〜☆〜Christmas Special Step 18〜☆〜
龍也先輩、どうしているだろう。
もう一週間も学校を休んでいる。
気がつけばクリスマスまであと、1週間を切っている。
先輩の為のプレゼント…彼女として渡せるのかな。
ママに携帯を取り上げられているから誰とも連絡が取れないし、メールすらできない。
自宅の電話はリビングにあるから電話をすればすぐにママにも分かってしまうしそれもできない。
ママはあたしが友達に色々聞かれる事でまた、パニックを起こしたり不安になったりすることを恐れているんだと思う。
正直、あの後のあたしは自分でも酷かったと思う。
毎晩悪夢を見てうなされて、怪我をした腕を振り回したりして傷を悪化させた事もあった。
突然不安に襲われて体が震えだし呼吸困難に陥る事もあった。
未だに夜は訳の分からない不安に押しつぶされそうになって身体が震えたり、眠れなかったりする。
ママが誰にも会わせない様にしているのは、まだ精神的に不安定なあたしが誰かと会って話すことで嫌な事を思い出さない様にとの配慮からなんだと思う。随分と心配をかけてしまったみたいね。
でも、亜希にだけは留学の前日に少しの時間だけど会う事ができた。
亜希には出発間際まで心配かけて、おまけに大切な夢への出発の日を見送ってあげる事もできなかった。
ゴメンね。亜希…。
こんな親友なのに、亜希は最後まで心配してくれて龍也先輩に伝言を伝えてくれると言ってくれた。
だから、「傷は随分よくなったし先輩が思っている以上に元気だから安心して欲しい」とだけ伝えてもらった。
そっけない言葉かもしれない。
でも、先輩があたしをまだ想ってくれているかさえわからない今、他になんて言葉をかければいいのかわからないの。
でも…龍也先輩にもまったく連絡が取れないと言うのも正直辛い。
きっと先輩は本当に心配していると思う。彼のことだから毎日メールとか送ってきているんじゃないかな?
返事がないのは電話もできないくらいあたしの怪我が酷いんじゃないかって色々考えているかもしれない。
自分の右手に巻かれた白い包帯が目に痛々しい…。
あの日の傷は随分と痛みも退いてきた。7針縫ったその傷も明日抜糸をする事になっている。
それでも腕の傷は癒えても心の傷は未だに夜になるたびに恐怖を連れてくる。
そんな時いつも龍也先輩の言葉を思い出す。
「あんまり無茶するな。心臓が幾つあっても足りないじゃないか。」
先輩はあたしを抱きしめてそう言った。
その言葉を思い出すだけで恐怖が少しずつ薄れていく。
あの時抱きしめられた腕の温もりがあたしを包むように不安を拭い去ってくれる。
龍也先輩はあたしの事を心配してくれた。
あの時、あたしの声が聞こえたって言ってくれた。
あたしが助けを求めているのがわかったって言ってくれた。
その言葉の一つ一つがあたしを安堵させ、不安な心を落ち着かせてくれる。
龍也先輩の言葉一つで、あたしは強くなれる。
嬉しかった。
やっぱり龍也先輩が大好きだって思った。
こんなにも、心が先輩を欲しいって思ってる。
もしもクリスマスのプレゼントにサンタさんにお願いができるのなら、あたしはもう一度龍也先輩と過ごす時間が欲しい。
龍也先輩があたしだけを見てくれる時間が欲しい。
もう一度…あの笑顔であたしだけを見つめて欲しい。
もし、龍也先輩があたしの事まだ好きだって言ってくれたら
そしたらちゃんと言うの。今度こそ…。
龍也先輩のこと誰よりも好きですって…。
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学校を休んでいる間に龍也への気持ちが益々募っていく聖良。
声が聞こえたと言ってくれた龍也の思いを身体で感じてどこか安堵したものの、やはり言葉で『好き』といって貰えないと不安は消えないようです。
ジレジレしますね(笑)こんなに想い合っているのに、いつになったら二人の想いは通じるのでしょうか。