ぴたりと閉じられた扉をノックして、オレは反応がない部屋に踏み込むべきか否かを悩む。 中で倒れていたりする可能性だってないわけじゃないとは思うんだけど、無理にあけるのも気が引けるんだよなあ。 そんなことを悩みながら立ち続けていると、かすかだけど紙が擦れる音がして人が動いている気配がした。 ……大丈夫、だよな。ただ出てきていないだけ…だ。たぶん。 「フリーデン先生、あのー、夕ごはん置いておきます」 お盆なんてものはなかったので缶詰が入っていた段ボール箱にハンカチをかぶせ、その上に料理を並べている。 あ、お昼に置いておいたパンケーキの皿は空っぽだ。なんだ、最初からこれに気付いていれば、耳を澄ます必要もなかった。 少しだけほっとして、空いた皿を引き上げる。 「放っておけばいいのに。レンってば苦労性」 洗いものをキッチンに運ぶと、可愛らしい笑顔とともにニーノはちょっと冷たい空気を広げる。片手にはあめ玉をしっかり握って。 お砂糖がほろっと口の中でとけてゆくみたいな三角形のあめだ。はーいあーんって言われて大人しく口をあけるとぽいぽいっと放り込まれる。おいしいなあ。 「どの口で言ってんだよ。レンの人の良さにつけこんで、パンケーキにさんざん注文つけてたくせに」 「そうだぞニーノ。注文などつけなくても、どれもおいしかった。ラタトゥイユは最高だった…っ」 ヴィクトルは賞賛と感嘆がたっぷりこもった目でオレを見てくる。やー…どことなく話ずれた気がしないでもなんだけど、まいっか。 言っていた通り夕ごはんはラタトゥイユにしたんだけどさ。 ひとさじすくって口に入れたヴィクトルはしばらく動きもしないで、それはもう瞬きも忘れてるんじゃというぐらいの固まりようなものだから、オレてっきりまずかったんだと思って、味つけをし直そうと鍋に戻りかけたら猛然と食べ出した。 スープが白い服にはねるんじゃないかと心配で心配でひやひやしたけど……、その辺はまったく平気だった。さすがに白を着慣れているだけはあるのかも。 ちなみにヴィクトルは洗う必要はたぶんまったくないぐらいにたくさん服を持ち込んでて、そのどれもこれもが白い生地でできているという徹底ぶりらしい。 「調味料とか調理具も色々揃っててたすかったなあ」 キッチンには備え付けの食器洗い機もついてるし、後片付けが楽だ。 オレと父さんの2人暮らしみたいな感じならいらないかなあとは思うけどさ、ここにあるものの中では地味にありがたい代物だったことは間違いない。 「たまたまうまくいっただけだよ。最近、覚えたばかりの料理だし」 ひいおじいさまのお城で出てきたのがおいしかったので、作り方を聞いたのだ。 おいしくできたっていうことなら何よりだし、レシピあってこそだろう。シェフのマノンさんにありがとうを言いたい。おいしいです。 「それよりさ、この楽譜なんだけど」 朝に見つけたラフマニノフの楽譜で、もうずっと気になってる。 「オーケストラとのやりとりになるとこ」 「ってどこだよ」 セレスティノのツッコミに口でメロディをたどったけど、ものすごく聴くに堪えないって顔をされた。 「声楽科から3秒でナイフが飛んでくる」 「採譜困難」 ヴィクトルもニーノもひどい。そりゃ、ちょっと…多少、音程はずれてたかもだけど。 3人の顔をうらめしげに振り返りながら、手早く持ってきたお皿を洗って水気を拭った。 1枚2枚なら手で洗った方が早いし、食器洗い機はどうしたって音がするから今はおやすみ。 「だから、ここ」 ピアノの前に座って気になっていた部分を弾きだすと、3人ともああという顔になる。 