も頬を染めて照れたように微笑んでくれる。
「あがろうか。聖良から行く?」
「あ、ハイ。後ろ向いてて下さいね。」
「もう見ちゃったし良いんじゃないか?」
「イヤです。絶対に見ないで下さいよっ!!恥ずかしいんですから。」
「イヤって言ったら?」
ザバ―――ッ!!
「ぶわっ!!せ…いら?」
「お先にあがりま〜す。」
不意に頭から桶でお湯を引っ掛けられ驚いた隙に、聖良はすばやく俺の腕からすり抜けて行ってしまった。
やられた…。また逃げられたよ。
脱衣所で美奈子の貸してくれた服を見て『きゃ〜!!こんな凄いの着れないよ』と騒いでいる聖良に苦笑する。
美奈子の奴どんな服を聖良に貸したんだろう?
まあいいさ。すぐに脱がせる事になりそうだし。
聖さんと美奈子の喜ぶ顔が目に浮ぶようで悔しいが、ようやく聖良もその気になってくれたんだ。
…この後はもう逃がさないから…。
聖良が着替えたタイミングを見計らって湯船を出ようとした時に、一瞬軽い目眩を感じる。
同時に頭を過ぎった聖良が沼に沈んでいくイメージ。
そのイメージを振り切るように頭を振ると、少し嫌な予感を抱えながら風呂を後にした。
聖良を失ってしまうかと思った恐怖が背筋を寒くさせる。
絶対におまえを失うわけに行かないんだ。
聖良…おまえの何もかもが欲しい。
おまえの笑顔もその身体も…
おまえの人生そのものさえも…。
Next /
Novel Top
2008/2/27追加UPしました。…がっ、ギリギリR15でOKでしょうか?(^_^;)