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松竹創業120周年 六月花形歌舞伎 松竹座

2015年6月13日(土)~2015年6月26日(金)
18日(木)のみ昼の部1回公演
※昼の部/夜の部 同一演目

配役

昼の部(11:30開演)/夜の部(16:00開演)

湧昇水鯉滝(わきのぼるみずにこいたき)
通し狂言 鯉つかみ(こいつかみ)
片岡愛之助宙乗りならびに本水にて立廻り相勤め申し候

序 幕 三上山百足退治の場
    琵琶湖中登竜の場
二幕目 琵琶湖湖水の場
    清水寺花見の場
    真葛ヶ原の場
大 詰 釣家下館の場
    琵琶湖中鯉退治の場

俵藤太秀郷、三上山の大百足、鯉王皇子金鯉、鮒五郎、釣為兼奥方漣、余呉左衛門、道具屋清兵衛、関白中納言橘広継、奴瀬田平、信田清晴、滝窓志賀之助 実は鯉の精、滝窓志賀之助:六代目 片岡愛之助
雨宝童子、釣為彦:初代 中村萬太郎
釣家息女小桜姫:二代目 尾上右近
堅田刑部:六代目 嵐橘三郎
鯉王:二代目 市川寿猿
篠村妻呉竹:六代目 上村吉弥
家老篠村次郎公光:六代目 市川男女蔵


データ

筋書

愛之助丈関連
16~17ページ:12役の扮装写真
18ページ:出演者紹介(舞台写真「鯉つかみ」滝窓志賀之助あり)
19ページ:舞台写真「鯉つかみ」滝窓志賀之助
29ページ:「愛之助が案内 永楽館ものがたり」のチラシ
33ページ:「もとの黙阿弥」のチラシ(モノクロ)

舞台写真

愛之助丈は、
「鯉つかみ」三上山の大百足が4種類
「鯉つかみ」俵藤太秀郷が1種類
「鯉つかみ」鯉王息子金鯉が2種類
「鯉つかみ」鮒五郎が2種類
「鯉つかみ」余呉左衛門が2種類
「鯉つかみ」釣為兼奥方漣が2種類
「鯉つかみ」道具屋清兵衛が3種類
「鯉つかみ」信田清晴が2種類
「鯉つかみ」関白中納言橘広継が2種類
「鯉つかみ」奴瀬田平が2種類
「鯉つかみ」鯉の精(鱗姿)が2種類
「鯉つかみ」滝窓志賀之助?(小姓姿)が12種類
「鯉つかみ」滝窓志賀之助(鯉をつかむ場面)が3種類

料金

一等席:13,000円
二等席:7,000円
三等A席:6,000円
三等B席:4,000円
筋書:1,500円

雑誌

『演劇界』2015年8月号

愛之助丈関連
48ページ:舞台写真「鯉つかみ」滝窓志賀之助(カラーグラビア)
60~61ページ:舞台写真「鯉つかみ」
俵藤太秀郷/三上山の大百足/鯉王皇子金鯉/鮒五郎/釣為兼奥方漣/余呉左衛門/道具屋清兵衛/関白中納言橘広継/奴瀬田平/信田清晴/滝窓志賀之助 実は鯉の精/鯉の精/滝窓志賀之助(モノクロ 各1枚)
77ページ:六月花形歌舞伎(松竹座)の劇評
135ページ中段「もとの黙阿弥」の会見の様子(1/4ページ)
演劇界 2015年 08 月号 [雑誌]

感想

1回目


20日に昼の部を前方花道寄りで観劇。

5月の明治座の6役から12役に増え、少しずつ演出が変わっている。
冒頭で大百足(愛之助丈)と雨宝童子(萬太郎丈)が立ち回りをしている間に、俵藤太秀郷(愛之助丈)が登場する。暗転時に入れ替わってるんだろうけど、どちらも隈取が派手だし、吹き替えの役者さんが顔を向ける角度が上手いので、2人が舞台で顔を見せてもあまりおかしく感じない。

大百足が倒されると、琵琶湖の底に場面が移る。
鯉王(寿猿丈)はさすがの貫禄。
明治座では金鯉(愛之助丈)はずっと鯉王の隣にいたが、今回は一度引っ込んで鮒五郎(愛之助丈)のご注進があり、その後再登場する。
蔦之助丈の口上をはさみ、数百年の時が流れる。

明治座ではなかった屋形船の場面。
釣家の奥方(後妻)・漣(愛之助丈)とちょっと悪そうな浪人・余呉左衛門(愛之助丈)が密会している。
漣は小桜姫(尾上右近丈)を亡き者にして、自分の息子である為彦(萬太郎丈)に家督を継がせたいらしい。
漣は「伽羅先代萩」の栄御前風の拵えで、余呉左衛門は「新・八犬伝」の左母二郎みたいな感じ。
衝立に隠れて早替わりを繰り返し、客席を沸かせる。

