折り畳み椅子に、ショートパンツの隙間からおち◎ちんが見えないように、
なおかつショートパンツの皺に浮き出ないように注意しながら腰掛けていると、
人気1の美人女子アナ、小圷優子(こあくつ ゆうこ)が声をかけてくる。
「あら?綾太君、今日はお肌の艶がいいわね。どうしちゃったのかしら?」
それはそうだろう。自分の精液のコラーゲンパックを全身に浴びたようなものなのだから。
下着を履いていない羞恥心も、どこかしら綾太の挙動を色っぽく見せていたのかも知れない。
「秋になるとお肌がカサカサになっちゃうのよね。綾太君は何かスキンケアしてるの?」
まさか精液のせいとは言えない。タレントスマイルではにかんで誤魔化す。
この綾太のスマイル、生で見るとかなりの破壊力なのだ。
整った眉の下、くりっとした二重瞼に綺麗な栗色の瞳が輝き、細く高めの鼻、
真っ白な八重歯の覗く綺麗な口元。首筋までの長い髪がさらに少女っぽさを増幅する。
そのあどけないマスクがさらに甘えるようなスマイルに、母性本能をくすぐられない女性はいない。
かっ・・・かわいい!かわいいわ綾太君!
「ねえ・・・ちょっと君の肌、触らせてもらっていい?」
恋する乙女の目になった女子アナの、けばいマニキュアの指が綾太の顔に伸びる。
い・・・いいですよ? と、上目づかいに無言で肯く綾太。
優子の手が綾太の頬に接する。続いて細い腕を手のひらで掴むようにして触れ、
次にシャツに乳首の浮き出た薄い胸肉をつまむように撫でる。
やっ、くすぐったいよ。
だんだんずーっと視線が下のほうへ下のほうへ・・・
・・・その視線の動きに合わせ、手も脇腹から腰を通ってフトモモに達する。
なに? 何考えてるんですか? あン!そこは・・・ちょと・・・・。
優子のきつい香水が鼻を突き、吐きそうになる。顔をそむける綾太。
優子の手はショートパンツから伸びたスレンダーなフトモモの上を何度も往復し、筋の上を揉みほぐすように掴む。
なかなかに手馴れている。さすがは不倫疑惑の絶えない女子アナ。
くすぐったいような、それでいて股間にまでビンビンくるような刺激に、
とうにエキスの枯れたはずの若いおち◎ちんが、またもや頭をもたげてくるようだ。
優子は夢見る乙女のような恍惚とした笑顔で、薄目を開けて綾太に顔を近づけ、
少年の甘く爽やかな体臭を楽しんでいるかのよう。
あっ・・・あの、今日の僕、臭くないですか?
だが、己に染み込んだきつい香水で嗅覚の麻痺した優子には、若い精の臭いになど気付かないようだ。
どうやらいい匂いとは、嗅覚以上に目で感じるものらしい。
綾太の美しい腿を揉みほぐす手はだんだん股間のほうへ伸びてきて・・・
最後にいきなり、ショートパンツの上から半勃起状態の幼いおち◎ちんをつまむように触った。
「きゃっ!」
声にならない女の子のような悲鳴を上げると、優子はサっと手を離した。
スタジオの準備をしていた番組スタッフが一瞬だけこちらを振り向いたが、
何事もなかったかのように作業を続ける。
「わーー、綾太君の、触っちゃった!」
大はしゃぎの優子。
「セクハラ」という単語さえ、よく浸透していなかった時代のことである。
ましてや男の子が性的にイタズラされることがあるなんて、考えられもしなかった。
「ふざけ合っているだけだろう」とスルーされるのがせいぜいのところ。
優子はさらに綾太に寄りかかり熱い視線を送っている。
「綾(りょう)君、今日はいいブレスレットつけてるねー。お母さんに買ってもらったのかなー?」
さっきとは違う意味で目の色が変わっている。ジュエリーやアクセサリーに目のない女子アナである。
「ちょっとそれ、貸してくれない?」
「こ・・・これは・・・・ちょっと・・・」
そのとき、横から声がかかった。
「都築君、出番だよ」
ほっ、助かった!
「あ・・・はい!・・・じゃ、じゃあ、また!」
いそいそと優子から離れる綾太。
「台本が一部、急きょ差し替わっちゃったんだ」
ディレクターから渡される数枚のペーパー。
その内容をパラパラとめくり目を通す。最後数行にどきっとした。
『今日、悪魔と闘った謎の戦士の君、もしこの番組を見ていたらお電話下さい。
視聴者の情報も募集しています。電話番号は・・・』
ぎょっと眉をしかめる綾太。
「ちょちょちょ・・・ちょっとすいません、これ僕が読むんですか!?」
「そうだけど?何かあったのかい?」
「・・・・いえ。なんでもありません」
綾太の出演するコーナーは生放送ではなく、放送の1時間前に収録された録画だ。
小圷優子の
「では次は、街のインフォメーションコーナーです。綾太君、今日もお願いしまーす」
という振りまでが生で、その呼びかけに応える形で、
「はーーーい、テレビの前の皆さん、こんばんわー」
という挨拶とともに割り込む綾太からがビデオというわけだ。
だが、かえって緊張してしまう。
もしその録画に応じる形で、兜童子に変身した自分が名乗りを上げたらどうなってしまうのだろう?
かすかに実存の不安を感じつつ、カメラの前に向かった。
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