嗚呼青春の一頁


ii:その夜




久々に晴れた一日だった。
こんな日は、ビールがうまいのだ。



談話室でゾロとウソップは、晩飯前の一杯を傾けていた。
「しかしうまかった、あのカレー屋。」
「へへ、だろ?」
「おお、あれで\600は安いな。」
「だろ?ずっと誰かと行きたかったんだ。また行こうな。」
「おう…お?」





「―――――ただいま。」





「…おおおおかえりサンジ君。…どしたの?激ヘコミ?」
「はあー・・・」
うつ伏せにソファに飛び込んだサンジは、暗い息ばかりで答えない。
「…また振られたのか。」
「ちげえよ、アホマリモ!」
「じゃあ何なんだよ。」
ぐるり、激しく身体が回った。
聞いてくれよと、全身が叫んでいた。

―”デエト”の恒例だな、これも。






「趣味が、合わなくってな。」
「ほう。」
「映画、クソつまんなくてよ。」
「へえ。」
「でも彼女、泣いてたんだ。」
「・・・それは痛いな。」
「昼飯もさ、おれが連れてったアジアンカフェは『アレルギーがあるから』とかで断られちまって、彼女の好きなとこへいったんだけど。」
「で?」
「・・・すっげえ怪しげな、占い喫茶。」
「うっ」
「ふ、ファンキー、だな。」
「やたらロウソクだらけで、水晶球とかガイコツとかごろごろしてんだよ。」
「うわ…」
「―おもしろーい…」
「人間は何にだってなれると思うの、って説教されちまったよ。3時間。」
「(ぼそ)…なあゾロ、これって」
「まあ、デートじゃねェよな…」
「(がばり)ウソップ、お前これ、勝負ネクタイじゃなかったのかよ!」
「いや、勝負も何も!
まず土俵違いっつーか、問題外っつーか・・・」




「ただいまー!サンジー?振られたのか?」
「ちげえよ!」
「お前、今日どこ行ってたんだ?」
「すっげぇぞ!大冒険だ。」






ゾロとウソップのカレー屋の話と、サンジのデエトの哀れな顛末と、ルフィの大冒険を肴に、4人はデリバリーのピザで初夏のビールを飲んだ。




こんな、日曜日の夜。







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サンジファンの方真剣にごめんなさい。
でも彼は 女の子に振り回されまくってる姿が
実によく似合うと思われ。

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