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松竹創業120周年 中村翫雀改め四代目中村鴈治郎襲名披露
壽初春大歌舞伎 松竹座

2015年1月2日(金)~2015年1月26日(月)

配役

昼の部(11:00開演)

一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)

工藤左衛門祐経:三代目 中村橋之助
曽我五郎時致:六代目 片岡愛之助
小林朝比奈:二代目 中村亀鶴
化粧坂少将:初代 坂東新悟
近江小藤太:初代 中村国生
八幡三郎:初代 中村虎之介
梶原平三景時:初代 中村寿治郎
梶原平次景高:四代目 片岡松之助
大磯の虎:六代目 上村吉弥
鬼王新左衛門:初代 片岡進之介
曽我十郎祐成:三代目 中村扇雀

二、玩辞楼十二曲の内 廓文章(くるわぶんしょう) 吉田屋

藤屋伊左衛門:五代目 中村翫雀 改め 四代目 中村鴈治郎
吉田屋喜左衛門:四代目 中村梅玉
若い者松吉:三代目 中村橋之助
藤屋の手代藤助:六代目 片岡愛之助
吉田屋女房おきさ:二代目 片岡秀太郎
扇屋夕霧:四代目 坂田藤十郎

三、天衣紛上野初花 河内山(こうちやま)
質見世より玄関先まで

河内山宗俊:十五代目 片岡仁左衛門
高木小左衛門:初代 坂東彌十郎
宮崎数馬:六代目 中村松江
腰元浪路:初代 中村壱太郎
番頭伝右衛門:四代目 片岡松之助
北村大膳:四代目 片岡亀蔵
和泉屋清兵衛:五代目 坂東秀調
後家おまき:五代目 坂東竹三郎
松江出雲守:四代目 中村梅玉

夜の部(16:00開演)

一、将軍江戸を去る(しょうぐんえどをさる)

徳川慶喜:四代目 中村梅玉
高橋伊勢守:初代 坂東彌十郎
間宮金八郎:六代目 中村松江
土肥庄次郎:二代目 中村亀鶴
吉崎角之助:初代 中村国生
宇佐見常三郎:初代 中村虎之介
富山源七:四代目 片岡松之助
天野八郎:四代目 片岡亀蔵
山岡鉄太郎:三代目 中村橋之助

二、四代目中村鴈治郎襲名披露 口上(こうじょう)

五代目 中村翫雀 改め 四代目 中村鴈治郎
幹部俳優出演

三、玩辞楼十二曲の内 恋飛脚大和往来 封印切(ふういんきり)
新町井筒屋の場

亀屋忠兵衛:五代目 中村翫雀 改め 四代目 中村鴈治郎
傾城梅川:三代目 中村扇雀
井筒屋おえん:二代目 片岡秀太郎
槌屋治右衛門:五代目 片岡我當(休演により配役変更) → 三代目 中村橋之助
丹波屋八右衛門:十五代目 片岡仁左衛門

四、棒しばり(ぼうしばり)

次郎冠者:六代目 片岡愛之助
太郎冠者:初代 中村壱太郎
曽根松兵衛:二代目 中村亀鶴


データ

舞台写真

愛之助丈は、
「寿曽我対面」曽我五郎が11種類(扇雀丈の曽我十郎との2ショット6種類を含む)
「吉田屋」藤屋の手代藤助が2種類
「棒しばり」次郎冠者が6種類

料金

一等席:18,000円
二等席:10,000円
三等A席:8,000円
三等B席:6,000円

雑誌

『演劇界』2015年3月号

愛之助丈関連
17ページ:舞台写真「寿曽我対面」曽我五郎(カラーグラビア)
19ページ:舞台写真「吉田屋」手代藤助(モノクロ 1枚)
20~21ページ:舞台写真「寿曽我対面」曽我五郎(モノクロ 6枚)
28ページ:舞台写真「口上」(モノクロ 1枚)
28ページ:舞台写真「棒しばり」次郎冠者(モノクロ 4枚)
30~34ページ:壽初春大歌舞伎(松竹座)の劇評
135ページ中段:四月花形歌舞伎(中日劇場)の紹介(1/3ページ)
演劇界 2015年 03 月号 [雑誌]

