基地司令部では、地球科学の常識を超えた神秘の力により復活したクィーンセイバーの戦いを固唾を呑んで見守っていた。

「クィーンセイバー、レーザーブレードをかまえて母艦に向かって突入していきます!」

「おおっ……!?」

数秒後、火の玉となったクィーンセイバーが壁に吸い込まれ、大爆発のきのこ雲が上がる。
炎上し、ばらばらになりながら海へ落下していく巨艦。
直後、近辺で活動中だった機械獣たちの動きがピタリと止まる。

「やった…やったぞぉ〜〜〜〜!!」
「勝った!地球は救われた!!」

歓喜のどよめきが起こり、抱き合って喜ぶ制服スタッフたち。

「リュウちゃん…カケルちゃん……あの子たち、やってくれたんだねぇ……」

白衣の袖で目を拭う木村タヱ。

「ええ、奇跡を起こしてくれました」

オペレーターの女性と抱き合う。

「これは特大のパンケーキでお祝いしなきゃいけないねぇ…!」

そのまま、初老のトレーナーは泣き伏してしまった。


直後だった。勝利にわく司令室のドアが開き、帽子を被った熊のようにガタイのいい男が入ってきたのは。
見慣れない背広の髭面の男は、少しモニターから離れて眺めていた松岡の前まで近づき、警察手帳を見せて立ち止まった。

「松岡司令はあなたですか?」
「何か用かね? こんなめでたい日に」
「あなたはついさっき、基地司令を更迭されました」
「なに……」

基地のスタッフから、こんどは悲鳴のようなどよめきが上がる。

「あなたは無人戦闘機発注のさい、ホーカーダイナミックス社に便宜を図った見返りに巨額の賄賂を受け取った。収賄容疑で逮捕する!」

松岡司令は警官に取り囲まれ、手錠がかけられた。

「うぬっ……このタイミングとは……」
「さぁ、署まで来い」

手錠に繋がった縄を引っ張る刑事。

「まっ…待て待て!!全ては地球平和のために必要でやったことなんだよっ!」
「うるさい、早く歩けッ」
「話せば分かるっ、わしはそそのかれたんだッ……待ってくれぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

モニター画面では、爆発・崩壊の続く宇宙母艦の映像が続いていた。




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