ハリハリノ 玻璃の器の裏方話・平安時代にまつわることなど
 

8 読書始の話

皇族や高位貴族の子息は、七、八歳になると「読書始(ふみはじめ)」といって漢籍を習いはじめる儀式をします。小学校の入学式みたいなものですかね。
現在、五歳の馨君は第一章8で早くも「和歌を読めるもん!」などと言っておりますが、もちろんスラスラ読める訳じゃなくて、字も象形文字かっていうぐらいメチャクチャ…という感じです。本人はスラスラ書いてるつもりになってますが(笑) 子供の頃って、自分の書いた字を自分で上手い!って思ってたような気がするんです、ホントはめちゃ下手なのに(笑)

この時代は和歌よりも漢籍の方が重視されていて、上流階級のたしなみとして「漢籍を自作する」というのがありました。
この時代の人の日記を見ても、読み下し文じゃなく漢詩みたいに漢字ばかりで書かれていて、読むのが大変なんです(怒) 必要な部分がどこだか分からない…。
だからといって、和歌が軽んじられていたのかというとそういう訳でもなく、入内する時には古今和歌集をそらんじられるぐらい暗記するのがたしなみで、直接的表現を避けた内裏では、女御が「格子を上げてちょうだい」という代わりに和歌や漢籍の例えを呟いて、ピンと来た女房がさくっと格子を上げ、ピンと来なかった周りの女房をポカンとさせたとかいう話もあるようです。

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