ハリハリノ 玻璃の器の裏方話・平安時代にまつわることなど
 

14 二藍という色

公卿が出仕する時に着る直衣は、四位五位の者が着る束帯とは違って、官位によって色は決められていませんでした。
が、参内する際は、冬は白、夏は二藍といって紅花と藍の二色で染めた色の直衣を着ていたそうです。

この二藍という色は、はっきりこれという色が決まっていません。
先に紅で染めてから藍で染めるので、この紅と藍の配合で、藍色から赤紫のような色まで幅広く二藍と呼んでいました。
若い人ほど紅が濃く(赤紫色っぽい)、年配になるほど藍が濃くなります。
直衣で参内できるのは、三位以上の公卿と大臣の子息、帝の勅許をもらった人だけですので、夏に内裏で紅の強い直衣を着ている人は、若いのにかなり位の高い人、もしくは身分の高い人の子息ということになります。

冬は白い直衣を着るのですが、この裏に二藍をかさねた物を「桜直衣」といいます。
これも若い人ほど二藍の紅を濃くします。表から見ると白地に二藍が透けて桜色に見えたことから、この名前がついたようです。
宴などでみんなが白い直衣や堅苦しい束帯を着ている中、見目麗しく年若い男がこの桜直衣を着ると、パッと場が華やいで注目を集めそうですね。一人だけ桜色ですから(笑)

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