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松竹創業120周年
三月大歌舞伎 歌舞伎座

2015年3月3日(火)~2015年3月27日(金)

配役

昼の部(11:00開演)

通し狂言 菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
序 幕 加茂堤(かもづつみ)

桜丸:五代目 尾上菊之助
八重:四代目 中村梅枝
斎世親王:初代 中村萬太郎
苅屋姫:初代 中村壱太郎
三善清行:初代 坂東亀寿

二幕目 筆法伝授(ひっぽうでんじゅ)

菅丞相:十五代目 片岡仁左衛門
武部源蔵:七代目 市川染五郎
梅王丸:六代目 片岡愛之助
戸浪:四代目 中村梅枝
左中弁希世:初代 市村橘太郎
腰元勝野:三代目 澤村宗之助
三善清行:初代 坂東亀寿
荒島主税:五代目 坂東亀三郎
局水無瀬:十七代目 市村家橘
園生の前:二代目 中村魁春

三幕目 道明寺(どうみょうじ)

菅丞相:十五代目 片岡仁左衛門
立田の前:七代目 中村芝雀
判官代輝国:五代目 尾上菊之助
奴宅内:六代目 片岡愛之助
苅屋姫:初代 中村壱太郎
贋迎い弥藤次:四代目 片岡松之助
宿禰太郎:初代 坂東彌十郎
土師兵衛:五代目 中村歌六
覚寿:二代目 片岡秀太郎

夜の部(16:30開演)

通し狂言 菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
四幕目 車引(くるまびき)

梅王丸:六代目 片岡愛之助
松王丸:七代目 市川染五郎
桜丸:五代目 尾上菊之助
杉王丸:初代 中村萬太郎
藤原時平公:初代 坂東彌十郎

五幕目 賀の祝(がのいわい)

桜丸:五代目 尾上菊之助
松王丸:七代目 市川染五郎
梅王丸:六代目 片岡愛之助
春:初代 坂東新悟
八重:四代目 中村梅枝
千代:初代 片岡孝太郎
白太夫:四代目 市川左團次

六幕目 寺子屋(てらこや)
寺入りよりいろは送りまで

松王丸:七代目 市川染五郎
武部源蔵:四代目 尾上松緑
戸浪:初代 中村壱太郎
涎くり与太郎:三代目 大谷廣太郎
菅秀才:三代目 尾上左近
下男三助:三代目 松本錦吾
春藤玄蕃:二代目 中村亀鶴
園生の前:十一代目 市川高麗蔵
千代:初代 片岡孝太郎


データ

筋書

愛之助丈関連
舞台写真:「筆法伝授」梅王丸:3枚
舞台写真:「道明寺」奴宅内:2枚
舞台写真:「車引」梅王丸:5枚
舞台写真:「賀の祝」梅王丸:4枚
51ページ:「花競木挽賑」内インタビュー

舞台写真

愛之助丈は、
「筆法伝授」梅王丸が3種類
「道明寺」奴宅内が3種類
「車引」梅王丸が12種類(染五郎丈の松王丸、菊之助丈の桜丸との3ショット1種類を含む)
「賀の祝」梅王丸が13種類(染五郎丈の松王丸との2ショット5種類、孝太郎丈の千代との2ショット1種類を含む)

料金

1等席:18,000円
2等席:14,000円
3階A席:6,000円
3階B席:4,000円
1階桟敷席:20,000円
筋書:1,300円

雑誌

『演劇界』2015年5月号

愛之助丈関連
67ページ:「永楽館ものがたり」のチラシ(カラー)
74ページ:舞台写真「車引」梅王丸(カラーグラビア)
94~95ページ:舞台写真「筆法伝授」梅王丸(モノクロ 2枚)
96ページ:舞台写真「道明寺」奴宅内(モノクロ 1枚)
97ページ:舞台写真「車引」梅王丸(モノクロ 2枚)
98~99ページ:舞台写真「賀の祝」梅王丸(モノクロ 3枚)
111ページ:舞台写真「百合若丸弓軍功」百合若大臣(モノクロ 2枚)←システィーナ歌舞伎
111ページ:舞台写真「臥猫」牡猫(モノクロ 2枚)←「未の芸能」
113~115ページ:三月大歌舞伎(歌舞伎座)の劇評
121ページ:「システィーナ歌舞伎」の劇評
127ページ下段:四月花形歌舞伎(中日劇場)の紹介(1/4ページ))
演劇界 2015年 05 月号 [雑誌]

