兄×妹。きわどいシーンはありません。でも微妙に下ネタはありますのでご注意を。

戻りたい。戻りたいよ。待っていてくれるから、だからこそ、今すぐにでも。


「ごめんくださーい…えっと…」
真っ暗なテントの中を覗き込み、アルはそう声を掛けたが、テントの中からは返答が無かった。
(営業してないのかなぁ…また出直した方がいいのかも…)
テントの中にアルが訪ねた目的の人物がいる気配はなく、彼女は僅かに落胆しながら今入って来た所から再び出ようとしたのだが。
「おやおや、お美しいお嬢さん。私に何かご用ですか?」
背後から聞こえた男の声に、アルは飛び上がりそうになる程驚いて、その声の方を向いたのだった。
アルの背後には、先日エドワードが小馬鹿にした小男がにこやかな表情を浮かべて立っていた。
「あっ…あの!ちょっと興味があって…その…」
「私の占いにですかな?あなたは1時間後にはここに来た事を大いに感謝する事になりますよ。私は占いだけではない。悪い結果が出ても、その後であなたが何を成すべきかを的確に判断し、そして幸運を招き寄せる為の方法を教授する事が出来る、数少ない人間なのですよ」
小男は聞かれもしないのに、まるで歌でも歌うかのように滑らかにアルに話し掛けた。だがアルは驚きながらも自分が何の為にここにやって来たかを説明し始めたのだった。
「そうじゃないんです。あの…催眠術で…心の悩みを解消したいんです」
「心の悩みですと!おお!なんという!」
小男は今度はアルの言葉に誇大に驚いた表情を作ると、次に無理矢理伸ばして横分けにした髪を撫で付けながらまた話し始めた。
「それこそ我が専門分野ですよお嬢さん!このアレクサンドル・ドミトリー・フルシェンコフ3世!はセントラルで心理学の研究を10年間行って参りました。そこで得た知識と技術を元にこうやって全国を回りながら、あなたのように悩みを抱えている方を救うべく、日々…」
小男はまたしてもアルが聞きもしない事まで話し出す。これにはさしもの我慢強いアルも呆れて小男の顔を覗き込んで言ったのだった。
「それで、相談には乗っていただけるんですか?この街にはあまり長く居られないから、手早く済ませたいんです」
「おっと、そうでしたな。それでしたら今からでも施術いたしましょう!まずはお嬢さんの心の悩みとやらをお伺いしまして、それからその原因となっているものを特定させる訳です。原因が分かったら本格的に催眠術を掛けてその、原因となった時期まで記憶を退行させ、悩み自体を受け入れられるように改善させるのです!」
「原因…です…か…」
意気揚々といった風で両手を広げて熱弁を奮う男にアルは表情を曇らせた。
(悩みの原因まで遡るって…思い出したくないことを思い出さなきゃならないんだ…)
セントラルでチンピラたちになされた事など一寸たりとも思い出したくはなかったが、試しに男に思い出したくないと言うと、とんでもない!と目の玉が飛び出さんばかりに目を見開き、怒鳴られ、それでは根本的な解消にはなりません!と逆に怒られてしまった。仕方なく、アルは男に悩みを抱える事となったいきさつをかいつまんで話す事にした。
「…えっと…あー…あの…しばらく前に、男の人にとてもひどい事をされて…それで…本当に好きな人とそういう事が出来なくなっちゃったんです」
直接的な表現は可能な限り避けてアルはそう話すが、男は分かっているのか、本当に分からないのか、とぼけた顔でそういう事?とアルの言葉を繰り返した。
「それはどういう事ですかな?お嬢さん?」
「だから…そういう…あの…夜するような…」
「どんな事ですかな?」
「あー…だから…せっ…」
「接待?」
「違いますっ!せっくすですっ!」
ついストレートに口に出してしまい、アルは慌てて口を押さえたが、男はアルの言葉を聞くなりいきなり立ち上がるとアルの両手を握り締め、感極まったように叫びを上げたのだった。
「おおおおお!なっなんという悲劇!あなたのように若く美しい女性が性の喜びを得る事が出来ないとは!悲劇です!この世で最大最悪の悲劇!そして私に科せられた人生最大の試練!」
握りしめられた手を必死で振りほどき、アルはテントの入口近くまで後ずさる。だが男はアルの様子など全く無視して再びアルににじり寄るとまた手を掴んだ。
「神よ!私めにこのような試練を与えてくださるとは!いいでしょう!私は受けて立ちましょう!そしてこの美しい妖精のような女性を苦しみから解き放ってみせましょう!」
もう男の顔は感極まって涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっている。その余りの凄まじさにアルは限界まで腕を伸ばして顔を男から背けると叫び声を上げた。
「もっもうそんな口上はいいですから!早く!早く催眠術をーっ!」

