「あ、あなたが、エリク少尉!?」

おちんちんを手で覆いながら声をかけるアンディに、マントを投げるエリク。

「今は戦死後の進級で中尉、だけどね」
「一緒に戦うことができて光栄です。でも、なんで女っぽい格好を…」

兄弟そろって女装が好きなの? と言いかけた言葉を喉に押し込む。
するともとから合ってない視線をさらに逸らして、指で頬を掻きながらエリクが答える。

「その…男の格好してたら、ばれちゃうだろう? エリクは生きてたのかってことになるし」
「さっすがお兄ちゃん!!」

キャーキャー飛び跳ねるジークベルト目がけ、ガルムが飛んでくる。

「危ない!」

狼の牙が右手首に噛みつき、食いちぎられそうだ。
その衝撃で二の腕の真ん中あたり、ロンググローブに覆われた腕があらぬ方向へ曲がった。

「ぐッ!!」
「ひっ、兄ちゃん!!その手…」

牙の食い込んだ手袋の引き裂かれた生地から飛び出したのは、金属の骨だった。
金属でできた義手だ。

「びっくりさせて悪かった」

言葉を失っている弟に微笑する。
金属を勢い良く噛んだ犬が虫歯患者のようにのたうっている。

「事情はあと。今はヤツを封印するのが先だろ」

ハンブルク空襲の夜、すぐ近くで炸裂した砲弾の閃光は、エリクの視力ばかりか、右腕をも、もぎ取っていたのだった。

エリクはガルムの気配のするほうを見据え、魔法の詠唱をはじめた。
だが、風の中から鋭い銀の筋が飛び、エリクの足に巻きついた。

「ぐっ…」

チェンバロに張られた弦のように鋭く硬い線が、二次性徴の始まりかけた滑らかな肉体を締め付ける。

「あああーーっ」

弟を夢心地からさまさせたのは、兄の血だった。
発育途上の身体にギリギリと食い込んで、破れた肌を滴る赤い筋。

「んんううっ……ンッ………あああ〜〜っ…」

地下空間に、掠れた悩ましいうめきが響き渡る。

「今助けるから…!!」

小さな火炎で焼ききろうとするジークベルト。
ところが熱では溶けず、伝わった熱がジュウッと兄の肉を焼く。

「あああああっ!!」
「兄ちゃん!」

針金が一層激しく皮膚を引っ張り上げ、このままでは身体をばらばらに切断されてしまいそうだ。

「マテリアライズ! バルムング・ソード!!」

剣を出し、狼に向かって立ち向かう弟。
だが手もとにあらわれた剣は、かつて兄が弟のためにりんごを剥いてくれたナイフ程度の刃先だった。

「あはっ、僕も魔力切れかぁ…」

よろめき、勢い余ってエリクの足下にへたばった。
銀の弦が、エリクを宙に大の字に吊り下げている。
コスチュームがあちこち破れ、スレンダーな体を晒している。

顔立ちと陰毛が処理されているせいで幼く見えても、既に大人の男としての性機能を備えているのだ。
その若々しいタンパクをたっぷり含有した精が、ふたつの袋にはたまっているのだ。
ガルムの爪がコンパクトなヒップの割れ目をまさぐった。

「ひあっ…」

黒い布に覆われた、歳相応に垂れ下がった陰嚢に狼の舌が這う。

ジークベルトに見られてる…見せちゃいけないモノが…
でもガマンできないッ…
恥じらいがますます快感を増幅させていく。

「は…アッ……ふうっ…ン…ウ……」

兄の甘ったるい吐息と喘ぎに、弟の身体まで疼いてくるみたいだった。
ムクムクと勃起し、たちまちレオタードのテントからはみ出、飛び出すエリクのペニス。
性の興奮に血流が流れ込んで、ヒクヒクと上下に脈打っている。
エリクが10歳のとき、一緒にお風呂に入ったことがある。あのときお兄ちゃんの勃起を見たことはあった。
あまりに不思議で可笑しくて、触ろうとして裸でじゃれあったことがあった。
でも…見れば見るほどドキドキする今日は一体、何が違うの?

アンディはエリク中尉の肉体が蹂躙されていくのを、ただ見守るしかなかった。
喘いでいるのはジークベルトそっくりの美女。
陰毛は処理されていたが、歳相応にギンギンのおちんちんがプルンプルンと翻っている。

(おにいちゃん、感じてるの?)

