ハリハリノ 玻璃の器の裏方話・平安時代にまつわることなど
 

12 扇と蝙蝠と笏 烏帽子と冠

私邸にいる時と参内する時の服装も違いますが、その時に持つ小道具もかなり違います。
私邸でくつろいでいる時は基本的に直衣や袿姿に烏帽子をかぶります。参内する時や宴など改まった席では冠です。髷を見せるのは裸体を見せるのと同じぐらい恥ずかしいので、寝る時とか病気の時ぐらいしか外しません。エッチしてる時だって烏帽子かぶってるもんなあ。
冠と烏帽子は公私で覚えれば簡単なんだけど、少しややこしいのは扇と蝙蝠と笏の使い分けなのですよ。

扇と蝙蝠は基本的に使い方は同じで、冬は扇、夏は蝙蝠と季節によって使い分けます。
私邸でも宮中でも内裏でも、普段は懐紙と一緒に懐に入れてるみたいです。
扇や蝙蝠の持ち歩きは基本的にしません(女房が顔を隠して歩くのは別なのかな。そういうシーンがあったような…)。座ってから懐から出して広げます。
あと、主上の前では扇や蝙蝠は使いません。公的な場でも使いません。これが何だか意外だった。調べてみないと分からないもんなのね〜。

笏は束帯姿(宮中でのユニフォームですね)や冠直衣の時に手に持ちます。
持ち方も決まっていて、親指と小指は笏の内側、中三本指は外に挟んで右手で持ち、手は袖で隠して露にしないとか、左手を添える時は右手が下とか、構える時は笏の上端を顎下一寸になるようにするとか、もーうわーってなりそうなほど決まりがあります。
笏の裏側に紙を貼ってメモにすることもあって、その紙が笏紙と名前がある辺り、わりと当たり前にカンペを作って貼っていたと思われます(笑)

扇や蝙蝠にはいろいろな絵や歌が書きつけられていて、色鮮やかな紐がついていたりして、こういう小物でオシャレ度を量るというのは現代と同じですね。
源氏物語での扇のエピソードでは、夕顔が花を扇に乗せ女童に持たせて源氏に渡したのが有名かと思いますが、源典侍が持っていたド派手な扇もお茶目で結構好きです。

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