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「では、始めますよ。気持ちを楽にしてください…このランプを見つめて…目を離しちゃいけません。これからあなたに掛ける術は少々特殊なものです。あなたの持っていたこれで…全てが解放されるのです。さあ、どうぞ、口にして…」
ランプの明るさ以外、全く明かりと言うものが存在しないテントの中。数度の点滅を繰り返すランプにアルは男達に囲まれた薄暗い部屋の中を思い出していた。
(やだよ…触らないで…ひどいよ…いやだ…いやだよ…にいさんにいさんたすけてねえたすけてだれでもいいからたすけてたすけてきもちわるいよいたいよくるしいよ…たすけて…!)
無数の手がアルに身体に触れようとして伸ばされる。必死になって逃れようとしたその時、アルは−アルの意識はやわらかく、あたたかく、ちいさな何かに触れたのだった。
(たすけてあげる。おねえちゃんのかわりになってあげるよ。だからちょうだい、えどをちょうだい。あたしにちょうだい、このからだをちょうだい)
それは無邪気な意識だった。だが、逆にその悪意の無さがアルには恐ろしかった。それでも呼び起こされたおぞましい体験から逃れたい一心で『それ』に縋ってしまった。
(あたしのからだ、あたしのえど…ぜんぶあたしの…)
『それ』はアルの意識を自分の背後に押しやると笑いながら言った。
(あたしのからだ…あたしのもの…)
『それ』はアルをそれまで自らが存在して居た場所に閉じ込めると、無邪気に笑った。

