僅かな草しかない土の大地を、少年は歩き続けた。
一人のほうが気楽。大人数は苦手だ。
何せ大人数は敵に見つかりやすく、足手まといも増えるから。

日没が訪れ、冷たい風が頬を撫でる頃、小さな湧き水の出る岩場を見つけ腰かけた。
そして邑で分けてもらった食料をかじった。



************************************


くくっ。だれが救世主だって?
みんなおれを過大に評価しすぎる。

もちろん世界に平和をもたらすための決意に変わりはない。
死するなら戦いの荒野で。跡形もなくばらばらにされるか、多くの無名死体に埋まるのか?
この忌々しい血にケリをつける唯一の道だと思うからだ。
次は化け物にチ○ポを吸われるようなヘマはやらないぜ。

おれはずっと一人で生きてきた。これからも一人。
だって、自分の存在自体が危険で、どの女性とも交わることを許されないのだから。
だから性の禁欲を己の肉体に課した。この拘束具もそのためのものだ。

きっとあのまま邑に残れば、シルビアと恋に落ちる。
だからもう邑へは二度と戻れないのさ。ごめんな、『親父』。


でもおれにだって、人としての快楽を愉しむ権利ぐらいあるさ。自分の手によって…ね。

食糧の入った袋の底から、小さな容器を取り出す。
あの催淫剤入り軟膏だ。おっさんの塗り残した容器を拾っておいたのだ。

こないだストローをぶっ刺されたチ○ポはまだ少し痛んだが、前立腺が疼くのは今夜が満月だからなのか?
精液もまた新しく溜まり始めたようだ。
溜まったものは常に処理しておかなきゃな……己の身体の若さが恨めしいぜ。

おれは手袋を外すと靴の中から鍵を取り出し、貞操帯を外した。
ムレた革の匂いにムッときたが、軟膏を尻穴の奥へ塗りこんだ。
じわじわと腸から吸収され、ベルトがずれてはだけた乳首がキュンと立ってきた。

ふと、おっさんの…親父の声が脳に蘇った。


<きみはまだ、自分の美しさに気づいていないのだ!>


自分の顔なんてまじまじ見たのは何年も前、孤児院の鏡で見たのが最後だった。

ふと湧き水の小さな池に、顔を映し出してみた。
すると月明かりにうっすら、想い出に残る母さんの顔があったのだ…!






Back
Next
Menu