嗚呼青春の一頁



iii:9月は白い家に赤い花、黄色い花。小さな事件。もしくは出会い







 魔王から繰り出された足技で崩れ落ちた風穴から、ぽろぽろと灰が落ちる。
「・・・ところでルフィ。」
落ちる灰を片付けながら、ゾロが聞いた。
「どこ行ってたんだ?今まで。」
「おう、新入生の迎え入れ!」
「ああ、お前寮長だったな。」
「たまには仕事するんだな。」
「お前ら、失敬だな!」
だむだむと地団駄を踏むにあわせ、また灰が舞い上がる。


「で、どんな奴なんだ?」
「おうすげぇぞ!ウチのが一番面白いぞ。」
『いや、おかしいから。その基準。』




  留学生なんだけどな。3年くらい飛び級してるんだと!
  おっそろしく頭のいい奴なんだ。

  見た感じ?
  んー、毛まみれ。
  めちゃめちゃでっかい奴なんだ。
  でもおれのひざくらいなんだ。
  あと、肉がうまそうなんだ。




「ルフィ、」
「あ?」
「そいつさ、」
「おう、いいやつだぞ?」
「・・・怪獣?」
「んー、いいやつだ。・・・あ。」

ベッドに掛けていたルフィは、何を思い出したか急に腰を上げた。
「そいつ下で待ってるんだ。連れて来る!」

忘れんなよ、と突っ込む間もないうちに飛び出していく。
ばったん。







「・・・・・めちゃくちゃ頭よくて毛深くてガタイ良くてちっこくて美味そうなヤツ?」
「・・・全然わかんねェ…。」
「―諦めろ。おれは諦める。」
「ああっ、怪獣新入生と顔を合わせてはいけない病が!」
「誰の部屋になるのかな。」
「さぁ…ルフィは気に入ってるみたいだからな。」
「こっちか。」
「そっちだろ。」
「いや、聞けよ、だから大怪獣・ザ・新入生と…」





がちゃり。
「ほら、入れよ!」
ルフィが大きく扉を開く。

けれど大怪獣は、いつまでたっても入ってこない。
ほら大丈夫、そう呼びかけるルフィの上から下から、3人は廊下を覗き込む。









・・・見えたのは。


大きなかばんの影に隠れた、ちっこいカタマリ。

ぽてっ。
「うえっ」

転んだ拍子に、目があった。
ぱちくり、つぶらな瞳。



「あ、おれ・・・チョッパー。」

怪獣新入生は。
ピンクの帽子を、ぎゅーっと深く被って、
小さな声で、よろしく と呟いた。








・・・可愛いんじゃねェか。



こうしてGMDにまたひとつ、新たな色が加わった。







ここじゃ9月は、出会いの季節。
汚い壁がおれたちの住処。
子犬の代わりにお前、その隣にあいつとそいつとこいつ。

そんな日々が、ふたたび始まる。









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そんなこんなで。
また一人加わっていただきました。

iiiiv