〜☆〜Christmas Special Step 10〜☆〜
あれから1週間。俺はいまだに聖良に謝る事が出来ないでいる。
電話をして呼び出せば会うのは簡単だ。
なのに、それも出来ないでいる。
もし、聖良に拒絶されたら…
もし、本当に別れようって言われたら
もし、俺のことなんか嫌いだとはっきり言われてしまったら
色んな気持ちが交錯して、どうしても聖良に謝る踏ん切りがつかない。
聖良は…俺の事今、どう思っているんだろうか
今でも、少しは好きだと思う気持ちを持っていてくれるんだろうか
「佐々木、聖良とは別れたのか?やっと俺に譲る気になったんだ。クスッ…クールビューティといわれる佐々木龍也も聖良に掛かると形無しだな。
ここまで、不器用だとは思わなかった。ちょっとつついただけで、ここまで崩れるとはね。」
……最も聞きたくない男の声
怒りで身体が震えてくるのがわかる。
「浦崎…聖良には手を出すな。おまえには彼女に触れる資格なんか無い。」
「おまえならあるっていうのか。僕は聖良の純粋な心に自分を映したい。どんな手を使っても手に入れたいんだ。」
「聖良を傷つけてな。聖良の心が砕けても曇っても、それでもおまえは欲しいと思うのか?」
浦崎に言いつつも自分自身に問い掛ける。俺はムリにでも聖良が欲しいと思った。俺のした事は浦崎のしたことと何も変わらない。
俺のほうが浦崎より愛情が勝っているなんて、どうして言い切れるだろう。
「今までの女に関する事は自分のことながら確かに僕も酷かったと思うよ。でも今は違う。聖良だけを好きなんだ。聖良に僕を見て欲しい。そのために変われと言うなら変わるさ。
彼女の心を傷つけるのはきっかけを作ったあのときだけで十分だ。」
俺の愛情は浦崎よりも本当に大きいんだろうか?誰よりも聖良を好きだと思う。でも、この気持ちを形に表す事が出来ない限り、浦崎の気持ちが俺に劣っているとは言い切れない。
悔しいが確かに浦崎は本気だ。
しかも、真っ直ぐに聖良を見ている。
今までの噂が嘘のように周りに纏わりついていた女を遠ざけるようになっているのも本当だ。
だが…
「聖良は譲る気は無い。浦崎には悪いが諦めてもらう。」
俺は冷たい声音で言い放った。
そう、譲るわけには絶対にいかないんだ。
「ふぅ…しょうがない。話しても平行線だね。おまえたちがすれ違っているみたいだし、このまま自然消滅を待ってもいいかとも思ったけど…。」
ニヤリと口角を上げて不敵な笑みを漏らす浦崎に嫌なものを感じる。
「…待ってる必要はなさそうだな。宣戦布告するぜ。本気で聖良を僕のものにする。おまえにはもう止められないよ。」
不気味なほど静かな時間が俺たちの空間を流れていた。
鋭く投げつけてくる浦崎の視線を跳ねつける様に睨み返す。
聖良は絶対に譲れない
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別れを決定的なものにしたくなくて、聖良に連絡を取る事さえできないヘタレ龍也。
でも、本気の恋って失うのが怖いものですよね。不安になっている龍也の前に、あの浦崎登場!
本当に嫌味なヤツだよね。わざと波風立てておいて、宣戦布告しやがった。がんばるんだよ!龍也