感想

昼の部


7日に前方花道寄りで観劇。

序 幕 加茂堤

この幕は初めて見る。ようやく物語の発端がわかった。
桜丸(菊之助丈)と八重(梅枝丈)の夫婦が、斎世親王(萬太郎丈)と苅屋姫(壱太郎丈)の逢引きを手引きする。
結構色っぽいことをきわどい台詞で言ってるんだけど、菊之助丈が上品なのでちっともいやらしく聞こえない。
八重はしっかりものの女房という感じで、斎世親王と苅屋姫は初々しくて可愛らしい。
逢引の現場を三善清行(亀寿丈)に見つかりそうになり、桜丸が追手を蹴散らしている間に、斎世親王と苅屋姫は行方をくらましてしまう。
牛が可愛かった。

二幕目 筆法伝授

この幕も初めて見た。
菅丞相(仁左衛門丈)は筆法を伝授するために、武部源蔵(染五郎丈)を呼び寄せる。源蔵は妻の戸浪(梅枝丈)ともに、屋敷にやってくる。
菅丞相はさすがの気品。神様になるお方は違う。
伝授の後も、「伝授は伝授。勘当は勘当」と言い、「この後は対面は叶わぬ」と厳しいお言葉。
希世(橘太郎丈)がいい味を出していて、イヤなヤツなんだけど、なぜか憎めない。

菅丞相は内裏に呼び出されて正装して出かけるが、冠を外された無残な姿で戻ってくる。
三善清行(亀寿丈)と荒島主税(亀三郎丈)の無礼に怒った梅王丸(愛之助丈)が飛び出してくるが、菅丞相に止められる。
梅王丸と聞くと「車引」の姿を思い浮かべるが、この幕ではそんなに派手な隈取ではない。
菅丞相が流罪になった怒りで、血管(隈取)が浮き上がりまくってる形相になったんだろうか?
梅王丸は源蔵夫婦に菅秀才を託し、2人は花道を去っていく。
この幕を見ると、「寺子屋」で源蔵夫婦の苦渋の決断の理由が少しだけわかる気がする。

前から不思議だったんだが、「三国志」では「じょうしょう」なのに、道真公が「しょうじょう」なのはなぜだろう。

三幕目 道明寺

私が初めて歌舞伎を見たのはちょうど9年前の3月で、「道明寺」がかかっていた。
はっきり覚えている場面もあれば、全く忘れていた場面もあり、見ているうちに思い出した場面もある。
菅丞相(仁左衛門丈)はひたすら素晴らしくて、それ以上の感想が出てこない。
初めて歌舞伎を生で見た時の感激を思い出した。

愛之助丈は奴宅内。
奴と聞いて、七段目の平右衛門みたいなのを想像していたら、ものすごく3枚目の奴だった。(登場した時に、「え? これが奴?」と驚いた。)
まさかふんどし一丁で花道を退場するとは思わなかったよ。この奴、ここまで3枚目な役だったかなぁ?(←記憶にないらしい。)
髪の毛(鬘)が激しく乱れるのが気になったが、そういう仕様なのかな。

宿禰太郎(彌十郎丈)は背が高くて立派に見えるが、かなり抜けていて少々子供っぽい。
父・土師兵衛(歌六丈)が息子の出世のために菅丞相を暗殺しようとするのも仕方ないかも。(だって、出世できそうにないんだもん。)
覚寿(秀太郎丈)は見た目は優しそうだが、芯が一本通っている感じで貫禄がある。
苅屋姫(壱太郎丈)が色っぽ過ぎて、菅丞相の袖にすがる場面は父娘というより恋人を止める娘に見えたなぁ。
判官代輝国(菊之助丈)は綺麗だった。

夜の部


21日に前方花道寄りで観劇。

四幕目 車引

この演目を見るのは3回目だが、通しで見てようやく台詞の内容が実感できた。(言っていることはわかっても、実際にお芝居で見るとやはり違う。)
また、幕によって三兄弟の隈取が変わってるということもわかった。
「車引」の隈取は派手というか、全員血管浮き出てる感じ?(桜丸は上方風の隈取がない方が、私は好きだな。)

松王丸(染五郎丈)、梅王丸(愛之助丈)、桜丸(菊之助丈)の3人が並ぶところは、絵になっていてとても綺麗。
藤原時平公(彌十郎丈)は背が高くて迫力があった。

五幕目 賀の祝

白太夫(左團次丈)の家には、菅丞相の愛樹の梅、松、桜が植えてある。
春(新悟丈)と千代(孝太郎丈)は自分の夫と同じ名の梅と松をそれぞれ褒める。千代の着物は松がいくつも描いてある中に梅と桜が描かれている。春の着物は梅の花がいくつも描いてある中に松葉と桜の花が描いてある。
あとから出てくる八重(梅枝丈)は振袖で、桜の模様ではなく、たんぽぽやつくしが描いてあった。(そういえば、八重は「加茂堤」でも振袖を着てたっけ。)