「楽譜通りやると、だいぶ変わるな」 「CD音源には近いか? だが……」 「あれとぉ? そうかなあ」 まあ、そんなにこまかく聴いてないけど、ってニーノはあっさりと言う。 オレもそんなにちゃんとは聴きこんでないから自信はないけど、ヴィクトルは耳がいい。そう言われてみれば少し近い気もするけど。なんだろ、オレどうしてここに引っかかるのかなあ。 「それより、ここでしょ。おもしろいの」 オレの隣にむぎゅっと乗り込んで、鍵盤に指先を置いた。 ニーノの音は水が弾けていくみたいにかろやかで、羽でもついていそうにやわらかい。 「ニーノ、それじゃ飛びすぎ」 「どこが。こんなもんでしょ」 これはこうだろう、って言ってヴィクトルがピアノ前にやってきた。オレとニーノがおりた椅子の上にどっかりと腰かけて、同じ旋律をたどる。 深く海の底にもぐっていくような感覚に体が引っ張られる。全身をかたい膜で覆われたまま、近くて遠い場所をのぞくようで。肌が真っ白に輝くような真珠色の光が見えそうだ。 ヴィクトルはその装いから白い貴公子なんて冗談みたいな呼ばれ方をするらしいけど、その音はびっくりするぐらい素直でまじりけない。 ふたりのどちらの音もとってもすごくて、楽しくて。 胸がふくらんで、体がうずくようだった。どうして1台しかピアノがないんだろうって、周りを見まわして目の前へ戻す。目も耳もそこから離していられない。 「それだと解釈が違いすぎ。パガニーニ主題だってのに」 そこにセレスティノが参戦して、凛と広がるような音が耳に心地よかった。やっぱりセレスティノはすごい。すごく好きだ。 オレはもうこのまま聴いていたい気持ちになったんだけど、いやいやだから、楽譜の……この書き込みも。ほらここの。 「レン、今のなに」 「だから楽譜の」 「楽譜なんて関係がない、僕の演奏を聴け」 「ちょっ、ペダルを踏むなっ。足どけろって」 大騒ぎしながら好き放題。けれど誰もゆずらない。 てんでばらばらだ。 オレはむしょうにおかしくって、ほぼ不協和音だろうって響きに笑いながら、いちばん最初にベッドにもぐりこむまでずっとそのにぎやかさに夢中になる。 だからっ。ここが、こうで。 いや、ああだから、違うし。ここが気になるんだってっ。 翌日、朝ごはんが済んでもレッスンがはじまるような雰囲気はなくって、やっぱりそのこともちゃんと考えないとなあと思いながらも、今日の献立何にしようかなあと考えはじめると意識がそれてしまう。 このお米、とっても見慣れたお米に見えるけど、うるち米だよなあ。 何を作ろうかと食料庫をのぞきながら悩んでいると、改めて食材の豊富さにびっくりしてしまう。 ほんとこれどういう基準で運び込んだんだろ。 「レン、レモンあったか?」 「あー。ごめん。瓶ならあったよ」 生レモンを使い切ってしまって肩を落としているセレスティノに、新しく持ってきた瓶入り果汁レモンを持っていくと、嬉しそうにレモネードを作り出しはじめた。本当に好きなんだな、レモネード。 「おまえ、少しは手伝えよ」 「なっ、ナイフを持って僕に近づくなっ」 セレスティノは名前を呼ぶのも面倒になったのか、ヴィクトルが座っているソファの背を蹴りつけながら、じっと座りこんでいた顔をにらむ。 瓶の封を切るのに使ったナイフをそのまま握っているらしい。 うん、確かにそれあぶないな。 預かる、って言って手を出したら大人しく渡してくれる。 「いっ、いついかなるときも危険を考慮し、あらかじめ避けることは大切だろうっ」 「時と場合によるけど」 朝、バゲットを半分に切る作業からも遠巻きだったヴィクトルのそばにいたのがニーノだ。 