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「おや、彼女を探しているのかい?」
エドワードは背の高い若い男に呼び止められるとそう聞かれた。
「なっ…なんで知ってるんだよ?それにあんた誰?」
見覚えのない男にエドワードは首を捻りつつ返事をすると、その男は笑って自分のポケットから赤い付け鼻を取り出して顔にあてがった。
「この前君たちにキャンディを渡したじゃないか?とてもお似合いのカップルだったから憶えてたんだよ。あの可愛い彼女と喧嘩でもしたのかな?」
そう言う男は数日前にエドワードたちにキャンディを渡した移動遊園地の客引きの道化師だった。何かを探すように周囲を見ながら遊園地の入口を通り過ぎようとしたエドワードだったが道化師の男の言葉に血相を変えると、掴み掛かるようにして言った。
「アルが…お、俺の彼女…いなくなっちまったんだ!あんた、アルを見たのか?」
道化師の男は遊園地の中を指差して話し出す。
「ああ。30分くらい前だったかな?彼女が思い詰めたような顔して入って行ったよ」
男の指の先はあの怪しげなテントを差していた。
「ありがとう!おっと!これ入園料!」
エドワードはズボンのポケットから1000センズ札を取り出すと男に投げるようにして渡し、そしてテントめがけて駆け出した。
平日夕方の移動遊園地の中は人の姿もまばらで、既に仕舞ってしまったアトラクションもあった。薄暗がりの中、占いのテントを目指して一直線にエドワードは走った。やがてテントに辿り着くと上がる息もそのままに、テントの入口の幕をめくり上げて、怒鳴り散らしながら中に踏み込んだのだった。
「アルーーーっ…あ?」
「ふぁあああああん!」
果たしてアルはテントの中に居た。だが、顔を真っ赤にして泣き声を上げるその様子はいつものエドワードが知るアルとは違和感があった。そして泣くアルの尻の下には、顔をボコボコに殴られて息も絶え絶えと言ったあのいやらしげな小男がエドワードに助けを求めていた。
「アル?どうしたんだよ?」
「あっ…た、助けて…!急にこの子がぁ…」
「うええ…え…え…えど…?」
アルは小男のなけなしの髪を鷲掴みながらエドワードを見てようやく泣き止む。そして小男の上から素早く飛び退くと、一目散にエドワードに向かって飛びついたのだった。
「エドぉーっ!」
「何…なんだよ?おいおっさん!一体何があったんだよ!」
飛びついて来たアルを首にぶら下げつつ、小男の腕を掴んで立ち上がらせるとエドワードは小男に詰問した。
「この子が催眠術を掛けてくれっていうからしてやっただけだ!大体おっさんなどと呼ぶんじゃない!アレクサンドル・ドミトリー・フルシェンコフ3世!様と呼ぶんだ少年よ!せっかくとびきり上玉をおいしくいただけると思ったらとんだ乱暴者で…ああ、催眠術を掛けりゃどんな女も意のままだったのに、この子だけはなんで…えぶぅ!」
乱れた髪を必死に整えながら大きな独り言といった風情で愚痴る小男に、エドワードは機械鎧の右手で拳を握りしめるとそれを男に向かって繰り出した。頬にエドワードのパンチを受けて男の丸っこい身体がテントにぶち当たり、そのままテントはばふーっと派手な音を立てて崩れ去った。
「てめえ、アルに何をしやがったんだ!」
アルを庇いながらテントの下から脱出したエドワードはまだテントの下でもがいて居た男を引きずり出すと再びシャツの襟元を掴んで問い質した。だが、男はエドワードに怯えたようにただ顔を横に激しく振るだけで何も話そうとはしなかった。
「なんか言えっつーの!このクソハゲ親父!」
その時、すっかり泣き止んで笑顔のアルがエドワードの背後から彼に飛びついた。その拍子にエドワードは小男から手を離してしまう。男はその隙を見逃す事はなかった。その体型からは想像出来ないような素早さでエドワードたちから離れると、腫れ上がった顔で啖呵を切った。
「いいい、いきなり殴っておいてなんだねその言い種は!全く2人揃ってとんだ乱暴者だ!このアレクサンドル・ドミトリー・フルシェンコフ3世!慰謝料を要求するぞ、慰謝料を!」
「なんだと?てめえ、さっき女をいいいようにしてたとかなんとか…なにをしてたんだ?」
エドワードは小男の独り言を聞き逃してはいなかった。それを指摘された男はとたんに顔色を変えると、じりじりと後ずさった。
「いや、その…しかしだ、その子には何もしておらんぞ!する前にボコボコにされたんだからな!全く!今日は引き下がってやる!しかしお前たちは必ず後悔するだろう!何故なら、彼女の術を解く事のできるのは、この私、アレクサンドル・ドミトリー・フルシェンコフ3世!だけなんだからなぁ!」
エドワードは再び男を殴ろうとしたが、アルが抱き着いてそう出来ずにいた。すると男は転がるようにしてその場から走って逃げ出してしまった。
「まっ…待てよ!クソハゲデブ親父!」
騒ぎを聞き付けた人々が倒れたテントの周囲に集まりだした。だが、そうなってもまだアルは無邪気に笑いながらエドワードに抱き着いて離れようとはしなかった。

