「はぁー・・・僕のファーストキス相手は悪魔。童貞は鎧の化け物に奪われて・・・」
涙目の綾太。尻穴の触手は抜いてもらえたが、まだペニスの先から、尿道に残った液が垂れてきそうな気がする。
(そんなこと言わないの。あなたは親子の尊い命を救ったのよ?誰にでもできることじゃないわ)
おち◎ちんがひどく痛む。身体が火照り、まだ心臓がバクバクしていた。
始めての性体験にして、オナニー数週間分の精子を一気に放出した綾太。
「寿命が数年、縮んじゃった気がするなあ」
ぼーっとする意識の中ふらふらと飛び続け、人目に付かぬビル陰を探す。
(どうもお疲れ様でした!)
変身が解除されると、一糸纏わぬ素っ裸の綾太が立っていた。
「そうだ。服、破れちゃったんだった」
まだ、バイオアーマーの内側で飛散した精が全身に付着している気がする。
肌は乾いているが、クンクンするとかすかに臭いがする。
学校を出るときに着ていたカッターシャツと黒いズボンは、ビリビリに破れて使い物にならない。
素っ裸でテレビ局に向かうわけにもいかず、体操服・・・その日は4時間目に体育があったのだ・・・を着ることにした。
そのままバッグに入れてあったため、汗ぐっしょりで、じっとり気分が悪い。
シャワーを浴びたいところだが、電光掲示板の時計を見ると、スタジオ入りする時間まで走ってギリギリだ。
「家に帰って着替えてる余裕はないな・・・」
ショートパンツに体操シャツ、運動靴という姿でテレビ局に急ぐ綾太。
ブリーフも破れてしまったから、ショートパンツの下には何も履いていない。
走る衝撃で、ショートパンツの中でぶるんぷるんと揺れ踊る、萎んだ包茎と玉袋。
体育座りしたら隙間から見えてしまうかも知れない。
汗で湿った体操シャツには乳首とへそが浮き出ていた。
間一髪で、汗びっしょりでテレビ局に着いた。
玄関まで、番組スタッフの一人が出迎えてくれていた。
「ごめんなさい、例の悪魔の『事故』に巻き込まれてて遅くなりました」
「おお、無事だったかい! 遅いから、怪我でもしてるんじゃないかと心配していたんだよ。
すぐに着替えて。衣装は用意してあるから」
ところが、控え室に向かう廊下ですれ違った役員が不吉なことを言った。
「おっ、都築くん、その格好いいね!運動会シーズンも近いことだしね!」
「はっ・・・はあ・・・?」
「そのランパン、もう少し上げたほうがいいよ?フトモモがスラッと長く見えるから」
舐め回すようにねちっこい視線を送る役員。
これ以上上げたら・・・おち◎ちんがはみ出ちゃうっ。
鶴の一声で、体操着のまま番組に出される羽目になってしまった。
それはまだよいが、ショートパンツの下がノーパンなのはいかにも落ちつきが悪い。
幼い精を出し尽くした袋と、触手に乱暴されまだじんじんと痛む竿が、薄いショートパンツの皺に浮き出ている気がする。
今日は、ローカルの情報番組で担当しているワンコーナーの収録だ。
スタジオ袖で出番を待つ綾太。
幾つか並んだモニター画面の一つに、隣のスタジオで生放送されているニュース番組が映っている。
兜童子と悪魔のバトルが映し出されていて、気になって仕方がなかった。
アナウンサーの一人が言った。
「VTRを止めてください。この瞬間。この瞬間です。口もとしか分かりませんが一瞬、辛そうな顔をしますね?」
「戦闘スーツが破壊されて、負傷しているかもしれないですね」
それは綾太が射精する瞬間、口を開けたときの映像だった。
「身長と体格からすると少年と思われますが、いったい誰なのでしょうか?」
「さあ・・・身長の低い異星人ということも考えられなくありませんが」
隠れた場所から撮影されていたのは予想外だったが、どうやら悪魔とのキスや、悪魔の性器が、
カメラの角度の問題で撮影されなかったらしいのは不幸中の幸いだった。
「詳細はまだ警察が調査中です。以上、T市よりお伝えしました。では、東京にお返しします」
放送は、東京のキー局を中継して全国に流れていたようだ。
背筋が寒くなる綾太。
東京のスタジオでは、コメンテーターがしたり顔で的外れな発言をしていた。
兜童子のイメージが、僕を離れて一人歩きしていく・・・。
今まで仕事に夢中で、テレビに映ることが楽しくてたまらなかった綾太。
今日は初めて「怖い」と感じた。
それは自分の頭上を飛び越え、無責任な情報を気楽に垂れ流しているメディアに対する怒りというよりは、
メディアを通し、誤解と妄想が際限なく広がっていくスパイラルの怖さであり、
これからスターアイドルの階段を駆け上がっていこうとする綾太に降りかかった、洗礼とも言えるものだった。
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