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五月花形歌舞伎 明治座

2015年5月2日(土)~2015年5月26日(火)
※14日(木)夜の部のみ午後17:15開演
【貸切】11日(月)、14日(木)、16日(土)、20日(水)昼の部

配役

昼の部(11:00開演)

一、歌舞伎十八番の内 矢の根(やのね)

曽我五郎:初代 市川右近
大薩摩文太夫:二代目 中村亀鶴
馬士畑右衛門:二代目 市川猿弥
曽我十郎:二代目 市川笑也

二、男の花道(おとこのはなみち)

加賀屋歌右衛門:四代目 市川猿之助
土生玄硯:九代目 市川中車
田辺嘉右衛門:片岡愛之助
山田春庵:六代目 市川男女蔵
加賀屋歌助:初代 中村壱太郎
山崎順之助:二代目 市川猿弥
按摩杢の市:初代 市川弘太郎
松屋忠兵衛:二代目 市川寿猿
富枝妹雪乃:二代目 市川笑也
加賀屋歌五郎:二代目 中村亀鶴
加賀屋東蔵:五代目 坂東竹三郎
田辺妻富枝:八代目 市川門之助
万八の女将お時:二代目 片岡秀太郎

夜の部(16:00開演)

一、あんまと泥棒(あんまとどろぼう)

泥棒権太郎:四代目 市川猿之助
あんま秀の市:九代目 市川中車

湧昇水鯉滝(わきのぼるみずにこいたき)
通し狂言 鯉つかみ(こいつかみ)
片岡愛之助宙乗りならびに本水にて立廻り相勤め申し候

俵藤太秀郷、鯉王息子金鯉、滝窓志賀之助、滝窓志賀之助 実は鯉の精、奴瀬田平、関白中納言橘広継:六代目 片岡愛之助
鯉王:九代目 市川中車
篠村女房呉竹:八代目 市川門之助
家老篠村次郎公光:二代目 中村亀鶴
釣家息女小桜姫:初代 中村壱太郎
信田清晴:初代 市川弘太郎
三上山の大百足 実は平将門の霊:二代目 市川猿弥
堅田刑部:六代目 市川男女蔵
鮒五郎:初代 市川右近
瀬津織媛:二代目 片岡秀太郎


データ

筋書

愛之助丈関連
20ページ:素顔写真
21ページ:インタビュー(舞台写真「鯉つかみ」滝窓志賀之助)
26~27ページ:猿之助丈、愛之助丈、中車丈、右近丈の4ショット写真
50ページ(1/2ページ):出演者プロフィール(舞台写真「車引」梅王丸)

舞台写真

愛之助丈は、
「男の花道」田辺嘉右衛門が2種類
「鯉つかみ」俵藤太秀郷が1種類(猿弥丈の大百足との2ショット)
「鯉つかみ」鯉王息子金鯉が4種類
「鯉つかみ」奴瀬田平が3種類
「鯉つかみ」鯉の精(鱗姿)が2種類
「鯉つかみ」滝窓志賀之助?(小姓姿)が9種類
「鯉つかみ」滝窓志賀之助(鯉をつかむ場面)が4種類

料金

一等席(1階席、2階席正面):15,000円
二等席(2階席左右):7,500円
三等A席(3階席正面):5,000円
三等B席(3階席左右):3,000円
筋書:1,500円

雑誌

『家庭画報』2015年6月号

愛之助丈関連
230~241ページ:特別対談 市川猿之助×片岡愛之助 歌舞伎のためにできること
・231ページ:素顔写真(カラー)
・236ページ:舞台写真「新・八犬伝」犬飼現八
・236ページ:舞台写真「新・八犬伝」網干左母次郎
・238ページ:楽屋での写真(カラー)
・239ページ:素顔写真(カラー)
・240~241ページ:舞台写真「雪之丞変化」中村菊之丞(劇中劇「関の扉」大伴黒主)
・対談中の写真(モノクロ×2)もあり。
家庭画報 2015年 06月号 [雑誌]

