代理戦争/最下層街編/承・遭遇/2


ハダレは反抗する体力も無く、体を裏返されて上下を貫かれた。
両手首はベッドから解放されたが、まだ左右は繋がったままで、不自由極まりない。
そのまま腰だけを高く掲げさせられてセックスに及ぶのは、疲れたハダレには酷な事だった。
更に鼻先には、あぐらを掻いて待ち構えているコモリが、性器を突き出していた。
「……イイ……いいっつか……微妙に上手いし」
「だろ?こいつ初めてなのにこんなんで、もし仕込まれたら……」
気の毒な事に――というべきなのか、ソウジョウよりいくらか小ぶりなそれを必死に舐めながら、
ハダレは獣の姿勢で揺さぶられていた。
散々酷くされた後孔はコモリの精液でいくらか滑らかにソウジョウを受け入れたが、
やはり快楽や満足とは程遠い感覚だけがあった。
だが、同じ事をされてもそれとは程遠い感覚――つまり、快感や満足を得られると、
この意のままにならない四肢のどこかが知っている。だから、銜えた上下の口にも熱が篭る。
「お?」
腰をゆっくりと、ハダレの中を味わうように動かしていたソウジョウが、小さな声を上げる。
何かに気がついたように腰の動きを止め、改めて軽く突く。
「…………ゥ……」
ハダレがそれに押されて前進し、コモリのもので咽喉を突かれたのか、うめく。
だが、ソウジョウはお構いなしに数回突き上げ――嬉しそうに言った。
「この辺り、他と微妙に感触?っていうの?が違う……これ、前立腺なんじゃないか?」
「……どうして、……そんなの分かるんだっつの」
ハダレが銜えたまま呻いたために刺激されたのか、言葉を押し出すように、コモリが問いかける。
その問い(胡散臭げだった)に、ソウジョウがにやりとして、腰を動かす。
「ここに擦り付けると、こっちが気持ちいいんだよ――それに」
意識してその部位を攻撃する。激しく突き上げるのではなく、捏ね上げるように。

ハダレの表情を見下ろすコモリには、すぐ理由がわかった。
「…………ハダレっちが気持ちよくなってる……ってことか」
「中、さっきよりずっと柔らかくなってる。すごくいい」
お前がヘタクソで余裕が無くなってたせいだ、と言われているようで、コモリは内心落ち込んだ。
だが下肢に与えられる刺激は止まらない。落ち込んでいる暇はなかった。
やっと血の気を取り戻した青年の頬を撫でながら、コモリは呟いた。
「…………痛い思いさせて、ゴメン。『次』は、きっと上手くやるから」

「ンぐ……ぅ……」
ハダレは目を閉じた。もう、何も見たくなかった。
ただ、そのせいで押し出された涙が、改めてマットレスに染み込んだ。

「ぅうッ……!」
「ふぅ……!」
コモリはハダレの舌の付け根辺りに、たっぷりと精液を撒き散らして体を震わせる。
苦味と青臭さに、力の入らない表情にすら嫌悪を浮かべる彼に、優しく言う。
「ちゃんと……綺麗にしないと、終わらせてあげないよ」
先日の試合で、ハダレが豪腕の男に言ったのと同じ内容のことを言って頭を撫でてやると、
震える舌で性器を拭ってきれいに始末する。
命じられなくても全て飲み下す、ひそかな従順さをいとおしく思いながら、
コモリはその口から性器を抜き出した。それに続くように、喘ぎの羅列が漏れてくる。
「あッ、あぁッん、……んぁっ……ア……」
ソウジョウが見出したハダレの性感帯は的確だったらしく、
性器を扱いていた時に酷似した、甘い鼻息がコモリを空しくさせる。
それだけを見ているのがやり切れず、コモリはソウジョウに話しかけた。
「……どうよ、具合は」
「……中の上って、とこか、な……」
鼻息も荒く青年を弄ぶ男にしては評価が低い事を怪訝に思う。
「……最高って言うと思った」
「いや、……決して悪くは……無いんだけどな」
そう言う間にも、ソウジョウの腰の動きは止まらずにハダレを突き上げている。
よほどピンポイントにいい所を攻めているのか、ハダレの萎え切っていた性器が少しづつ芯を持ち始めている。
「何より……本人が慣れてねぇのが……減点ってとこだな。中がまだ熟れてるって感じ……じゃないんだ。
 買ったばっかりの果物みたいな。それがイイって言や、いいのかもしんねぇけど」
「ふぅん……」
コモリは話を聞きながら――自分で聞いたくせに、半分聞き流していたが――、
青年の体にそっと手を伸ばして、申し訳なさから愛撫を始めた。
予想外に加えられた新しい刺激に震える体を、舌と指でなぞる。
背筋を吸ってやると文字通りビクつき、内股を膝から付け根までなぞって擽ると、ソウジョウを切なく食い締める。
「ぅあッ……ん」
「おいおい、どこ触ってんだよ」
脚の付け根から指を移動させ、今正に繋がっている部分をくるりと指で撫でてやる。
たしかに、自分が入れた時より括約筋が幾らか柔らかくなっている気がする。
そこの滑りを借りて、さらに指を滑らせる。
勃起と共に硬く張り詰めた蟻の門渡りをマッサージしてやると、ハダレが「嫌だ」と、もっと触るのを要求してきた。
その要求にしたがって睾丸を軽く苛めてから、性器に辿り付く。
愛撫すると言うより、感じている度合いを確かめるように一通り触ってから、囁く。
「ハダレっち、お尻、気持ちいいんでしょ。勃って、濡れてる」
一瞬驚いたように正気の目を見せたのは、幻覚だったのだろうか。
ともあれ、次の瞬間には、ハダレは蕩けた泣きそうな表情で首を縦に振った。
あんまりにもその顔がいとおしかったので、コモリは頭を撫でてやりながら、同じ様に性器も撫でた。
性器は同じ様に涙を流して喜んだ。