上にチーズを乗せたいだの、このくらいの大きさに切ってくれだの、って言われて、めんどうくさそうな顔をしていたニーノは、かろやかにレタスを引きちぎる。 ただのレタスなのに。ただただレタスを食べやすい大きさにしているだけなのに、なぜか今、ヴィクトル人形がちぎられたようなそんな幻が……。 「僕は、絶対に、やらないっ」 「それならせめて黙っていろ。口を挟んでくるな」 「なっ、なんだとっ。そんなことを言われる筋合いは」 「だいたい、ここにはあんたの口にかいがいしく飯を運んでくれるようなベビーシッターはいねえし、労力も時間も気にくわねえやつのためには使いたくねえもんだろ」 顔色を変えたヴィクトルに、セレスティノのきつい眼差しが突き刺さる。 幼い弟妹たちと毎日過ごしているセレスティノには、ヴィクトルの主義というか態度がにくたらしく見えるみたいだ。 いつも遠巻きで、料理が仕上がるのを待っておもむろに席に着き、どうしてそんな危ないものに触れられるか理解できないと訴えるヴィクトルには……、まあ、めんどうくさいところはあるよなあ。 そんな2人に背を向けて、くし切りにしたじゃがいもを揚げながらオレはソーセージの袋をあけ、別の鍋の中に落とす。 なおも言い合っている2人の声が油とフタがかたかた揺れる音に吸い込まれてにぎやかだ。 「ねえ、レン。見て、見て。レタスがこんなに小さくなったよ」 「……おおー…」 ニーノ。レタス一玉全部むしったんだな……。 嬉しそうに掲げられた芯と、こんもりと山になった葉っぱの対比がすごい。 こんなに食べられるんだろうかとちょっと心配になったけど、男5人いるんだもんな。作っても作ってもぺろっと消えて、明日の朝にとっておくつもりだったもくろみはなかなか叶わない。 今はまだパンがあるからいいけど。多少固くなったくらいなら、みんな機嫌良くカフェオレにつけてるし。けれどそれがなくなったらどうしたらいいのだろうか。 なぜここにはパン屋がない、とかヴィクトルあたりが嘆き出したらたいへんそうだ。 オレ、パンを焼いたことないぞ……? 「とりあえず、食べよう」 ひとりずつ分けるのも面倒でどんと山盛りにした揚げポテトや茹でソーセージをテーブルの真ん中に置き、サラダだけはドレッシングで和えてから分ける。おかわりたっぷりあるぞ。 「なんだこれ、うまい。葉っぱがうまい」 「揚げたて最高だよ。レンっ、ボク、ケチャップかけるっ」 ヴィクトルとニーノはにぎやかに食べはじめ、セレスティノはそんなに食べるのかと思うぐらいの量を皿に乗せてから無心でかぶりつく。 さっき言い合っていたことなんかまるきり忘れた顔だ。セレスティノとヴィクトルは目も合わさないし、びみょうに空気がかたいけど。 あっ。まずい。先生の分、分けてないぞ。 慌てて立ちあがって食器棚に向かうと、毛玉がぬっと現れてぎょっとした。 ほうぼうをさすらってきたような荒んだ気配を漂わせる、ぼわっとふくらんだ何かが目の、目の前におばけ!? なっ、なん、なにっ。 人の頭だと気づいたときには、それはよろよろと横切ってテーブルにつき、ソーセージと揚げじゃがいもを一緒くたにフォークに突き刺すと、豪快に口に入れて、むせた。 「……かっ、は」 「せ、先生? あの、水っ」 ペットボトル入りの水を慌てて運ぶと、喉を鳴らしながら飲み干してふたたび旺盛な食欲を見せはじめる。 先生が噛みついたソーセージから、あつあつのあぶらが弾けて、滴る音まで聞こえそうな静けさがテーブルに満ち、みるみるまに消えていく食事にみんながはっとしたように食事を再開する。 「レン、サラダおかわり」 「ボクも」 「僕もだっ」 先生用にサラダを分けようと思ってキッチンに戻ると、きれいに空っぽになった皿が掲げられる。 