*
交互に風呂に入って汗を流す。
瑞垣が風呂から出ると門脇が戻って来た日と同じTシャツと短パンが、封の開いていない下着と一緒に畳んで揃えてあった。
タオルを頭にかけたまま門脇の部屋へ向かう。
同じように短パンを履いた門脇は、足にガーゼを貼り直していた。
「まだちょっと、引きつる感じがするんじゃけどな」
もたもたとテープで固定する門脇の手からサージカルテープをひったくって、怪我をした所に貼り直してやる。
「ついでじゃから包帯も巻いてやるわ。お前、相変わらず下手くそじゃな」
「……うるさい」
黙って包帯を巻く瑞垣に、何かを考えている風な門脇が話しかけてきた。
「なあ、俊……俺、とりあえず大学に行って、オリンピックを目指す気なんじゃ。
プロの話もあるかもしれんけど、なんか……プロはまだ、違うような気がするから」
「……で?」
「だから……大学でまた、お前と一緒に野球、やれんか?」
虚をつかれた。
「お前の頭じゃったら……たいていどんな大学でも大丈夫じゃろ?」
瑞垣は何と返して良いのかわからなくなった。あまりにも意外な提案だったのだ。
「夢かもしれんが……俺、また、お前のいるチームで、野球をやってみたいんじゃ……」
瑞垣はとりあえず反論してみる。
「……お前が行くような私立大は金がかかり過ぎるから俺は避けたいんじゃけど。なんつっても妹がおるしな」
「……国公立のT大もあるじゃろう? な?」
「そもそも、今、オレは野球をやっとらんのじゃぞ。三年もブランクがあったら、身体動かんわ」
門脇はあっさりと言い放つ。
「いっそ野球部作っちまえよ。ええじゃろ。お前の頭と行動力だったら創部運動なんか簡単じゃろ?」
瑞垣は大きな溜息を一つついた。
どうやら門脇は本気で、瑞垣と一緒に野球をやりたいらしいのだ。
「俊。俺は、お前に、同じ世界にいて欲しい」
何という傲慢な台詞だろう。
共にあるために瑞垣が払わなければいけない犠牲も努力も何もかもに目をつぶって、結果ばかりを求める言葉。
瑞垣は返事の替わりに、門脇に口づけた。
「……俊」
「同じ大学に受かったら、考えてやる」
門脇は安堵したような笑顔を浮かべ、今度は門脇から、瑞垣に深いキスを送った。
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交互に風呂に入って汗を流す。
瑞垣が風呂から出ると門脇が戻って来た日と同じTシャツと短パンが、封の開いていない下着と一緒に畳んで揃えてあった。
タオルを頭にかけたまま門脇の部屋へ向かう。
同じように短パンを履いた門脇は、足にガーゼを貼り直していた。
「まだちょっと、引きつる感じがするんじゃけどな」
もたもたとテープで固定する門脇の手からサージカルテープをひったくって、怪我をした所に貼り直してやる。
「ついでじゃから包帯も巻いてやるわ。お前、相変わらず下手くそじゃな」
「……うるさい」
黙って包帯を巻く瑞垣に、何かを考えている風な門脇が話しかけてきた。
「なあ、俊……俺、とりあえず大学に行って、オリンピックを目指す気なんじゃ。
プロの話もあるかもしれんけど、なんか……プロはまだ、違うような気がするから」
「……で?」
「だから……大学でまた、お前と一緒に野球、やれんか?」
虚をつかれた。
「お前の頭じゃったら……たいていどんな大学でも大丈夫じゃろ?」
瑞垣は何と返して良いのかわからなくなった。あまりにも意外な提案だったのだ。
「夢かもしれんが……俺、また、お前のいるチームで、野球をやってみたいんじゃ……」
瑞垣はとりあえず反論してみる。
「……お前が行くような私立大は金がかかり過ぎるから俺は避けたいんじゃけど。なんつっても妹がおるしな」
「……国公立のT大もあるじゃろう? な?」
「そもそも、今、オレは野球をやっとらんのじゃぞ。三年もブランクがあったら、身体動かんわ」
門脇はあっさりと言い放つ。
「いっそ野球部作っちまえよ。ええじゃろ。お前の頭と行動力だったら創部運動なんか簡単じゃろ?」
瑞垣は大きな溜息を一つついた。
どうやら門脇は本気で、瑞垣と一緒に野球をやりたいらしいのだ。
「俊。俺は、お前に、同じ世界にいて欲しい」
何という傲慢な台詞だろう。
共にあるために瑞垣が払わなければいけない犠牲も努力も何もかもに目をつぶって、結果ばかりを求める言葉。
瑞垣は返事の替わりに、門脇に口づけた。
「……俊」
「同じ大学に受かったら、考えてやる」
門脇は安堵したような笑顔を浮かべ、今度は門脇から、瑞垣に深いキスを送った。
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