限界は近かった――ハダレの喘ぎが突き上げられるのとほぼ同時になり、口は半開きのまま閉じない。
コモリの手の中で大きく育った性器は反りかえり、青年自身の下腹に粘液の跡を残している。
上の口とは逆に、後孔はソウジョウに必死に食い付き、その先走りも逃さないと言うようにきゅうきゅう締めつけた。
「あ……ア!ッぁ……ふ、あ……ああ、」
やはり慣れない体には性器の刺激の方が馴染みがあるらしく、
射精のコントロールにはコモリが気を使うより他無いらしかった。
ソウジョウのいちいち尊大な注文に応えながら、緩急をつけてハダレを追い詰める。
「……ぉ、そろそろ……出すぞ。ちゃっちゃと扱いてやってくれ」
「ハイハイ」
コモリがハダレの下肢に射精を促す激しい手コキをしてやる。
既に長い間触られていたハダレ自身には潤滑油と先走りがたっぷりまみれていて、
素早く擦ってやるとクチュクチュという粘着質な水音が響いて、逆に恥ずかしくすらなる。
「く、ぁあ、ア……あっ、あッ、アッ……アアッ……!」
射精を期待して、睾丸がきゅうっと縮こまるように、様子を変える。
青年自身の中も、きっと同じだ。
射精と、相手の射精を期待して、正に食いちぎるかのような締め付けをしているに違いない。
「……はっ……あ……」
「ア……あああ―――ッ……!」
ハダレの背が反り返り、全身に緊張が走って、筋を浮き立たせる。
ビクビクと数回強く痙攣しながら白濁をコモリの掌に吐き出し、後はふるふるっと弱く震えながら荒い息をつく。
その性器の先からは、尿道に残った僅かな残滓が零れている。
「ふ…………」
ソウジョウは最後の痙攣まで楽しんでから、ゆっくりと自身を抜き出した。
妙に満足そうな顔をしている。遠慮無く、収縮するハダレの中に出したらしい。
長い、長い満足そうな溜息をついて落ち付いてから、ソウジョウは脱力したままのハダレを指して言った。
もちろん、既に挿入の準備に入っているコモリに向けて。
「……こぼれないうちに、またぶちこんでやんな」

それから何回犯されたのか、何をされたのかも曖昧でよく分からない。酷い事ばかり記憶に残った。
ただ、――ただ、それだけで……ここで強姦されて自分が終わるはずが無いと、どこかで知っていた。

陵辱は日付が変わってまもなく始まり、既に数時間が経っていた。
夜明けにはまだだが、逆にいうとまだ明けていない、と言った程度の時間だ。
立体迷路には様々な人々が住んだり居座ったりしているが、今は何も聞こえてこない。
室内には荒い3人分の息遣いと、ベッドの軋む音と、肌の打ち合う音と、
そしてだらしない上下の口の咀嚼音だけが響いていた。



>>NEXT

<<BACK


創作物へ戻る