データ

雑誌

感想

TOP > データベース > 2015年(平成27年) >第六回システィーナ歌舞伎 大塚国際美術館

第六回システィーナ歌舞伎 大塚国際美術館

2015年2月20日(金)、21日(土)、22日(日)

配役

午前の部(13:00開演)/午後の部(15:30開演)

百合若丸弓軍功(ゆりわかまるゆみのいさおし) ユリシーズ

百合若大臣:六代目 片岡愛之助
立花姫、女神カリュプソ:大和悠河
蒙古の大将海龍王:張 春祥
頭の中将仲成、船頭:初代 市村橘太郎
市郎秀虎:初代 中村種之助
鷹の精鷹姫、秀虎姉松ヶ枝:六代目 上村吉弥


データ

料金

S席:12,000円
A席:10,000円
※美術館入館料込み

筋書:入場時に1枚の紙を3つに折ったものが配られた。

雑誌

『演劇界』2015年5月号

愛之助丈関連
67ページ:「永楽館ものがたり」のチラシ(カラー)
74ページ:舞台写真「車引」梅王丸(カラーグラビア)
94~95ページ:舞台写真「筆法伝授」梅王丸(モノクロ 2枚)
96ページ:舞台写真「道明寺」奴宅内(モノクロ 1枚)
97ページ:舞台写真「車引」梅王丸(モノクロ 2枚)
98~99ページ:舞台写真「賀の祝」梅王丸(モノクロ 3枚)
111ページ:舞台写真「百合若丸弓軍功」百合若大臣(モノクロ 2枚)←システィーナ歌舞伎
111ページ:舞台写真「臥猫」牡猫(モノクロ 2枚)←「未の芸能」
113~115ページ:三月大歌舞伎(歌舞伎座)の劇評
121ページ:「システィーナ歌舞伎」の劇評
127ページ下段:四月花形歌舞伎(中日劇場)の紹介(1/4ページ))
演劇界 2015年 05 月号 [雑誌]

感想

感想


21日昼の部をAブロックより観劇。

白いドレスを着た女性達が踊る中、カリュプソ(大和悠河さん)が優雅に登場。青いドレスで踊り、ユリシーズへの愛を語る。
さすがは元宝塚の男役トップスター!オーラあるし、顔小さいし、脚長いし、ウエスト細いし、違う星の人みたい。(内臓どこに入ってるの?)

その後、歌舞伎調の音楽が流れ、冒頭のダンサー達が白いドレスの上に十二単を引っ掛けて踊る。
頭の中将仲成(橘太郎丈)が登場する。頭の中将だから、当然お公家さんの姿をしている。
蒙古が攻めてきたということで、百合若(愛之助丈)が討伐を命じられる。この時、何とかいう名前から百合若に改めたのだが、元の名前は失念。
百合若は烏帽子をかぶった公家姿。出陣の前に立花姫(大和悠河さん)から杯を受ける。立花姫は三人官女みたいな冠をつけた十二単姿。

百合若は、離れ離れになっても必ず揃うという番いの鷹の羽の矢を授かり、片方を立花姫に渡す。この辺りで立花姫が歌ったような気がするが、うろ覚え。
百合若の部下の秀虎(種之助丈)は、父親が病気のため、百合若から「お前の父は国の柱。残って看病するように」と言われ、「一騎当千の自分が戦いに参加できないとは…」と嘆きながらも国に残る。

蒙古軍は白のキックボードに中国刀、日本軍は赤のキックボードに日本刀。なぜにキックボード? 馬のつもり?
両軍入り乱れての戦いになり、蒙古の大将海龍王(張 春祥さん)と百合若の一騎打ち。
張さんは京劇の役者さんだそうで、海龍王は京劇風のメイクなのかな?(「ド派手なドナルド…?」とか思ってすみません。)
百合若と車に乗って対決したり、メタリック梯子(移動式)に乗って立ち回ったり、、レーザー光線出てきたり、だんまりもあったり、なんだか派手だけど、わけわからんw
海龍王は最期に「お前は国に帰れない」とか呪いの言葉を吐いて倒される。

別府雲足(蝶十郎丈)、別府雲住(蝶三郎丈)の兄弟は、百合若の地位を狙っている。
石切梶原の大庭(白塗り)と俣野(赤っ面)みたいな感じ。
戦いに疲れて休む百合若を島に置き去りにし、頭の中将には「百合若は討死した」と嘘の報告をする。

残された百合若は俊寛のような恰好になっている。
突如現れた大蛸(着ぐるみ)に攫われて、百合若は竜宮城へ。
竜宮城では、女神カリュプソが青いドレスでけだるげに煙管をふかしている。(煙出てないから、本当には吸ってない。)

隣に妖精イカロン(関口義郎さん)がいる。イカロンは着物姿で小さな頭にイカを頭につけている。
そこへ妖精タコリン(愛一郎丈)がやってきて、「いい男を捕まえた」と言う。タコリンは着物姿で小さな頭にタコを頭につけている。

タコリン「イケメンで歌舞伎役者の片岡愛之助にそっくり」
イカロン「らぶりんね」
「ダメよ、ダメダメ」のネタをやった後、「いそいそ(磯磯?)」と迎えに行くタコリン。
連れてこられた百合若は若衆姿になっている。
百合若「ここはゲイバーですか?」

女神が「ユリシーズのような男を待って2千数年」とか言うのを聞いて、
百合若「そんなにお年なんですか?」
女神「あなたも若い女性が好きなんでしょ!」
イカロン「私はどう?」
女神「私でも駄目なのに、あんたでいいわけないでしょ!」
とかなんとかいうやり取りがある。