『演劇界』2015年7月号

愛之助丈関連
51ページ:舞台写真「鯉つかみ」滝窓志賀之助(カラーグラビア)
70~71ページ:舞台写真「男の花道」田辺嘉右衛門(モノクロ 4枚)
72ページ:舞台写真「鯉つかみ」俵藤太秀郷/鯉王息子金鯉/関白中納言橘広継/滝窓志賀之助 実は鯉の精(モノクロ 各1枚)
73ページ:舞台写真「鯉つかみ」奴瀬田平/滝窓志賀之助(モノクロ 各2枚)、鯉の精/滝窓志賀之助 実は鯉の精(モノクロ 各1枚)
88~89ページ:五月花形歌舞伎(明治座)の劇評
115ページ下段:六月花形歌舞伎(松竹座)の紹介(1/6ページ)
117ページ下段「もとの黙阿弥」の紹介(1/3ページ)

※24~30ページに秀太郎丈のインタビューが載っている。

演劇界 2015年 07 月号 [雑誌]

感想

昼の部

3階中央にて観劇。
竹三郎丈が休演だったのが残念。


↑席からの眺め。

矢の根

歌舞伎十八番ということで、舞台の端に看板が掛けられている。
曽我五郎(右近丈)が矢の根を研いでいると、大薩摩文太夫(亀鶴丈)がお年玉(宝船の絵)を持って現れる。
縁起がいいので、それを砥石の下にしいて、五郎はごろんと横になって眠る。
すると、兄の曽我十郎(笑也丈)が夢に現れ、「捕まっちゃったから助けてくれ」と告げる。
五郎は、大根をつんだ馬と一緒にやってきた畑右衛門(猿弥丈)から馬を奪い、大根片手に花道を去っていく。
ただそれだけの話なんだけど、錦絵みたいな華やかな舞台で、何とも歌舞伎らしい一幕だった。

男の花道

この演目は御園座で見たことがある。
その時は土生玄硯が段四郎丈だったせいか、今回の中車丈は少し軽く
z感じた。
切腹する前に歌右衛門(猿之助丈)が来てくれないかと様子をうかがう場面で笑いが起きてたが、前はあんなにも客席が笑ってたかなぁ? もっと客席もはらはらしながら見る場面だと思うんだけど。

歌右衛門はきれいだった。猿之助丈は女形の方が、私は好きだ。(粋な立ち役やってる時もいいんだけど。)
人形振りのお七は本当に人形みたいで、すごいなぁと思った。
客席に「お暇をください」と訴える場面は大熱演。見ている側もお芝居の中に入れた気分を味わえる。大急ぎで駆け出す時、ちゃんと黒留袖?の着物も運ばれてた。

田辺嘉右衛門(愛之助丈)は嫌なヤツなんだけど、愛之助丈は演じていて楽しいと思う。最後、田辺が負けを認めたところで、後ろの席のお兄さんが「おぉ!」って声を上げてた。
歌右衛門が「老松」を舞う後ろで、歌助(壱太郎丈)が鼓を叩いていた。
話はわかりやすくめでたしめでたしだし、いいお話だと思う。

夜の部

前方花道寄りにて観劇。

あんまと泥棒

猿之助丈と中車丈の二人芝居。
あんま(中車丈)がぶつぶつ独り言を言いながら、夜道を歩いている。犬を棒で殴ったり、途中で会った人に「利息だけでも返しなさいよ」など言っているので、このあんまが悪いヤツなんだということがわかる。

そんなあんまの家に忍び込んだ泥棒(猿之助丈)は黒い着物がなんとも粋に見える。
二人のやり取りが面白く、根は善人らしい泥棒はまんまと騙されて帰っていく。
去っていく前に、黒の着物裏返して昼用の着物するところは「おぉ!」と思った。
一人残ったあんまが隠した小判をじゃらじゃら言わせて喜ぶさまのいやらしいことったら! 中車丈はこういうクセのある役はさすがに上手だなぁと思った。