そこへ小船が現れて、花道まで進んでくる。そして、小船のござ?の下から道具屋清兵衛(愛之助丈)が登場。
これには驚いた!
不自然にござが敷いてあるとは思ったけど、どこでどう潜り込んだのかさっぱりわからなかった。
この場面だけでも、松竹座まで見に来た甲斐があった。
清兵衛はいかにも大阪商人と言う感じ。

それから、清水詣での場面へ。
関白中納言橘広継(愛之助丈)、奴瀬田平(愛之助丈)、信田清晴(愛之助丈)、滝窓志賀之助 実は鯉の精(愛之助丈)と、めまぐるしく役が変わるが、舞台の上の愛之助丈は涼しい顔。(でも、汗が流れてた。)
舞台裏では猛ダッシュしてるはずなのに、さすが役者。
バカ殿・信田清晴の「あの愛之助にそっくりな…」「倍返しじゃ!」の台詞は明治座のまま。いや、アンタも「愛之助にそっくり」だぞ。

右近丈の小桜姫は壱太郎丈とは違うタイプだけど、こちらも可愛い。
清兵衛は釣家に出入りしている道具屋らしく、呉竹(吉弥丈)に「漣と余呉左衛門が密会していた」と告げる。
今回は宝物蔵の合鍵を作ったのが余呉左衛門で、この辺りで清兵衛と余呉左衛門の追いかけっこ(2階席での早替わり)、2階から清兵衛が拳銃を打つ場面などがある。
それからだんまりの場面となり、滝窓志賀之助(愛之助丈)が龍神丸を手に入れる。

ここでいつもの釣家の場面…と思ったら、これまた演出が変わっていた。
漣は、小桜姫が嫁に行くのを承知しないので、小桜姫を扇子で打って折檻する。これを為彦(生まれながら盲目)が止めに入る。
それから「実は恋煩いで…」という流れになる。今回の篠村次郎は男女蔵丈。さばき役も似合っている。
龍神丸の威徳で為彦の目が開き、志賀之助が鯉退治に出かける。

さて、大詰。
シャワーみたいに上からも水が降っていた。
昼の部だから(=夜の部もあるのに客席が濡れるから)、手加減するかと思ったら甘かった。
永楽館ほどではないが、松竹座は舞台と客席が近いのか、すごい勢いで水が飛んでくる。
席にポンチョとビニールとタオルのセットが置いてあったので、「いくらなんでも大げさな…」と思っていたが、ちっとも大げさじゃなかった。
最後、湖から上がって花道までやってきた愛之助丈は、なんともいい笑顔をしていた。


↑開演前はこんな感じ。

いやー、楽しかった。
最近、私生活でアレコレ言われているが、そんなことはどうでもいい。(アレコレ言ってる人に対して、「アレコレ言う前に舞台の愛之助丈を見てほしい」とは思うけど。)
「また舞台を見に行きたい」と思えるうちは、私は愛之助丈のファンだし、愛之助丈のファンをやってきて良かったと思うよ。

おまけ


↑幕間に「仁扇」で天麩羅を食べた。(コースの名前は失念)
美味しかった。幕間なので、ゆっくり味わえなかったのが残念。


↑お土産は、アンドリューのエッグタルト。

桃屋のごはんですよセットが売ってると聞いたのだが、見つからなかったので店員さんに聞いてみた。
売り切れてしまったらしい。残念。

舞台写真も販売されていた。
12役もあると、1役で1枚買うと12枚…

千穐楽


前方上手側で観劇。

千穐楽の特別演出はなし。
大詰で、前見た時よりも派手に水を飛ばしていたような気はする。
あらすじは前回書いたので割愛。相変わらず面白く楽しい舞台だった。

愛之助丈が泳ぎ六法で引っ込んだ後、客電はついたが、拍手が鳴り止まない。
花道から愛之助丈が引き返し、スタオベでカーテンコールがあった。
歌舞伎のカーテンコールを嫌う方もいるだろうが、1人12役の奮闘公演の千穐楽だし、色々あった後での満員の客席からの拍手だし、出ざるを得ないだろう。

一言一句は覚えていないが、だいたい以下のような感じでご挨拶。
永楽館で「鯉つかみ」をしていたので、大阪でやった気になっていたが、ホームグラウンドの松竹座でやってなかったので、やらせてもらった。
これからも歌舞伎、上方歌舞伎をよろしくお願いします。片岡愛之助をお見捨てなきようお願いします。
来月は僕は出ませんが、大歌舞伎があるので、ぜひお越しください。
今日からキリンのCMが流れます。8月は新橋演舞場、9月は松竹座で「もとの黙阿弥」です。

拍手が鳴り響く中、愛之助丈がお辞儀をして、幕が下りた。

改めて、役者は舞台が全てだなぁと強く思った。
誰が何と言おうと、観客の目の前で奮闘する役者以上の説得力は出せない。
次の観劇は9月の松竹座の予定だが、我慢できなくなったら東京まで行くかも。

千穐楽 おまけ


↑アルションのケーキ。
ホテルで夜と朝に1つずつ食べた。


↑アルションのディナー。
終演後でも間に合った。


↑お土産は、アンドリューのエッグタルト。