ピアノ線から下ろされ、地面に這い蹲るエリクに寄り添う弟。
するとエリクはジークベルトの貞操を守るように、向かい合わせに抱いた。

「もう一緒だからね。ぼくが守ってあげるからね…」
「おにいちゃん、会いたかった」

ジークベルトは自分のズボンを下ろすと、可愛らしく勃起した自分の性器をエリクに擦り付けた。
それを小さな手で兜あわせにゆっくりしごくと、ねばっこい糸を引きながら、互いのぬくもりが混じり合う。

くちゅっ…くちゅ…クニュクニュッ…チュプ…

「ほら、こうすると気持ちいいでしょ? おにいちゃん」
「アアッ…こんなの、どこで覚えた!?」

エリクのギョッとした表情は、すぐ家族の成長を喜ぶ晴れやかさに変わった。

「ジークベルトも、こんなに硬くして…」
「ンンッ…おにいっ・・・ちゃんっ・・・きもちいい…おにいちゃんのギチギチのアソコがぁ…」

2人で触りっこし、むかしオモチャの剣でチャンバラしたみたいに突きあう。
狼がピアノ線を2本のディルド状にして、二人の尻に伸ばしてくる。

「弟は襲わせるか…犯るならぼくの尻にしろ!!」

エリクの右腕の義手が愛弟の股に覆いかぶさり、金属の指がその菊門に突っ込まれる。

「アンっ、少しひんやりするよ、お兄ちゃあん…」

うっとりした声を上げる弟のアナルは完全に栓をされ、その刺激でますます硬度を増していくジークベルトの一部分。
するとガルムのディルドは一本に纏められて倍の太さになり、突き出された兄のほうの尻にまとめてぶっ刺さった。

ドゴッ!!ズブズブズブッ!!

「ウワアーーッ!!」

その太さに腸壁をゴリゴリと圧迫され、前立腺を潰されてビューッとカウパーが吹き出た。

「おにいちゃんっ!?」
「……大丈夫さっ、このくらい……ハッ…アン…」

その状態のまま、ガルムがユサユサとピストンを始める。
オトコノコのアナルはすぐほぐれ、オンナノコより少し狭い蜜壺と化す。
兄の腸内をかき混ぜる運動が、おちんちんの粘膜をビクビクと伝って弟にも伝わる。

「ンンン〜〜ッ、おにいちゃんのとこすれあって…!!ああっーー」

覆いかぶさった兄の裸体。桜色のおっぱいがきゅんっと立った胸板は、以前より少しだけ発育しているよう。
ピアノ線は二人をきつく縛り、ますます密着したうなじは高めの体温に乗って汗ばんで、2人のやさしい匂いが揮発していく。

「ぼくはっ…絶対…弟を傷つけさせないッ…」

なるべく弟に針金を食い込ませまいと、細長い手足で自分より少し小さな身体を包み込むように抱きしめるエリク。
女のコみたいなすべすべの、でも少年らしく余分な脂のない張りがある両足同士が楽器みたいに絡み合い、こすれあうたび滑らかな音がする。
自然と、二人の唇が触れ合った。それに家族として以上の意味があったのかどうかは分からぬ。
だが舌と下が絡み合い、唾液を飲み干しあったのは初めてだった。

(2人こそ、なんて声出してんだよ!? エリク少尉が…こんな掠れ声で…いやらしい表情で…)

そっくりの兄弟が絡み合う姿を、アンディはある種の羨望を持って見つめていた。
針金で尿道を閉じてしまったおちんちんで、気持ちいいことに混ざれなかったのが悔しかったのではない。
ピンチにあって助けにいけない非力さと、リーダーとしてエリク中尉以上の信頼をジークベルトから得ることができなかったのが、
当然とはいえ何だか悔しかったのだ。しかも当分、おちんちんに食い込んだ針金は外れそうにない。

(だって…この兄弟、ホントに女の子同士のエッチみたいなんだもん…!!)

ジークベルトの髪が乱れ、ぴょこんと上を向いた癖毛も真上に反り返った。
ニュース映画に映ったこともある顔が、気持ちよさと歓びと、少し懐かしさの涙が入り混じった、
誰にも見せたことのない表情に歪んでいる。

「お兄ちゃん…好きッ…好きぃぃぃっ!!」
「ハァッ…フッ…ン…ジークベルトも魔法、たくさん覚えたんだね」

お母さんが亡くなってから、力を合わせ生きてきた二人。
身も心も一つになった美しい兄弟は、全身が互いの愛を共鳴しあう楽器と化した。
健康的な素肌の擦れ合う音は湿気を帯びるたびにやらしく変化し、骨盤が触れ合うたびにおちんちん同士はグチョッグチョッと淫猥な音を立て、
エリクの引き締まった尻からも、ほじくられた血交じりの粘液が垂れてきている。
だんだん高まる心音のビートが嬌声と混じり合って、やがてそれらは一本の激しく猥らなピアノ協奏曲となって響き合い、
フォルテッシモに向かってビンビンと駆け昇ってくみたいだ。