いつのまに食べ終えたんだとオレはちょっとあぜんとしながら、テーブルの上にボウルごと置いておくことにした。もうみんな勝手に食べて。自分の皿にのせた分が少なすぎてまるきり切れっ端みたいに見えるけど、いや、でも、オレはこれでじゅうぶんだ……。 「えー…と、……ごちそうさまでした」 トマス・フリーデン先生は少しだけ恥ずかしそうに、おいしかった、ですと付け加える。 それからふたたび部屋の中に消えたけど、食器洗い機が仕上がり音を鳴らした頃には戻ってきて、寝起きそのままなんじゃと思われていたシャツを着替え、ふくらみきっていた巻き毛もブラシを入れたらしく、ややしぼんでいる。 「ちょっと時間がかかったけど、みなさんのくせがおおむねつかめたので」 「……え?」 オレたちの、くせ? それって何の、って思ったけど、先生はきまじめに、ピアノのだよ、と教えてくれる。 でも先生がオレたちの演奏を直に聞いたのは最初の1度っきり…のはず、だ。 ヴィクトルはあきらかに疑わしげな顔をしている。 「まずは……えっと、ヴィクトル、座って」 指名されたヴィクトルはとても嫌そうに、けれども言われたとおりの曲を弾きだす。 前回は一通り無言で聴いていたフリーデン先生は、途中でノン、と止めに入った。 「なんでしょうか」 「ヴィクトル、君は遠くへ行きすぎる」 「……は?」 「ちぢこまりすぎだろう。なんなんだ、圧力にかなわないからって、そんなに深くまでもぐろうとしなくってもいいだろうに」 もう1度、と言われて首を傾げながらもヴィクトルは同じように弾きはじめ、止められ、こうだよと鳴らされ続けるだめ出しの山に、だんだんとむきになっていく。 話にまったくついてけないんですが、ってこれまた素直な感想を言ってたけど、だんだん顔つきが強ばっていくのを見れば、なにかしら感じるものがあるんだろう。 「次、セレスティノ」 セレスティノはちょっと眉をあげて興味深そうに先生の顔を見てから、同じように弾きはじめる。そして止められた。 「一時停止って標識見たことある? あれさ、ただ止まれってわけじゃないよ」 「…………」 「目の前に飛びだされちゃったのに止まれないとほんとうに困っちゃうよね」 セレスティノは、むっとしたらしい。 困っているのはこっちだという顔で、それでも挑むように指を走らせはじめる。そのたびに止められ、鳴らされる見本に噛みつくような勢いで走りはじめた。 「ニーノ」 「なんですか」 「君のお城がとけてる。どうせ作るならもっといろいろあるのに、おいしいの嫌いなの?」 「知らないです、わけが分かりません」 ニーノはつまらなそうな顔でずいぶんと抵抗してたけど、フリーデン先生は粘り強かった。 それこそレタスの葉っぱを一枚もちぎれさせずにはがすぐらいの丁寧さと慎重さとしつこさで、言葉と音を繰り返す。 「しっつこい」 「そうかな」 「こっちもそっちもないよっ」 終いにはニーノもずっと傍らに置いていたお菓子の包みを離して、ピアノをがんがんと鳴らす。ニーノがこれだけの間、お菓子を口にしなかったことがあっただろうかたぶんない、ってぐらいの勢いで引き始めた。 「レン」 ああ……、ピアノの前にある椅子が断頭台に見えてきた。 オレもあそこに行くのか……。 その向こうには燃え尽きた様子でありながらもあきらかに体も意識もよそにいっている3人が並んでいる。仲良く肩を寄せ合うような距離で並んでいるのが、あきらかにおかしい。 「レン……、言いたいことがたくさんあるけど」 「……は、はい」 「とりあえずそこからでないの。