そこへ松王丸(染五郎丈)、続いて梅王丸(愛之助丈)がやってくる。それぞれ、松の柄と梅の柄の着物を着ており、この幕は着物の柄を見るのも楽しい。
松に千代、桜に八重、梅に春と、妻の名前も上手く考えてあるなぁと思った。
松王丸と梅王丸は、「車引」の一件があるものだから、俵を持ち出して大ゲンカ。2人とも子供っぽくて微笑ましい。

白太夫(左團次丈)が八重と一緒に帰ってくる。優しい表情で好好爺という感じだが、梅王丸と松王丸の願書を読んでから、厳しい表情になる。
梅王丸は菅丞相の後を追いたいと願うが、白太夫に「園生の前を探すのが先だ」と窘められる。松王丸は勘当してほしい願い、妻の千代もろともにたたき出される。

松王丸が去り際に、捨て台詞の中に「せいぜい長生きして…」みたいなことを混ぜるのが切ない。
白太夫は松王丸を追い出した後、とぼとぼと家の中に戻る姿が、急に老け込んだように見えた。
そういえば、「親を睨むとヒラメになるぞよ」って、たしか「夏祭浪花鑑」にも出てきたな。
梅王丸と春も家から出されるが、梅王丸は何か思案があるらしく、春に耳打ちして家の裏側に回る。

2組の夫婦が帰った後、奥から桜丸(菊之助丈)が出てきて、斎世親王と苅屋姫の仲をとりもち、菅丞相流罪のきっかけとなったことを悔い、切腹する。菊之助丈は本当に綺麗だなぁとしみじみ思った。そして、梅枝丈は若いのに上手いなぁ。
桜丸の後を追って自害しようとした八重を梅王丸が止め、白太夫は太宰府へと旅立つ。
梅王丸は桜丸を抱き起し、白太夫にその死に顔を見せる。白太夫が座り込んで男泣きをして、幕。

六幕目 寺子屋

以前、吉右衛門丈の松王丸、梅玉丈の源蔵で見たことがある。細かい部分は忘れていて、結構記憶にない部分が多い。
涎くり与太郎(廣太郎丈)が戸浪(壱太郎丈)に叱られ、線香と茶碗を持って立たされる場面や三助(錦吾丈)が千代の真似をする場面が記憶にない。(あれ? 寺入りの場面がなかったのかな? だったら記憶になくて当たり前だけど。)

花道から、小太郎を連れて千代(孝太郎丈)が登場。この後の展開を考えると、小太郎が母に「連れて行ってほしい」とせがむ場面が可哀想で仕方ない。
武部源蔵(松緑丈)は「筆法伝授」で受け取った一巻を神棚にしまっており、春藤玄蕃(亀鶴丈)と松王丸(染五郎丈)が来たらそれを懐に入れ、帰ったらまた神棚に戻していた。
通しで見ると、こういうところに気付けるのがいいな。

このお芝居は役者さんも大変だろうが、見てる方も消耗する。
現代人の感覚だとやっぱり理不尽というか、わけわからん。菅秀才が大事なのはわかるが、自分の子ならまだしも人様の子を身代わりにして首切るなよと思ってしまう。
源蔵は教え子を指折り数えて身代わりにできるかどうかを考えたそうだが、その子やその親は菅丞相に恩があるわけでもないだろうに。

松王丸が心情を語る場面で、前の席の男性がしきりに目を拭っていた野が印象的だった。
「桜丸が不憫でござる」は、本当は小太郎のために泣きたいのをごまかしているのかと思ったけど、仁左衛門丈のインタビューによると、違うらしい。→「歌舞伎美人」の仁左衛門丈インタビュー
そういうものなのかもしれないが、何となく納得がいかない。桜丸も不憫だが、小太郎だって不憫でござるよ。

昼の部 おまけ


↑昼の部の最初の幕間に食べためで鯛焼き。
これを食べないと始まらない。
限定50個(少ない!)で列になっていた。


↑昼の部の幕間に食べたお弁当。場内の売店で購入。



夜の部 おまけ


↑木挽町広場で食べたソフトクリーム。


↑1Fの売店で買ったお弁当。


↑グラスシャンパン。
めで鯛焼きが売り切れてたのが残念。


↑今回のお土産は、歌舞伎最中と歌舞伎銀つば。
どちらもおいしゅうございました。