感想

昼の部


18日に前方花道寄りで観劇。

寿曽我対面

お正月らしい華やかな一幕。
何度か見ているが、そのたびに役者さんが違うので面白い。

工藤祐経(橋之助丈)が挨拶して高座に座った後、小林朝比奈(亀鶴丈)に呼ばれて、曽我十郎(扇雀丈)と曽我五郎(愛之助丈)の兄弟が花道からやってくる。
このお芝居は何度か見たけど、朝比奈で見たの初めてかも。(今までは舞鶴だった。)
亀鶴丈は道化の姿をしていても、声がいいなぁ。

大磯の虎(吉弥丈)、化粧坂少将(新悟丈)がお酒をつぎ、五郎がかわらけを投げ捨てる場面で、ちょうど長袴に当たって割れなかった。また、盃台(っていうのかな?)をつぶして、木片を投げ捨てるところで、舞台の下まで飛んでくるというハプニングがあった。ま、こんなこともあるよね。
扇雀丈は女形でも立役でも綺麗だなぁ。
近江小藤太(国生丈)、八幡三郎(虎之介丈)はこんな若い役者さんで見たの初めてだ。
余談だが、“虎之介”という名前を見ると、20年ほど前に日本一速かったレーサーを思い出す。

最後に友切丸を持って、鬼王新左衛門(進之介丈)が登場。(いつも5分ほどしかお姿を見ない気がするのだが…)
役者さんがずらりと並んで、眼福のまま幕。

廓文章 吉田屋

阿波のお大尽の餅つきの後、花道から笠で顔を隠した伊左衛門(鴈治郎丈)が登場する。
若い者松吉(橋之助丈)が追い払おうとしているところへ、喜左衛門(梅玉丈)が出てくる。いつも若い者が3人ほど出てくるのだが、今回はいわゆる「ごちそう」なので1人だけ。
伊左衛門が顔を見せると、「成駒屋!」「鴈治郎はん!」と大向こうがかかる。
鴈治郎丈には、こういうちょっととぼけた感じのお役がよく似合う。

おきさ(秀太郎丈)との「若旦那かと思ったら、鴈治郎はんでした」というやり取りの後、夕霧(藤十郎丈)がやってくる。
藤十郎丈、結構お年を召してるのに、傾城の重たい衣装を着けて、さすがだなぁ。
2人が他愛のない痴話ゲンカをして仲直りしたところに、藤屋の手代・藤助(愛之助丈)が夕霧の身請けの金を持ってきてめでたしめでたし。
愛之助丈が本当に嬉しそうににこにこと鴈治郎丈を見つめているのが印象的だった。

しかし、「吉田屋」と「封印切」を同じ月にやらなくてもいいのに。結末は正反対だけど、なんとなく似たような感じなので、2月の襲名披露狂言とどちらかを入れ替えた方がよかったんじゃないかなぁ。

天衣紛上野初花 河内山

店先で番頭(松之助丈)と丁稚が騒いでいる中、いかにもワルそうな河内山宗俊(仁左衛門丈)が花道から登場。伸びかかった坊主頭なんだけど、かっこいい~!

梅玉丈といえば上品なお殿様のイメージが強いが、松江出雲守みたいな嫌な殿様も違和感がなかった。ちょっとした表情や仕草で「忌々しい」と思っているらしいのがわかり、上手いなぁと思った。
宮崎数馬(松江丈)は爽やかで、浪路(壱太郎丈)は可愛い。
北村大膳(亀蔵丈)の憎たらしい感じも、高木小左衛門(彌十郎丈)のさばき役もよかった。

