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十月花形歌舞伎 松竹座

2013年10月3日(木)~10月27日(日)

配役

昼の部(11:00開演)

一、新・油地獄 大坂純情伝(おおさかじゅんじょうでん)

河内屋与兵衛:六代目 片岡愛之助
お吉:初代 中村壱太郎
刷毛の弥五郎:二代目 中村亀鶴
皆朱の善兵衛:初代 中村萬太郎
天王寺屋遊女小菊:初代 坂東新悟
おかち:二代目 尾上右近
雁金文三:四代目 坂東薪車
山本森右衛門:二代目 市川猿弥
おさわ:六代目 上村吉弥
豊嶋屋七左衛門:六代目 市川男女蔵
果心:五代目 中村翫雀

二、楳茂都 三人連獅子(さんにんれんじし)

親獅子:六代目 片岡愛之助
母獅子:初代 中村壱太郎
子獅子:初代 上村吉太朗

夜の部(16:00開演)

通し狂言 夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)

序幕  お鯛茶屋の場
    住吉鳥居前の場
二幕目 内本町道具屋の場
    横堀番小屋の場
三幕目 釣舟三婦内の場
    長町裏の場
大詰  田島町団七内の場
同   大屋根の場

団七九郎兵衛:六代目 片岡愛之助
一寸徳兵衛:二代目 中村亀鶴
玉島磯之丞:四代目 坂東薪車
団七女房お梶:初代 中村壱太郎
娘お仲:初代 坂東新悟
傾城琴浦:二代目 尾上右近
下剃三吉:初代 中村萬太郎
番頭伝八:二代目 市川猿弥
徳兵衛女房お辰:六代目 上村吉弥
釣舟三婦:五代目 中村翫雀

データ

コラボイベント

片岡愛之助さん×アルション コラボ企画

片岡愛之助さんが選ぶ、
アルション焼き菓子の詰め合わせ「ラブ・アルションギフト」
■ セット内容 ■
(1)片岡愛之助さんお気に入り焼き菓子
  (紅茶サブレ 2枚、コロンボ 1枚、塩カラメルカステラ 1個)
(2)苺とラベンダーの香りの紅茶「アルションブルー」 1箱(ティーバッグ6個入り)
(3)片岡愛之助さんのメッセージ入りブロマイド 1枚
■ 価格 ■
1,000円 (税込)
■ 販売期間 ■
10月3日(水)~10月27日(日)

筋書

愛之助丈関連
28~29ページ:片岡愛之助インタビュー(素顔写真、舞台写真「新八犬伝」扇谷定正)

舞台写真

愛之助丈は、
「大坂純情伝」
・河内屋与兵衛が10種類
・壱太郎丈のお吉との2ショットが2種類
・新悟丈の小菊との2ショットが1種類
「三人連獅子」
・親獅子が3種類
・壱太郎丈の母獅子との2ショットが1種類
・吉太朗丈の子獅子との2ショットが2種類
・壱太郎丈の母獅子、吉太朗丈の子獅子との3ショットが4種類
「夏祭浪花鑑」
・団七九郎兵衛が22種類
・亀鶴丈の一寸徳兵衛との2ショットが2種類
・當十郎丈の大鳥佐賀右衛門との2ショットが1種類
・翫雀丈の釣舟三婦、亀鶴丈の一寸徳兵衛との3ショットが1種類

今回は写真の種類がありすぎなので、多分数え間違えてる。

料金

一等席:12,600円
二等席:7,350円
三等席:4,200円
筋書:1,500円

その頃、他の劇場では…

歌舞伎座
日本特殊陶業市民会館

雑誌

『演劇界』2013年12月号

愛之助丈関連
76ページ:舞台写真「大坂純情伝」河内屋与兵衛&お吉(壱太郎丈)(カラーグラビア)
99ページ:舞台写真「三人連獅子」親獅子(モノクロ 5枚)
100~101ページ:舞台写真「大坂純情伝」河内屋与兵衛(モノクロ 9枚)
102~104ページ:舞台写真「夏祭浪花鑑」団七九郎兵衛(モノクロ 10枚)
114~115ページ:「十月花形歌舞伎」の劇評
139ページ中段:新春浅草歌舞伎の紹介(1/2ページ)
演劇界 2013年 12月号 [雑誌]

