復活を遂げたクィーンセイバーはかつてなかった戦闘力を発揮していた。
次々と襲い来るプテラの攻撃を片腕で食い止め、放り投げる。
足で蹴り上げ、ヘディングでもう一体にぶつける…。
操縦桿を握る駆の手も熱を帯びる。

「あーーっ、調子に乗ってまた無茶をする・・・」という基地のスタッフの嘆きが聞こえそうだが、今は全く危なげがない。

取り囲んでいたプテラを次々に撃破し、巨大ロボットは機械獣が襲ってくる方角へ向けて走りはじめた。

「リュウ。このまま母艦まで一気に斬り込もうか」
『なんかカケル、性格が変わってる!?』
「ぼくのお尻の仕返しさ」
『・・・???』

にやっと不敵な笑みを浮かべる駆。
まだ精液に濡れたように疼くおち○ちんの皮は剥けてないけど、人として一皮剥けたような気がしていた。

「よしっ! リュウ、見えるか!?」

デッドカイザーの巨大な宇宙母艦は、川槻市の隣町の海岸線の向こう、沖合い上空に静止していた。

『カケルっ、飛ぶよ!あとは操縦任せた』

美しい女神の機体は水平に舞い上がり、背面のロケットブースターからバーナーを吹きながら一直線に飛んでいく。
母艦を護衛する機械獣が次々と飛来したが、もう止められるものはいなかった。

「食らえぇぇぇぇぇ!!」

機体は駆お得意のシューティングゲーム・マシンと化した。
操縦桿でコントロールし、前面モニターに映し出された四角と三角を目標に一致させ、ロックオンして親指で赤いボタンを押す。
プテラより遥かに装甲板の分厚いはずの機械獣が、一撃で炎に包まれる。どうやらレーザー砲の火力も以前より上がってるようだ。

「イェーーーイッ!」
『ナイスショーーーッ』

超高速で飛行しているにもかかわらず、全くGを感じなかった。
大空を舞いながら、機械獣を何十体撃ち落としただろう?
目の前に、巨大な盾で武装した機械騎士…通称"アイアンナイツ"が横にずらりと並んでる。

「リュウ、近接戦用意!」
『剣でいこう。ぼくが攻撃する』
「気をつけて。そろそろ母艦の射程範囲に入るから」

宇宙母艦から放たれる猛烈な対空砲火の海を間一髪ですり抜け、迎え撃ってくるアイアンナイツを切り刻みながら進んでく。

『はぁぁぁっ!』

筋力の強い隆也が攻撃を担当することで、レーザーブレードの切れ味がさらに増す。
以前は一体にさえ大苦戦し、全く歯が立たなかった騎士型の機械獣を、今やゴム人形のように切り刻む。
戦の女神は輝く長剣を構えながら、母艦にまっしぐらに突っ込んでく。

「…全然、こわくないだろ」
『いよいよ終わりだね。しっかり狙ってってよ、カケル』

眼前に宇宙母艦の艦橋が迫っていた。

「リュウ。いままで、本当にありがとう」
『それ、ぼくのせりふだから。きみは最高の友達だ!』

ふたりは心の中で、手と手を握り合った。

「必殺!ファイナルギャラクシー・メテオライト!」
『必殺!ファイナルギャラクシー・メテオライト!』

生きる歓びに突き動かされながら、最後にまた一つ、息のぴったり合った新技を編み出した。




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