結局、女神は百合若に玉手箱を持たして、「困った時はこれを開けなさい」と、元の世界に戻してくれる。百合若が目覚めると、元の浜辺で、俊寛のような格好に戻っていた。
愛之助丈が歌ったんだけど、どこだったかなぁ? 記憶があやふやなので、順番がおかしいかも。
故郷では、秀虎が姉の松ヶ枝(吉弥丈)から折檻を受けていた。
姉に「殿の近くに裏切り者がいることに気付かず、戦に着いて行かなかったとは何事だ」と叱られ、秀虎は百合若を探しに旅に出る。

松ヶ枝は、若衆姿になった立花姫を手引きして逃げようとするが、別府雲住に見つかり、囲まれてしまう。
「もはやこれまで」と、松ヶ枝は鷹の矢を胸に刺して自害する。

ここで幕間。

白いドレスのダンサー達と青いドレスの女神カリュプソが踊る。
場面が変わり、秀虎は船頭(橘太郎丈)に百合若らしき人がいるという無人島に連れて行ってもらう。
ここからしばらく、舟弁慶っぽい場面が続く。「渦がまいてきた」という台詞がご当地風。
海龍王の亡霊が長い太刀をぐるぐる回す。秀虎は姉からもらった観音様をかざして、海龍王を退けたのかと思ったら、弓が飛んできて亡霊を討ったらしい。

百合若は島の女性・鷹姫(吉弥丈)との間に子供を作っていた。実は、島の女性は鷹の(矢の)精だった。
ここの子別れの場はなくても良かったような気もするが、そうすると上演時間と吉弥丈の出番が少なくなるな。
行きは竿を差してこぐ舟だったのに、帰りの舟は自動車で、秀虎が運転して去っていく。船頭どこ行った?

故郷では、立花姫の婚礼準備が進んでいる。
百合若が戻ったことが別府兄弟にばれたのか、警備が厳しく、別府兄弟の屋敷に近付けない。
ここで、百合若は玉手箱を開ける。
すると、タコリンが助けにきて、百合若は老人の姿になる。こうして百合若は屋敷に潜り込むことができた。

秀虎の立ち回りは、若さ溢れて活きのいい殺陣だった。
種之助丈は品行方正で真面目な播磨屋さんだけあって、安心して見ていられる。腰の位置が低くて形もきれい。
しかし、種之助丈のご贔屓さんがシスティーナの予備知識なしにコレを見てどう思ったか、非常に心配である。

別府雲足が立花姫と無理矢理結婚しようとするのだが、何と、花嫁はミニスカートのウェディングドレスを着ているじゃないか! 場内から笑いが起こる。
そりゃそうだ。
『金閣寺』の松永大膳みたいな悪役がミニドレスの女性に迫ってるとか、シュール過ぎるわ! そして、花嫁、脚出し過ぎ。パンツ(レオタードみたいなものだと思うが)見えてるぞ!

そして、なぜか聞こえるバイクの音。
まさかと思ったらそのまさかで、百合若がなぜかテンガロハット(?)に革ジャン(?)にジーパン(?)でバイクにまたがって登場。…すみません、声出して笑いました。
そして、立花姫を後ろに乗せて去っていく。(これぞ『Crazy Rendezvous』)


いくら仮面ライダーやったからって、バイクはやり過ぎ。
というか、もしかして、大好きなB'zを意識してる?  それとも、映画『卒業』か?
さすがにバイクとミニドレスは時代がおかしい。玉手箱で時代を超越する演出でもあればともかく。「歌舞伎は何でもあり」と言っても、最低限のつじつまは合わせてほしい。
いったん去っていった2人が、再びバイクで戻ってくる。

最後、2人で歌って踊って、カーテンないけどカーテンコール。
役者さんが次々に登場し、皆リズムに合わせて動いたりして、楽しそう。
この笑顔が見れただけでも、来てよかったと思う。
私は“ここでしか見れない奇天烈歌舞伎”を見るために徳島まで遠征しているからいいといえばいいのだが、さすがにここまでやられると今後が不安だ。
これ以上わけわからん方向へ行かないように、壱太郎丈、来年は帰ってきてください(切実)

役者殺すにゃ刃物はいらぬ。誉めればいい… と言ったのは誰だったか?
愛之助丈に死なれたら困るので、少しだけ苦言も書いておく。(御本人には届かないだろうけどね。)
4月5月と新作や復活狂言の再演が続く。一風変わった歌舞伎ばかりでなく、3月みたいな古典をもっとやってほしい。斬新なのはいいけれど、キワモノの役者にはならないでほしい。

それと、最近はテレビに出過ぎ。もう少し出し惜しみ(出惜しみ?)してほしい。
愛之助丈が今みたいにテレビに出まくっていたら、私は歌舞伎座には行かなかった。
きっかけはテレビドラマ『新選組!!』だったが、愛之助丈を見たければ歌舞伎に行くしかなかったから劇場に行ったのだ。

舞台の後に夜中までかかって撮影して頑張っても、テレビで見られる人をわざわざ劇場までに見に行かない。
舞台もテレビも、もう少しバランスよくならないかな。

おまけ


↑劇場で売っていたお弁当。
見終わってから、レストランに行こうと思ったら閉まっていたので、お弁当を買ってロビーで食べた。


↑お土産は「お百姓さんが作ったスイートポテト」


↑愛之助に届いていたお花。


↑愛之助に届いていたお花。


↑愛之助に届いていたお花。