感想

昼の部

!!!ネタバレしてます!!!
10年前の演目の再演だけど、念のため。


6日に3階前方より観劇。
花道の引っ込みも見たかったけど、油屋の場面は正面から見たかった。

新・油地獄 大坂純情伝

お店のボンボン・天神組と、町のゴロツキ・雁金組がケンカを始める。
それぞれのリーダーは、弥五郎(亀鶴丈)と雁金文三(薪車丈)。
ミュージカルみたいな動きが入っていて、ジャジャン♪という音とともに、皆一斉にこっち(客席)を見る。(愛之助丈がトークショー等で「かっこいいと思ってたら、客席から笑いが起きた」と話していた演出をそのまま使ったのかな。)
やっぱり、客席からは笑いが起きる。この群舞?は、亀鶴丈と薪車丈のカッコよさで持っている。たぶん。

花道から与兵衛(愛之助丈)が走り出て、ケンカを止めに入る。
与兵衛と文三の妹・小菊(新悟丈)は恋仲のようで、文三から「お前のように女の噂が絶えないヤツに妹はやらん!」と言われてしまう。
キャー、薪車丈! もっと言って!!(注:言っているのは文三であって、薪車丈ではない。)
ここで笑いが起きたのは、ワイドショーでネタをまき散らす座頭様のせいですよw
それはさておき、文三かっこよすぎ。
与兵衛は、弥五郎からも「お前はその辺(客席)のおなごでも見とれ」と言われていた。そして、客席に向かってぺこっと頭を下げていた。

ケンカの最中、文三が後ろから羽交い絞めにされ、与兵衛がチョコレートパイのようなものを手に持ってやってきた。どうやら、泥の塊らしい。
「えぇーっ? 文三の顔にべっちゃーっとぶつける気!?」と思ったら、そこに現れた中臈鍋の方(愛一郎丈)の顔にべったり。
鍋の方は与兵衛を見て、「よい殿御」「松竹座に出ている片岡愛之助そっくり」などと語りつつ、「倍返しだ!」「縮こまってんじゃないわよ!」とドラマ『半沢直樹』のネタも披露していた。(愛一郎丈は、愛之助丈が黒崎さんのモデルにしたとかいうお弟子さんです。)
愛之助丈の出番が多い公演は、愛一郎丈は裏方ばかりで出番が少なくなってしまうので、こうして目立つ役をしているのを見ると嬉しい。

そこへお吉(壱太郎丈)が現れ、泥だらけの与兵衛の服を茶屋の奥で洗ってやる。
七左衛門(男女蔵丈)に不義を疑われるのは通常の油地獄と同じだが、違うのはそれぞれの性格。七左衛門はお吉の尻に敷かれているようで、ちょっと情けない。でも、それがいい感じ。

裏路地に見世物小屋があり、若者達が『曽根崎心中』を見ている。
果心(翫雀丈)が「見て行かぬか~、この世の不思議~」などと言いながら歩いている。
飄々としていて面白い役なのだが、せっかくの翫雀丈なのに、出番が少ないのがもったいない。もっとこってりたっぷり見たい。
果心は与兵衛に「本当のこと(だったと思う)が一番怖い」と言い、与兵衛は実家の様子を思い出す。
母のおさわ(吉弥丈)は酒浸りで、借金のカタにおかち(尾上右近丈)を廓に売ろうとする。
徳兵衛(橘三郎丈)は元番頭で、おかちはその連れ子。
おさわはひどい女なのだが、あだっぽくて色気がすごい。

天神組が椿の花見をしており、弥五郎、善兵衛(萬太郎丈)、巳之吉(國矢丈)がコントみたいなやり取りをしている。
そこへ雁金組がやってきて争いが始まるが、山本森右衛門(猿弥丈)が止めに入る。
「何を踊っておるのだ」って、それ言っちゃダメ。
このあたり、亀鶴丈と猿弥丈の間の取り方が上手いなぁと思う。

与兵衛はおかちを廓に売るまいと、家業の油売りに精を出す。
偶然?現れた文三は、与兵衛に「小菊の身請け先が決まったから、小菊のことは諦めてくれ」と頼む。しかし、小菊は「 与兵衛と離れない」と言う。
与兵衛は小菊に「おかちの身売りの件を片付けたら、2人で逃げよう」と約束する。

