嗚呼青春の一頁


v:陽だまり




「・・・既にテメェのもんらしいぜ?ド花柄。」
「嫌がってたくせにな。」


呆れて言ってみたけれど。
それでもほこほこと暖められたソファは、本当に気持ちよさそうで。

本当に、まるで。

「なあサンジ。」
「あ?」
「目の前に宝があったら、お前どうする?」
「そりゃお前。」




目の前のソファという、彼らの宝。
伸びた足は、二本。


どすん。

ゾロには自然みなぎる草地で、宝を味わってもらうことにした。
代わりにソファは、どすんと乗り込んだ二人を受け止める。



「持ち腐れてちゃカワイソウだろ?」
「だよなー。」
「あー、結構寛げるな、コレ。」
「おう、スポンジ代えるか。当分使えるぜ?」
「なあウソップ、さっき拾った色ペン、どうだった?」
「んーみんな切れちまってっけど、3本くらいは色でそうだ。」
ま、ここまで来たら、使い切ってやるのが情だろ。
さらさらとウソップが広げてゆく世界を眺めながら、サンジは至福の一服を含んだ。





「モデルさん、そのまま笑って。」
お気に入りのワンピースを纏った姿を、古いドレッサーの鏡でうつしていたナミに、声がかかる。
くるり振り返ると、ぱしゃり。
古くて奇妙な器械を構えたロビンがいた。
「へえ、ポラロイドカメラ。ずいぶんおっきいわね。」
「ええ、古い型ね。けれどフィルムは今売ってるものでも充分ね。」
鮮やかなチェックのワンピースの色は少し褪せて写っていたけれど、それだけに背後の化粧台にやけによく合っていた。




「お、それがロビンの宝か?」
「ええ。可愛がってしまいそうよ。」
危険なコーラでおやつするルフィを、必死で止めるチョッパーを撮って。
二人が見つけたとびっきりの宝たちをまた撮って。
ナミと二人、ポーズを決めて撮って。



「それがあなたたちの宝?」
「ああっロビンちゃぁぁんv僕にとっては君のその微笑が何よりも宝さぁぁあああ」
「(げし)ちゃんと称えろよ、おれさまの名作。」
「名作ねえ・・・。」
「かわいい絵ね。」
「つーかお前、"Don't Funk"ってどういうことだよ?」
「ノリだ。」
「ノリね。」



「じゃあ、ソファのお二人さん、こっちを向いて?」
うれしそうにゾロの腹をふんずけて、サンジはロビンのカメラに笑いかけた。

ぱしゃり。

名作を掲げた二人が、ロビンの宝から出てくるのは、しばらく後。








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