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「これは…?」
「アル…よ、ねえ?」
「多分…でも、違う!」
「ものまねどり亭」にはいつものように客のいない店内にロブとフィオナ、そしてエドワードとアルがいたが。
移動遊園地内での騒動の後、エドワードはアルの手を引き「ものまねどり亭」へと戻った。しかし、いつもなら乱暴を働く兄に対して保護者然として注意するアルではなく、ただエドワードに懐くように抱き着くばかりに変貌していた。
「でも、どこか打ったとか、怪我した風でもないじゃない?どこが違うって言うの?」
エドワードの腕にしっかりと抱き着いて離れようとしないアルの短い髪を撫でながらフィオナがそう言うと、エドワードが眉を寄せながらそれに答えた。
「…俺はアルが生まれてからずっと一緒だったんだ。いつものアルじゃない事ぐらい、分かるよ」
そう言う間も、アルは変わらずエドワードの腕に縋っている。そんな彼女をちらりと見てエドワードは溜息をついた。
「…なんてったって、さっきから俺の名前しか、言わないんだ。こんな風に抱き着く事だってなかった…」
「エード!エド!」
しかし、エドワードの憂鬱そうな口調など知らぬと言った風情で、アルはまた兄の名を連呼すると尚一層きつく兄の左腕を抱きしめたのだった。
「で…エド、あんたはその怪しい男がアルをそんな風にしたって思う訳ね?」
「間違いねえだろ?どうやらあいつの口ぶりからこれまでも結構妙な事をやらかしてるぽかったぜ。だから警察にチクってとっ捕まえて、またボコボコにしてアルを元に戻す方法を吐かせる!」
フィオナの言葉にエドワードは自由に動かせる方の右手で拳を握りしめるとそう強く言うが、不意に、傍らのアルが黙ってそわそわと周囲を見回し始めた事に気が着いた。
「…アル?どうした?」
アルはきょろきょろと周囲を見回すと、やがて俯く。急に大人しくなった彼女の足元に水たまりが出来始めたのを見て、アル以外の一同が驚愕の叫び声を上げた。
「もっ…漏らしてる!」
急にばたばたと騒々しくなった周囲にアルは驚いたのか、悲しげな表情になると小さくしゃくりあげながら泣き出した。デニム地の膝丈のスカートからすらりと伸びた足を伝って僅かに色付いた液体が床に広がっていく。慌ててモップを持ち出して床を拭き出したフィオナが言った。
「どうしちゃったのよぉ!まるで赤ちゃんに戻ったみたいよ!」
粗相の始末を終え、身体を清めたアルはフィオナの好意で服を借り、エドワードと宿へ戻った。
昨日からのアルの様子を思い出しながら、どっと疲れの出たエドワードはベッドへ倒れ込むと、自分の腕に縋り付いて一緒にベッドに倒れ込んだアルを見た。アルはエドワードの視線に気がついたのか、またしても無邪気に笑うとエドワードの名を呼ぶ。
(ああ…まるでガキの頃みたいだ…)
名を呼ばれてエドワードは自分達が小さかった頃を思い出した。まだエドワードも小さく、アルに至ってはようやく言葉を覚え始めた頃はよく互いの名を言い合ったものだ。弟の名を呼んでやるとぱっと花の咲いたように明るい笑顔が返って来て、エドワードは心底嬉しかった事を記憶している。
愛しあうようになってから同じベッドで寝る事など珍しくもなかったが、それとは違う、性的な欲求なしにぬくもりを求めて眠る事が彼らにとってどれ程久しい事だったかをエドワードは思い出す。
「…お前は、アルなのか…アルじゃないのか…?」
魂を定着させている印は完全な形を保っており、アルの魂がその肉体から離れてしまったという事は考えられなかった。あの逃げ出した催眠術師がどのような術をアルに掛けたのかエドワードには分かりかねたが、ただ一つ、その催眠術師を捕らえて術を解くようにしむけなくてはならなかった。
「…仕方ねえ…あいつに頼むか…」
自分の傍らでアルは寝息を立て始めていた。未だエドワードの左腕に縋ったままで、エドワードの肘にはアルの柔らかな胸の膨らみが押しつけられている。
「…こっちもなんとかしないと…」
またしても自身の内側から沸き上がる肉体の欲求に、エドワードはなんとかアルから身体を離そうとベッドの上でちいさくもがいていた。