通し狂言 鯉つかみ

通し狂言になって、今まで「何でそんなことになってんの?」と思っていたことがすっきりとわかるようになっていた。
発端は俵藤太秀郷(愛之助丈)の大百足(猿弥丈)退治。藤太の胸当てには五枚銀杏の模様が入っている。
生贄の庄屋の娘(りき彌丈)が可憐だった。
瀬津織媛(秀太郎丈)が宝剣・龍神丸を藤太に渡し、ムカデ(実は平将門の霊)は倒され、ムカデの血が琵琶湖に流れ込んだ。

琵琶湖の底では、鯉王(中車丈)が息子の金鯉(愛之助丈)が龍になることを喜んでいる。中車丈は古典風の台詞は悪くなかったけど、見得が何か違う。顔芸みたい。
鮒五郎(右近丈)がムカデの血が流れ込んできたことをご注進して去っていく。大物浦の相模五郎みたいな恰好で、右近丈はしっかり古典風で上手だった。
ムカデの血によって儀式が穢され、金鯉は龍になれなくなった。
これを恨んだ鯉親子は、藤太の家を末代まで呪うことになる。あらら、鯉は悪くないのね、というか、可哀想に…

場面は変わり、清水寺。
関白中納言橘広継(愛之助丈)が参詣に来ている。どうやら龍神丸をほしがっているもよう。
そこに小桜姫(壱太郎丈)もやってくる。奴瀬田平(愛之助丈)が女性陣の最後尾からついてくる。
瀬田平が休息に下がった後、どこぞのバカ殿・信田清晴(弘太郎丈)が小桜姫を見初め、一緒に花見をしようとしつこく誘う。
その様子を小さな滝?から鯉(ぬいぐるみ)が見ており、そこから小姓・滝窓志賀之助(実は鯉の精?)(愛之助丈)が現れて小桜姫を助ける。小桜姫はそのお小姓さんにすっかり心を奪われた様子。

ここで、龍神丸を盗み出そうとする企みや、小桜姫を信田清晴に輿入れさせようという企みなどが明らかになり、それを聞いていた瀬田平が悪者を追いかけていく。
瀬田平の赤い襦袢?には衿の部分に(団七の浴衣みたいに)五枚銀杏の模様が入っている。
なんてことはない物語の説明場面なのだが、愛之助丈がいろいろな役で登場するので、客席が驚いていた。おそらく舞台裏では猛ダッシュしているのだろうが、涼しい顔して登場するところは、役者だなぁと思った。
先月は早変わりの時に吹き替えの顔が丸見えだったけど、今回はそういうこともなく、客席も湧いていた。

ここから先は、今まで上演されていた部分になる。
釣家が藤太の子孫で、龍神丸をお家の重宝にしているという背景がはっきりしたので、ずいぶんとわかりやすい。 改めて面白い話だなぁと思った。
鯉つかみの場面は大盛り上がりで、近くの席の家族連れのお父さんが「すごいなぁ!」と喜んでいた。
鯉のぬいぐるみはとても愛嬌があって可愛いので、刀を刺されるのが可哀想。(「可哀相~。」って言ってる人もいたな。)


↑愛之助丈が泳ぎ六法で去った後の花道。

とても面白くて満足したが、今月の完成度が高い分、来月が不安だ。
この時点で他の役者さんの発表がないってことは、チラシにどーんと写真を載せないといけないクラスの役者さんは出ないってこと?(歌舞伎座や博多座に大勢出てるからねぇ…)
せっかく面白くまとまった話なので、1人12役でぐだぐだにならないように願っている。

おまけ


↑昼の部の幕間に食べたお弁当。
明治座の売店で買ったんだけど、ほとんどのお弁当が売り切れだった。
土日は人が多いんだから、もうちょっと数を用意してもいいのでは?


↑最中アイス(抹茶)。


↑夜の部の幕間に食べたみたらし団子とよもぎ団子。


↑東京駅の地下でちょっと遅めの夕食。
スパークリングワインを2杯も飲んでしまった…。


↑お土産に買った「おとし文[萌](初摘み新茶仕立て)」、きなこまめ、しろ胡麻まめ。
どれも美味しかった。
お豆は試食して美味しかったので買ったら、家族にも好評だった。


↑のぼり。