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『何度でも抱きしめて』 第三話



 僕は教室を出て保健室へ向かっている。
 今月は何回かこんな事があった気がする。
 たしか一昨日も保健室へ行って、先生にカウンセリングを受けたはずなんだけど……途中からうまく思い出せない。

 それでも僕は先生に会いに行く。心を軽くするために。
 この白いドアの向こうにいる人に思いを伝えないと精神がパンクしてしまうから。

「あら、いらっしゃい。でも今日は……」
「外出ですか?」
「そうなの。今からお出かけしなきゃいけないの。だからまた今度、ってわけにはいかないよね」

 出かける間際だった様子の先生が、もう一度椅子に座り直す。
 僕のことを見てくれるのはとても嬉しい。

「時間、いいんですか? 診ていただけるんですか」
「もちろんよ。悩みがあるんでしょう? 顔を見ればわかるわ……こっちへいらっしゃい」

 にこやかな表情で手招きされて、僕は足を前に踏み出す。

「あっ……」
「ふふふ、自分でも驚いてるんでしょう。体が勝手に動き出したみたいで」
「な、なんで……おかしいです、自分の体じゃないみたい……」

 先生の前に立つと僕は不安定になる。
 いつも考えが見透かされてしまう。
 でもそれが何故か心地よくて。

「それでいいの。それが普通なの……だって、キミはすでに……」
「え!?」
「私のものだから。ふふふ、つかまえた♪」

 近づいてきた僕の手を先生が握る。
 すぐに僕の体から力が抜け落ちて、膝から崩れおちる。
 そして目線の高さが下になった僕を……先生は受け止めてくれた。

「キミは今、こんな事を考えてる……なぜ僕は抱きしめられてるの? まだ何も言ってないのに、どうして」
「せ、先生……あ、あの……ッ」
「どうして、先生は僕のしてほしいことを知っていたの……って」
「ああああああああああ!!」

 優しい笑顔に見つめられているだけで気が狂いそうになる。
 なんで先生は、この人は僕のすべてを知っているんだろう。
 見つめ返すだけで胸が苦しくなる。

「ふふふふ、知ってたのよ。全部。だからこうしてあげられるの」

きゅ……♪

「ああああぁぁ……」
「今日は特に、時間がないから早く済ませてあげるわ……クスッ」

 すでに片方の手は先生に握られていて、心臓は早鐘を打っている。
 ドキドキしているのが手のひらから伝わってしまいそうで、どうやってそれを隠そうか僕は必死だった。

 しかし、先生は待ってくれなかった。

「ねえ、その可愛い唇……ちょうだい? ん、ちゅっ、ううぅぅ♪」
「んううううっ!!」
「ぴちゅ、れろぉ……もっとリラックスして? 美味しく食べてあげる……」

 形の良い唇が急に近づいてきて、呼吸が乱される。
 唇が触れた直後に、舌先が口内を荒らし回って僕をかき混ぜる。

「耳元で優しく、入れてあげる。快感のスイッチ……ぱちん♪」
「ふああぁ!」
「ほら、膝が崩れちゃう。力がどんどん抜けていく……抜けてく……抜けちゃう……」

 しかし力が抜けても先生は僕を離さず、膝立ちのまま心を犯しつくした。
 至近距離で言われるがままに暗示をかけられる。
 型にはめられていくみたいに心が窮屈になって、その都度抱きしめられて、甘く惑わされる。

「ぱちん♪ 腰から下、全部崩れちゃうよ……ぱちん、ぱちん♪」

 言葉を発するたびに僕は脱力する。
 先生の言葉に逆らえず、体中の支配権を奪われてしまうように。

「ああ、だめ、これだめええええ!」
「ふふふ、すっかり骨抜き状態ね。綺麗に刷り込まれてるみたいで、私も嬉しいわ」

 正座したまま先生を見上げる。
 すっかり腰から下は脱力していた。

 そしてもう一度重ねられる唇……僕は心の底から先生に蕩けさせられていた。
 何も考えることもできず、その機会も奪われ、体中を抱きしめられた。

「僕、どうして、こんな……」
「まだ気づかないの? キミの体には、たくさんのスイッチが付いてるの」
「スイッチ……あ……」
「そうよ、快感のスイッチ……聞き覚えあるでしょう? ほらぁ……思い出してご覧?」

