嗚呼青春の一頁



iv :決戦と結末と






「あっvビビちゃああ〜んvvv
戦いの地にやってきたのは、いつも笑顔でGMDの面々を和ませてくれるビビ。
けれど。
「こんにちはみなさん、今日はがんばってね。」
それだけ言って、返事も聞かずすたすたとビビは歩き続ける。
「ビビちゅぁ〜ん・・・」
「諦めてくださいサンジさん、ビビさんはもう…くうっ!」
長い髪を揺らす華奢な彼女、今日はいつもよりずいぶん遠い。
その距離を思い、密かに(というか大っぴらに)彼女に焦がれていた男たちは、涙を呑んだ。

しかし直後。
その可憐な背中は、AMDの男どもの前で朗々と叫んだ。
『さあみんな!根性よ!ぶっ壊してやりましょ!』
「何っ??!」「鬼か!」
うおおおっと、猛々しく男たちのうなる声が彼方からあがる。



「負けてられないぞ、みんな!がんばるぞ!」
「当たり前だ。」
「おれたちゃやるぜ、監督。」
「(ぼそ)ボールぶつけてもいいからね」
「いいのかオイ。」


「さあ応援団員諸君、戦いのときだ!せーのっ」
サンジくーん、がんばってーvvv


「ルフィ、」
「何だよナミ。」
「ハーフタイム。」
「あ?」
「カツ重だから。」








---やたら獣じみた鬨の声を合図に、男達は戦場へ足を向けた。




ルールを確認します。
GMD、伸びないこと。斬らないこと。蹴らないこと。
AMD、飛ばないこと。踊らないこと。砂塵撒き散らさないこと。

あくまで冷静に、審判となったバロック寮のロビンが読み上げる。
ぎらぎらと双方睨み合う中、ホイッスルは高らかに鳴った。














勝負は引き分けだった。
どっちも、反則が多すぎたからだ。



まあ、結果はともあれ、勝負の後は宴と相場が決まっている。
みんなで割り勘、買い出して、そこそこの量を飲み食いする。
今日は一人¥700。

「乾杯!」
寮長の号令の下、男達は手にある缶をぶつけ合った。
「いやー、勝負のあとの飯はんまいですねー!」
「お前おにぎりおれの分まで食ったじゃねェか!楽しみにしてたんだぞあれ」
「ゾロはともかく、おれは食いそびれたぞ、ルフィのせいで。」
「んなの、お前らが悪りィんじゃねェか。」
「おれ、監督だぞ!」
「チョッパー、これは非情の、男の戦いなんだ。」
「ルフィ…」
「カツ重まで食っといてエラそうに言うんじゃねェよ。(げし)」
「あてっ」
「そうなのかー!!」



「ウソップぅー、」
「何だサンジ。」
「お前これから、ずーっと応援団長な。」
「は?!待て、サッカーは出るぞ?」
「応援の内容、バリエーションが欲しいなー。『カッコいいー』も悪くないけど、『ステキィー』とか。」
「いや、聞けよおい!」
「あ、『抱いてーv』とかもありだよな!」
「あの、もしもし?」
「ちゃんと全員ミニスカートでな。くあーいいねー!」
「サンジ君、お顔が大変なことに」









そして女たちにも、宴があったりする。

「いいからアンタ、いい加減泣き止みなさいよ。」
「あの鼻っ!あの鼻っ!一生許さない!」
それはどう見てもウソップが悪いんじゃないと思うわと、ため息ひとつつきながらナミと仲間たちはまた自分の杯に新しい酒を注ぐ。
肴は、適当に買い集めたお菓子の山と、彼に渡らなかったお弁当、そして問題の男たち。
「大体、ゾロを選ぶのが間違ってんのよ。」
「だってナミ!カッコいいじゃない!」
「あれにデリカシーを期待すんなって、毎日言ってるでしょうが。」
「おっさんみたいなナミにはわかんないのよっ、ほんとは彼、とっても繊細で」
「あれリカ、知らないの?あいつホンモノって噂。」
『マジで?!!』
「ちょっとノジコ、そういうデマは」
「あー、なんか納得。」
「うん、なんかこう、ものすごいしっくり来るものが。」

「だったら尚更、あの鼻許さないっ!!」







秋の夜。
降る落ち葉のあはれなるも全て笑い飛ばして、今宵も彼らは生きている。











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