ザッ…ズルッ………ズリッ……

「はぁっ…ハッ…ハッ……」

星空の下、俯せに横たえた肉体の一部分を大地に擦りつける乾いた音と、同時に淫猥な吐息が聞こえている。

「あ…ン……そこは…だめだ……くっ…おれのチ○ポを……」

細い腰をやらしくくねらせ、粘液の糸を引いたペニスが土にこすれ、ヒクヒクと脈打つ。
右手で薄い胸肉を揉みしだき、左手が肉付きの薄い尻の奥へ…人差し指が根元まで菊門に押し込まれている。
髪から汗の雫が散り、よだれがその口許から垂れた。

「くっ…ン…っ…ウゥッ……許さないぞ<シーマングラブ>…」

淫獣に襲われる美しい自分を妄想しているのだろうか?
自然と剥けた亀頭の鈴口からこぼれ出るねばねばの雫が砂を濡らす。

見ているのはお月様だけだ。

(この時間。この時間だけが、おれがおれでいられる時間…!)

だが少年は気付かなかったらしい。
暗殺者の影が、すぐ後ろまで迫っていたことを。

窪んだ眼窩に鈍く光る、死んだ魚のような目。
ぼさぼさに伸びきった、白髪交じりの髪は真ん中が河童のように禿げ上がっている。
その者にはマッド・デビルズのどくろのワッペンも、ロラント隊の旗もなかった。ただの通り魔。追いはぎだ。

死への微(かす)かな足音が一歩一歩、歩いてくる。
いつもなら気付いていたに違いなかった。
ところが情事に没頭している思春期の少年の耳に入ることはなかった。

「アッ…アッ…いっ…ク……ンンッ・・・」

湿った土にこすれた、小さな天使の泉が放水の準備を始めた。
少年は横になり、右手で直接陰茎を摩擦する。
チュプ!クチュ!という肉と粘液の交じる音とともに、シュッ!シュッ!という肌の擦れる音が早まってく。

「あっ・・・アアーーーーッ」

快楽の絶頂が突きぬける瞬間、森の中にボーイアルトが響き渡った。
びっくりして跳ね起きた鳥の群れが、バサバサと飛び立った。

その直後、鈍い音が聞こえた。
砂のついた、少年の柔らかな腿肉がぷるっと揺れた。

全身がビクッ!ガクッ!と揺れ、右手のピストンが止まった。

やがて握り締めた手のひらがゆるみ、中から白い粘液がこぼれ出た。
繊細な指はそのまま、二度と動くことはなかった。





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