与兵衛はお吉を訪ね、借金を申し出るが、お吉は取り合わない。
お吉もまた悪い女で、与兵衛に不義を持ちかける。(あの若さでこんな色っぽい役を演じるのだから、歌舞伎役者ってやっぱり遊ばないとダメなのね。ただし、きれいに遊ばないとダメだけどね。)
「お前に私は斬られまいがな」と言うお吉におさわの姿が重なり、与兵衛はお吉を斬りつける。
ここからは、油の中での殺し場となる。すごい迫力で、客席がどよめいた。
「ああ、そうだ。これは『油地獄』だった!」と思った。

お吉殺しの後にすぐに追手がかかり、1階席を捕手が歩き回る。与兵衛が客席に駆け下りたりもする。
与兵衛が小屋の上に乗った時に「もしや?」と思ったら、やっぱりきました戸板倒し!!
これ、本当にすごいので、歌舞伎見たことのない方にはぜひご覧になっていただきたい。

最後、観念した与兵衛は腹に刀を突き立てる。
徳兵衛、おかちに看取られ、与兵衛は息絶える。
与兵衛は戸板に載せられ、果心の「見て行かぬか~、この世の不思議~」という言葉とともに幕。

『女殺油地獄』とは全く別物だけど、これはこれで面白い。
本家本元の油地獄がどんなものか気になる方には、こちら(↓)がオススメ。(愛之助丈は出てません。)
仁左衛門丈一世一代の与兵衛(=当代随一の与兵衛)です。


楳茂都 三人連獅子

親獅子(愛之助丈)、母獅子(壱太郎丈)、子獅子(吉太朗丈)が花道から連れだってやってくる。
舞台には滝と牡丹があしらってあり、有職風の衣装も綺麗。
なんというか、アットホーム?な連獅子。
流石に皆さん、毛振りが綺麗で、そろっていた。
最後の最後では、壱太郎丈がブン回してすごいことになっていた。(これが若さというやつですな。)
あんなに勢いのある毛振りは初めて見たわ~。
油地獄の後の殺伐とした気分が一新し、気持ちよく劇場を後にできるのがよい。

夜の部

通し狂言 夏祭浪花鑑


5日に3階右側より観劇。
舞台上手は見えないけど、花道の引っ込みが見たかったので、こちら側から観劇。

この狂言は何度か見たが、通しで見るのは初めて。
やはり、通しだとわかりやすい。

始まりはお鯛茶屋。
傾城琴浦(尾上右近丈)に入れあげる玉島磯之丞(薪車丈)が、お梶(壱太郎丈)や徳兵衛(亀鶴丈)の芝居を真に受け、屋敷に帰る。徳兵衛のすっきりした姿を見なれているせいか、非人姿が衝撃だった。
いいとか悪いとかではなく、薪車丈に磯之丞(というか、つっころばし)はあまり似合わないなぁと思った。すらっとしてて、雰囲気がスマート過ぎる。一度、徳兵衛で見てみたい。

場面は住吉鳥居前に移る。
『夏祭~』はここから始まることが多いんじゃないかな。
むさくるしかった団七(愛之助丈)がさっぱりとした格好で、「俺でぇ~すぅ!」と出てくるところは、何度見てもよい。この時の着物(襟のあたりに五枚銀杏、ひざ下あたりに「松嶋屋」の文字)がとても好き。
下剃三吉(萬太郎丈)は愛嬌があって、徳兵衛はすっきりかっこよく、お梶(壱太郎丈)と 釣舟三婦(翫雀丈)の組み合わせもいい感じ。

道具屋の場面も初めて見た。
団七って魚を売ってるんだーと新鮮な感じだった。
ここに出てくる 番頭伝八(猿弥丈)はパッと見人が好さそうなんだけど、実は悪い人。でも、なんとなく憎めない。
道具屋を上演すると、義平次(橘三郎丈)が日常的に悪さをしているというのがよくわかる。
また、お仲(新悟丈)が磯之丞に惚れていることがわかるせいか、この後の釣舟三婦内での磯之丞と琴浦の口論は、台詞抜きの身振り手振りで表現していた。
吉弥丈がお辰だったのが嬉しい。老け役も素晴らしいんだけど、やっぱり綺麗なお役で見たいのだ。色っぽくて素敵だった~。