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「あーマスタング准将いる?え?繋げないの?うーん、じゃああっちから掛けさせてくれないかな。うん、エドワード・エルリックで番号は0***の*9***1で…」
昨晩の騒動から一夜明け、相変わらずエドワードにべったりくっつき、彼の名前しか口にしようとしないアルと『ものまねどり亭』へやって来たエドワードは店の電話を借りてセントラルの軍司令部へと電話を掛けていた。
だが、エドワードがまるで目下の者への伝言を頼むかのように電話口でそう話し続けるのを聞いてロブも、さしものフィオナも顔面を蒼白にしてその様子を見守っている。
「さて…これであとは連絡待ち…なんだよ?」
「…はは…あ、相変わらずだねぇ、アルといい、エドワードさんといい…」
一度、ロブとアルが働いていた店を訪ねて来たマスタングとアルの会話を聞いているロブがようやく口元を引きつらせてそう言うと、次いでフィオナが吃りながらエドワードに話し掛けた。
「あっ…あんた…いいいい今の…ママ…ますたんぐって…あんなすごい人にタメ口きいて…だいっ…大丈夫なの?」
「ああ。保護者みてえなもんだし、そういう事をあまり気にしない奴だからさ」
気にしていないのはエドワード本人だけじゃないのか?という疑いの目をロブとフィオナは向けたが、そう思っているうち、先程エドワードが使っていた電話が規則正しいベルの音を鳴らしたのだった。
「はっはい、こちら『ものまねどり…』は?あ、はい!ちょっとお待ち下さい!」
電話を取ったロブが慌ててエドワードに受話器を押し付ける。エドワードがそれを手に返事をすると、受話器の向こうから冷静な女性の声が聞こえて来た。
「エドワード君?私、ホークアイだけど」
エドワードは聞き覚えのあるその声に安堵したように話を始めた。
「ごめん、大尉。ちょっと面倒な事が起きちまったんだ…あ…いや、アルが…いっ…いいや!身体はなんともねえんだけど!ちょっと…頭ン中が…とりあえず聞いてよ…アレクサンドル・ドミトリー・フルシェンコフ3世とかいう奴がセントラルで催眠術の研究をしていたって話らしいんだけど、そいつの素性を調べて欲しいのと、軍警察に言って指名手配して欲しいんだ!」
おそらく電話口でホークアイに面倒を起こした事を咎められている様子のエドワードだったが、手早くアルに起こった事の顛末を説明して電話を切る。それから別のテーブルで朝食を食べているアルを見た。
「エド!」
フィオナが小さく切り分けたパンケーキを手づかみで口に運ぶアルはエドワードの電話が終わったのを見て嬉しそうに笑う。だがエドワードの方は手も口の周りもシロップでべたべたのアルを見て頭を抱えた。
「ほら!ちゃんとフォークを使って食え!…ったく…」
文句を言いながらもエドワードはアルの手や口を綺麗に拭ってやると、アルの右手にフォークを握らせた。それから自分もフォークを手にして食べ方の見本を示してやったのだった。
「こうやって差して食べるの!」
エドワードが何度かパンケーキを差して口に運ぶ仕種を見せてやるとアルはそれを真似して同じ動きをし始める。やがて自分からパンケーキをフォークに差して食べ始めた。
「あらぁ、物覚えが早いのね!この分ならトイレもお風呂もすぐ憶えてくれるんじゃないの?」
マスタングへの電話の緊張がようやく解けたフィオナがアルの様子を目を細めて見ているが、その様子にエドワードは不機嫌になって言った。
「覚えるんじゃなくて、戻ってもらわないと困るんだよ!…アルじゃねえよ…まるで違うガキが目の前にいるみたいだ…」
まるで別人の魂が入り込んでしまったかのようだ、と頭を抱えたエドワードだったが、不意にある考えが頭の中に浮かんで戸惑った。
「…まさか…でも…ありえない話じゃねえ…」
「どうしたの?エド、あんたも食事にしないの?」
自分を不思議そうに見るフィオナには目もくれず、エドワードはアルの様子を食い入るように見つめていた。

ごめん、お漏らしさせちった!今回はそれに尽きる!兄も我慢継続中(爆)。

果たして、アルの中に居るのはアルなのか、アルじゃないのかーっ?

んな訳で以下次回へ!

   


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