7 女性のおでかけ
第一章の7で、式部卿宮の息子柾目が「石山詣でのご縁が…」と言っておりますが、当時は仏教信仰が盛んで、寺社詣でも物見遊山、旅行気分で行われていた節があります。 特に、上流階級の女性はおでかけする機会は極端に少なくて、寺社詣でと葵祭(賀茂祭)を一年のメインイベントのように考えていたようです。 石山寺というのは滋賀県大津市に現存する真言宗のお寺なのですが、長谷寺と並んで平安文学にはよく出てきます。規模が大きくて華やかなお寺で(お寺を華やかって言うのはどうかと思うけれど 笑)如意輪観世音菩薩さまを祀ってます。安産、厄よけ、縁結びのお寺なんですねえ。いろんな花が植えられていて年中楽しめるし、貴族の姫君は何泊かかけて石山寺に参拝し、その間にその場で男性を見初めたり見初められたりして、一種の社交場にもなっていたようですよ。 石山寺は紫式部にもゆかりの深いお寺で、源氏物語を書く前に紫式部はここで籠っていたとかいう逸話もあるそうです。