殺し場は何度見ても陰惨で、迫力がある。
毎回、お囃子が聞こえてくる度に「早くしないと見つかっちゃう!」と焦る気持ちになる。見つかったら芝居が終わっちゃうので、見つかるはずはないのだが。
今回は大詰があるので、団七が花道を引っ込んだ後、徳兵衛が出てきて、雪駄を拾う。
団七宅でのやりとりがあり、最後は団七と徳兵衛が捕手相手に大屋根の上で立ち回る。
希望の持てる終わり方で、見終わった後の気分はよい。
ただ、殺し場の後の引っ込みで幕にした方がインパクトは大きく、余韻を引っ張るかな。
どちらがよいかは好みの問題だけど、今回は昼の部にも似たような場面があるので、大詰まで出して正解だと思う。

それにしても、愛之助丈。
与兵衛やって、獅子の毛振りして、最後は団七って… どれだけ体力あるんでしょ。

おまけ

今回は、休憩時間の設定が不親切。
夜の部の幕間が17:40~って、そんな時間にお腹減ってないよ!
仕方ないので、コンビニでご飯買って、ホテルで食べた。


↑「アルション」のケーキ。
ホテルで夜と朝に1つずつ食べた。
このお店がなかったら、松竹座に行く回数は減ってると思う。そのくらい好き。


↑「アルション」と愛之助丈のコラボイベントのお菓子と紅茶セット。
コラボ関係なく、ここのお菓子と紅茶は美味しいのでオススメ。
詳細は「アルション」さんのサイトへどうぞ。→こちら

昼の部の幕間は11:40~か、13:15~のどちらか。

↑私は13:15の幕間に「たちばな」の豆腐御前を食べた。(←私の中の定番。毎回食べてる気がする。)


↑お土産はアンドリューのエッグタルト… ではなく、季節限定のマロンにしてみた。
美味しかった。

千穐楽 昼の部

後方上手側で観劇。
前見た時と違ったところだけ簡単にレポ。

新・油地獄 大坂純情伝

天神組と雁金組がワイワイやってる場面は、前見た時よりも息があっていて自然だった。
冒頭で、与兵衛(愛之助丈)が喧嘩を止めに入って、「つぶすわよ」。
天神組が椿の花見をするシーンで、弥五郎(亀鶴丈)がミッキーとミニーのぬいぐるみを持っていた。このとき、本当に物を食べているのだが、フィナンシェ?らしきものを食べているのが見えた。
山本森右衛門(猿弥丈)が天神組と雁金組の喧嘩を止めた後、雁金組に「チーッス!」と言わせてた。さらに「もっと大きな声で!」と言い直させていた。
それからさらに、文三(薪車丈)一人に「チーッス!」をやらせた挙句、「恥ずかしいな」とオチまでつけてくれた。猿弥丈素敵。

楳茂都 三人連獅子

こちらは舞踊なので、特に変わりなし。
最後の毛振りが前より長かったような気がしなくもない。


昼の部の幕間には、「たちばな」のかやくごはんとうどんのセットを食べた。

千穐楽 夜の部

後方花道寄りで観劇。
前見た時と違ったところだけ簡単にレポ。

夏祭浪花鑑

道具屋の番頭伝八(猿弥丈)が足をぶつけていた。
そして、キセルを逆に吸って「熱っ!」という場面で「1か月間毎日熱かった」と言っていた。
釣舟三婦(翫雀丈)が着替えて出入りに行く場面で、「倍返しだ!」。権と八に「山城屋に似てる」とかなんとか言われて言い返していた。
泥場で井戸が壊れた。柱が傾き、倒れるのでひやひやした。黒衣さんが直しては引っ込むのだけど、引っ込むとまたグラリと揺れて、浴衣を着た祭りの衆が支えたりもしていた。
団七は井戸に刀を突っ込んで洗い、泥は全部落としてなかったけど、芝居は滞りなく続いた。

カーテンコール。
愛之助丈が出てきて、亀鶴丈を舞台に呼んで、2人でカーテンコール。
愛之助丈はやりきったような表情でご挨拶。翫雀丈を始め共演者への感謝の言葉も述べていた。永楽館、京都南座の宣伝もしていた。
亀鶴丈は「昼の部の最初に愛之助さんを花道から迎えて、夜の部の最後は愛之助さんを見送って…」というようなことを話してて、感極まった様子。

愛之助丈の舞台写真の種類が多くて、どれを買おうか迷った。(←さすがに全部は買えない。)
板一枚分、愛之助丈の写真で埋まってたぞ。