胸が破裂しそうだ。
体中がドキドキ言ってる。ベッドに横たわって、ナヴィは蝋燭の明かりに照らされたガスクの表情を見上げた。体重がかからないように脇に腕をついて、ガスクが熱っぽくナヴィを見つめると、ナヴィはふいに口元を押さえて笑い顔を背けた。
「何だよ」
ガスクがそれを追うように顔を覗き込むと、ナヴィは笑いながら答えた。
「ガスクが僕の首を絞めたのも、このベットだったよ」
「ああ…あの時は悪かったな」
バツが悪そうに呟いて、ガスクが目をそらした。怒ってんのか? ガスクが尋ねると、ナヴィはガスクを見上げて手を伸ばした。
「ちょっとね」
そして、ガスクの頬に触れる。
不思議だな。あの時はこんな風に思うようになるなんて、考えもしなかった。
目を細めてガスクを見たナヴィに、ガスクは身を屈めて口づけた。初めは軽く啄み、それから深く、舌を伸ばしてナヴィの唇を舐めた。舌を絡めてナヴィが思わずガスクの首筋に腕を回すと、ガスクは体を沈めてナヴィの頭を抱いた。
「…ふ」
熱い吐息がナヴィの唇からもれた。衣擦れの音がして、ガスクが腰を擦りつけながら夢中でナヴィにキスすると、ナヴィはうっすらと頬を赤らめてガスクの背に腕を回し、その広い背中を確かめるように辿った。
まるで世界に二人しかいないみたいだ。
この暗闇の中、朝が来るまでは。
ガスク、僕は時々思う。
まるで初めから決められていたような出会いがあるということを。
その不思議を、人は運命と呼ぶのかもしれない。
ガスクがナヴィの服の裾から手を入れると、素肌が触れてナヴィがわずかに身を捩った。ガスクの髪に触れて柔らかくなで、されるまま身を任せていた。首筋を舐められながら肌をまさぐられ、体の芯を甘い痺れが貫いた。体が溶けて意識だけになっていくみたいだ。どうなってしまうのかな。
ふいに右足を抱えられて、ナヴィは思わずガスクから目をそらし、その腕をつかんで止めた。
「何だよ」
その低い声も甘やかに、ナヴィの耳元で囁いてガスクがナヴィの視線を追いかけた。照れてんの? からかうようにガスクが笑うと、ナヴィは耳まで赤くなって焦ったように答えた。
「ちが…初めてだから」
目を伏せてナヴィが言うと、は?と答えてガスクはナヴィの足から手を離した。
「初めてってお前、結婚してたんだろ」
顔を背けて息も絶え絶えといった表情のナヴィを見て、ガスクが尋ねた。黙り込んだナヴィを見て、慌てて身を起こした。ベッドの上で思わず正座をしたガスクを、ナヴィは同じように起き上がって見上げた。
「だって、婚儀の夜に…だから」
ふいにハティを思い出して、ナヴィはじわりと目を潤ませた。
「そうだったのか」
ジジジと蝋燭が音を立てた。
手を伸ばしてナヴィの指先をつかむと、ガスクはナヴィの鼻先に口づけた。握った指先にもキスして、それから来いよと囁いた。ナヴィが緊張して体を強張らせたままガスクに添うと、ガスクは立て膝をついたナヴィの体に腕を回してシャツの裾をめくった。
「ナヴィ…エウリル、愛してる」
黙って大きな目でガスクを見たナヴィに、ガスクが言った。
「お前を愛してる。生涯、誓って」
シャツを脱がせその胸に丁寧に口づけて、ガスクは何度もそこを吸った。大丈夫だ。安心させるように囁いてナヴィの鎖骨の辺りに赤い跡を残すと、服の上から柔らかく股間を握りながらガスクはナヴィを見た。
「力抜けよ」
キスの合間に囁いた。ナヴィが閉じそうになる目を必死に開いて、ガスクのがっしりとした肩をつかんだ。ガスク、ガスク。か細い声で何度も呼ぶナヴィの足の間で手を動かして、ガスク自身も息を荒げた。
「!」
手が肌を伝って、中へ潜り込んでくる。
直接触れられ、力が抜けてナヴィはベッドにへたり込んだ。それが合図であるかのように、ガスクはナヴィのズボンをずらして屈んだ。唇が触れ、舌で覆われてナヴィがあっと声を上げた。飲み込むように口に含んで、固くなっていたそこを口の中で舐めてガスクはナヴィの足を開いた。
「…っ、…! あ…」
蝋燭のわずかな明かりに照らされたナヴィの顔は、いつもよりもずっと乱れて匂い立つような色香を放っていた。シーツをつかんで落ち着かずに何度も力を込めると、喉を仰け反らせてナヴィが熱い息を吐いた。手と口で容赦なく攻め立てられ、今まで感じたことのない快感が押し寄せて、ナヴィはクッと歯を食いしばった。
「ん…」
ガスクの喉が動いて、はあはあと大きく呼吸してナヴィは呆然と天井を見上げた。
最後まで飲み込んでからそっと唇を離すと、ガスクはナヴィの顔を覗き込んだ。チラリとガスクへ視線を向けて、ナヴィはついと目をそらした。その頬を愛おしそうに覆って、ガスクはナヴィの頬から耳たぶまで幾度もキスを重ねた。
「死ぬほど恥ずかしい」
ナヴィが言うと、ガスクは声を上げて笑った。萎えたそこにガスクの猛々しいそれを押しつけられ、ナヴィがガスクの首に腕を回すと、ガスクは目を細めてナヴィの体を抱えた。
|