ハリハリノ 玻璃の器の裏方話・平安時代にまつわることなど
 

20 京の治安

平安は王朝文化が花開いた時代で、貴族たちは優雅な生活をしているように見えますが、治安はすこぶる悪かったようで、羅城門は盗賊のねぐらと化していました。
それは京内も例外ではなく、日が暮れると大路小路に盗賊が出没し、特に下条へ下れば下るほど妖怪や悪霊と共に盗賊が現れると、京の人々に恐れられていました。
京内が荒れていたというのは内裏も例外ではなく、たびたび野犬が出没して大騒ぎになったりしています。
京内の治安を維持する検非違使たちの中にも、税収と称して金満家を襲ったり、屋敷に居座ったりする者もいたようで、権力を持つ者が悪いことをするということでは、現代と通じる所がありますね。

『玻璃の器』第四章の11で、馨君が右衛門佐たちと夜の京内を馬で飛ばしていますが、宇治へ行くには南下しなければいけませんから、相当恐かったのではないでしょうか。
今で言えば、いかにも金持ちそうな政治家のお坊ちゃんが、銃声の響くダウンタウンをバイクで駆け抜けるぐらいの恐さかなあと思うのですが。
荘園収入で華やかに暮らしていた貴族たちの文化の裏には、飢饉や重税に苦しんだ庶民の姿もあったのです。

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