河内山が正体を見破られてからの開き直りっぷりが面白い。
昼の部の終わりも小気味よくて、いい気分で劇場を後にできる。

舞台写真が入っていなかったので、今回は筋書を買っていない。
筋書に写真が入るのは21日頃らしい。

夜の部

17日に3階花道寄りで観劇。


↑席からの眺め。

将軍江戸を去る

真山青果の台詞劇。
徳川慶喜(梅玉丈)の御前で、山岡鉄太郎(橋之助丈)が尊皇と勤皇の違いを熱く語り、高橋伊勢守(彌十郎丈)ともども戦いを止めさせようとする。
動きの少ない台詞劇だが、聞きごたえがある。
梅玉丈の声とせりふ回しは朗々としていて、耳に心地よい。
最後の場面は、やはるうるっときた。

口上

舞台花道側から、秀太郎丈、亀鶴丈、虎之介丈、壱太郎丈、扇雀丈、藤十郎丈、鴈治郎丈、仁左衛門丈、橋之助丈、竹三郎丈、彌十郎丈、梅玉丈。(幹部俳優、もう1人いませんでしたっけ?)

まずは仁左衛門丈がご挨拶。代々の鴈治郎丈について述べる。
皆さん真面目な口上で、愛之助丈は「小学校のころから可愛がってもらった。襲名してもお見捨てなきようお願いします」みたいなことを話していた。

恋飛脚大和往来 封印切

忠兵衛(鴈治郎丈)が登場すると、「成駒屋!」「鴈治郎はん!」と大向こうがかかる。忠兵衛はだめんずで、見ていてイラッとする時もあるのだが、愛嬌がある。
梅川(扇雀丈)、おえん(秀太郎丈)と3人がそろうと、いかにも上方という感じがする。
治右衛門の我當丈が休演になったのは残念だが、橋之助丈の治右衛門も立派でカッコよかった。

八右衛門(仁左衛門丈)が登場すると、お芝居の雰囲気ががらっと変わる。(そういえば、仁左衛門丈のお芝居を見るの久しぶりかも。)
八右衛門の生き生きした意地悪っぷりが素敵。いかにも明るい感じで忠兵衛に絡んでいるが、時折ぞっとするほど怖い顔になるところがスゴイ。結局、八っつあんの言う通りになったんだよなぁ。
いつも思うが、こんな八っつぁんなら、ゲジゲジでも総スカンでも全然OKだ。

八っつあん退場後に、もう一度ガラッと空気が変わり、急に悲劇になる。
しかし、死出の旅に出る2人を何も知らず笑顔で見送る人々というのは、悲劇のようでいて喜劇的でもあるかもしれない。

棒しばり

曽根松兵衛(亀鶴丈)の留守中に、腕を棒にしばられた次郎冠者(愛之助丈)と後ろ手に縛られた太郎冠者(壱太郎丈)が酒を盗み飲む舞踊。
1月2日の「こいつぁ春から」では生中継されていた。
次郎冠者が扇子を投げる場面では、客席に妙な緊張感が…w 客席に緊張感が走るうちはまだまだかなぁ、と偉そうなことを思ってしまった。
最後に愉快な舞踊を見て、気分よく家路につけるのがよい。

おまけ


↑出発前に名古屋駅で買ったわらびもち。
これでお腹いっぱいになったので、夜の部は食事の予約をしなかった。


↑ロビーで買った苺大福。
結局、観劇中に小腹が空いたので、甘いもの補給。


↑「寿座」でテイクアウトしたカレー焼きそば。
美味しかったけど、きっとカロリー高い(汗)。


↑綺麗な胡蝶蘭。


↑「アルション」のモンブランとタルト ショコラ ノワール。
夜と朝に1つずつ食べた。紅茶も買った。


↑昼の部の幕間は「たちばな」の豆腐御膳。
私の定番。これを食べないと、松竹座に来た気がしない。


↑アンドリューのエッグタルトとシュガーパイ。
こちらも定番。
たまには違う種類も買って帰りたいと思うのだけど、持ち運び時間が3時間を超えるので難しい。


↑ロビーの様子。