「アアッ…うあああっ……アアアアーーーーッ!!ガルムの…アレが一層激しく動いてッ・・・」
「ああっ…おにいちゃんの鼓動…高まってきてっ…ドキドキ伝わってくるのぉ〜」

腸液も汗も飛び散るぐらいに突き上げを繰り返すガルムのピストンがエリクの穴を容赦なく擦り上げ、
骨盤が砕けんばかりに奥深くまで突き続けている。
その圧迫に潰された性器の裏側から尿道を伝って滲み出てくる先走り液が、
優雅に悶えるギンギンのペニスの先っちょからトロトロと垂れ落ち、弟のと混ざって洪水になっている。
突かれる衝撃はエリクの義手を振動させ、弟のアナルの奥にバイブレーターのような振動を与えている。
濡れる粘液に比例するような快楽は最高潮に達し、同じ色の髪と向かい合う鏡に映った顔が恍惚を浮かべた。

「あああっ…にいちゃんッ…エリクお兄ちゃんッ…ボクっ…イッちゃうぅ〜〜〜〜」
「ジークベルトッ…あっ…はっ……ハァ…アアア〜〜〜〜〜〜!!!」

ほぼ同時に、同じ遺伝子を含有した大量の白濁液が、本能に忠実なオス同士でありメス同士でもある2人のおちんちんの先からほど走り出た。

どくどくどくっ…びゅうううッ…びゅるるうぅぅぅ〜〜!!
びゅびゅっ…びゅるるっ…ぴゅううう〜〜!!

「ハァッ…あはぁっ…ぼく…いま兄ちゃんと空を飛んでるぅ…」
「…ジークベルト、愛してる…」

ぎゅっと手を繋ぎ、キスしながらもなお禁断の射精はビュウウッと続いていた。
あたりは栗の花の匂いが漂い、体温で温められた精液でヌルついた腿はテカり、兄弟が白く濁った粘性の糸でつながっている。

ガルムはそれを見逃すまいとハッハッとよだれをたらしながら大きく口を開け、腰にかぶりついてきた。
脳を身体じゅう溶かすかのような性感で満たされたエリクは気付くのが遅れた。

「あぶないっ、ジーク…」

身を伏せ、弟を包み込むように抱きしめたが、肛門にディルドを突っ込まれた状態で、開かれた股を閉じるのが間に合わない。
鋭い歯がふたりの青臭い腰の果実に触れた瞬間、地下室にクルトの叫びが響いた。

「ソーサリー・バインド!」

魔法の鎖に締め上げられる狼。
手に持っているのは銀色に近い、白い表紙だった。

「632ページを…」

すると、グリモワールがすうっと宙に浮き、ページがぱらぱらとめくれた。
本が薄暗い地下室を光で照らし、本棚が影を作る。

「グリモワール・クローズド!!」

次の瞬間ガルムは黒い霧となって消散し、兄弟の身体やアンディのおちんちんを縛っていたピアノ線も消散し、地下室には静寂が戻った。
ただ、精液の滴るネチャネチャという淫猥な音だけが、めくるめいた性感の余韻とともに、ことさら共鳴していた。

「二人とも無事!?」

エリクのお尻に早速回復魔法をかけるクルトも、ほんのりズボンにテントを張っている。

「僕らが犯されてる横で本を探すなんて! なんて冷静な優等生!」

まだ呂律のはっきりしないジークベルトが顔を真っ赤にして呆れたように言うと、

「クルトを起こして、探させたのはぼくだ。時間稼ぎするからって」

とエリク。
ガルムの注意をクルトからそらすため、兄弟の魔法因子を餌に誘ったのだった。

「ごめんよ、こんな目に遭わせて」
「ううん。久しぶりに抱っこしてもらえて、嬉しかった…」
「今まで、よくやった」

しばらくジークベルトは兄に寄り添ったまま、離れようとしなかった。
エリクはハンカチで弟の腰の精液を拭ってやりながら、成長ぶりを確かめるように、愛しげに左手で、まだヒクつく半勃起状態のおちんちんを撫でた。

「って、オレの心配はナシかよ…」

振り向くとアンディの栓が外れたおちんちんからも、大量の白濁液が流れ出、床を汚していた。

「きみも、大丈夫かい?」

エリクが声をかけるクルトもまたズボンにテントが浮かんでおり、直立姿勢で「はっ…はいっ!!」と慌てて手で股間を隠した…エリクには見えてないはずだったけれど。



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