迷路のでかたって知っている?」 「ええと、左手の法則ですか。壁に左手をあてて」 「ああ、うん。右手でも同じなんだってねえ」 「…………」 オレは先生の言っていることが、ちっちとも分からない。 みんなも首を傾げていたけどオレも傾げる。たとえばミケーレと弾いたときは同じところに立っていて、同じような景色が広がって見えるようなそんな気さえしたけど。先生の言うところが、まるきり知らない場所に感じる。 こっちがいいんじゃないかって言われている気がするし、オレもそっちに行ってみたい気がするけど。 けど行けない。オレついていけてなくって。ときおり体が竦んで動けなくなる。 ぐるぐる音がまわって、鳴りわめきだして止まらなかった。 気付いたらピアノ前から離れ、セレスティノたちの並びに小さく座り込む。 一通り終えてから、フリーデン先生はおもむろに楽譜を渡してくる。 「それ課題ね」 夜までに暗譜してね、と、さらっと言われてぎょっとする。 なんで? これを、夜まで? こっちは今の音でいっぱいなのに。 新しい、弾いたこともないこの曲を入れる? でも誰もできませんとは言わなかった。 ピアノのことなのに、自分のことなのに、それがまったく理解できなくって遠く及ばなかったことなんて、みんなほとんどない。できないなんて言いたくなかったのだ。 全員無言だった。 ベッドの上に座り込んだり、テラスに出たり、思い思いの場所で楽譜をにらんで、誰が該当のCDをかけようが、ピアノを弾こうが、口も挟まない。 オレはしばらく床の上でうなったあと、キッチンへ入った。 冷凍のパイ生地に野菜や肉を敷き詰め、作り上げたキッシュをオーブンにいれてから渡された楽譜をもくもくと読む。何か他のことで頭の中を埋めてからじゃないと、新しい音なんて入ってきそうになかった。 けれどここからだった。覚えたら終わりってわけじゃない。 「なんなんだあのしつっこさは。鳥の巣だと思ったのに蛇の頭かっ」 「お菓子がないよ。あっ、ピアノ食べたんだね。ボク分かっちゃったな」 「そうだ指が1本増えれば良い」 みんなまじめにおかしいから。 落ち着いて、蛇の頭じゃないし、ピアノ食べないし、1本増えないから。 「レン、待て待てそれは塩っ、それは牛乳っ。食洗機に入れるのは洗剤っ」 うんセレスティノ、オレ、分かってる。 洗剤はとっても甘い匂いがするんだ。あれっ、甘いんだから砂糖だったか? 「わーっ、レン、そこ寝るとこじゃないよっ?」 「夢の中で弾くなっ、包丁持つな…っ」 ヴィクトル、オレの手にすがりついても、そっからごはんは出てこないからな? ごはん? ごはんかあ…ごはんって、あれ、もう食べたっけ……。 フリーデン先生はいったいどこからそんな力がわきでるのかと思うぐらい、オレたちに付き合い、目から耳から音符があふれて落ちそうな勢いで音を追いかけ。 みんな余裕がなくなって、テーブルの上に並ぶのは解凍に失敗してパサパサになったパンにひとつずつの缶詰みたいな感じになっていくんだけども誰も何も言えない。 ピアノを弾いているとき以外はうとうと眠り込んでろくに食事もとらないオレにヴィクトルはたいそう心配になったらしい。なにか食べたいものがあるかと言われてちょうど近くにあったヨーグルトを掲げられ、無意識に首を振ったらあんなに嫌がっていたのに手ずからチーズを切り分けて、食べろと言ってきた。 うん……うん、ヴィクトル、チーズおいしいよ、鍵盤の味がするね。 鍵盤おいしいね。ブルーチーズだもんね。 まるきり鍵盤の幅と同じぐらい大きなチーズの匂いが口いっぱいに広がって、とにかく噛んで飲みこまなくちゃという気持ちになった。 |