 体と心を制御するスイッチの場所は、先生が全て知っている。
 僕は先生の指先や言葉ひとつでその大切な場所をいじられてしまう。
 しかも逆らうことは、できそうにない……。

「せん、せ、なに、これ、気持ちいい……なんで、どうして……?」
「先生に心をグズグズにされて、気持ちよく射精しちゃったこと……あるでしょ?」
「お、思い出した……あ、あああぁぁ!」
「だから、きょうもまたひとつ植え付けてあげる……裸になりなさい」

 先生の口が小さく動き、同時に指まで鳴らされる。
 その動作は僕の行動に直結していた。

 下半身に力が戻り、僕は立ち上がる。
 数十秒後、僕は一糸まとわぬ姿で、先生の前にいた。

「かわいいおちんちん……」
「ああァァ、言葉に逆らえない、なんで、僕はっ!」
「たっぷり弄んであげるわ。今から勝手に動くことは禁止よ?」
「ふあああぁぁ!」

 先生の言葉を受け入れると、筋肉が凝り固まってしまう。
 でもそれが別の快感を連れてくる……支配されることで、甘い毒が体に回るように。

「悔しそうな顔をしてもダメよ。キミは私に逆らえない……」
「うあぁぁ、あ、気持ちいいよぉ……」

 指先を動かす、ただそれだけで苦痛が脳を駆け巡る。
 その次の瞬間には苦痛が快感に置き換えられている。
 先生の命令は絶対だ、と体が疼き出す。

「ほら、抗おうとしても心が折れちゃう……だって、好きだもんね?」
「す、好き、好きです……先生の、声、顔、全部……」
「先生が好き……大好き……好き好き好き♪
 ふふふ、意地悪してゴメンね? でも、心をしっかりと縛り付けたわ」

 ゆらりと立ち上がった先生は、立ち尽くした僕に長い脚を絡ませ、腕を背中に回し、耳元に唇を寄せた。

(今からと~~~ってもきもちいいこと……してあげる)

 妖しい囁きと、生暖かい吐息が思考を奪い去る。
 蕩けきった僕の顔を先生が抱きしめる。

「キスをしながら、少しずついじってあげる……ん、ちゅうう♪」
「んうっ、うううーーーーーっ!」

 舌先がぐるぐる回り、僕の心をかき乱す。
 同時にほっそりした指がペニスを捕捉して、手慣れたように快感を送り込んでくる。

「おちんちん、おっきくなってる……んふふ」
「はずか、しい……」
「両手で優しく、包んであげるよ……ほら、ふわぁ~って」

 五本の指がバラバラに動き、しかもクラゲが水中を泳ぐ時みたいに優しく亀頭に絡みつく。
 漏れ出した我慢汁が潤滑油になって、快感が加速する。

「くすくすっ、気持ちいいね? 優しくされて、悶えちゃうね」
「あっ、あっ、あああっ!!
「でも、ここからだよ……おちんちんにつけたスイッチ、ひとつずつ……ぱちん♪」

コリュッ……♪

「ひっ」
「先っぽ、カリ首、裏筋、根本……ぜ~んぶいじってあげる」

 その予告どおり、先生の指先が丁寧に僕を苦しめていく。
 キスをしながらその動きを再現して、二度も三度も僕の心を快楽に染めていく。

「んふ、くちゅ……キスも、だんだん、ちゅるっ……おいひくなってきたよぉ~」
「手のひら、きもちいいい! 包まれると、も、もうだめ、ええぇぇ!!」
「おちんちんといっしょに、あたまのなかもとろけちゃいなさい……」

んちゅううぅぅ♪

「んふふ、ほらほら~、もうビクンビクンしてるよ? 我慢しなきゃダメでちゅよ~?」

 赤ちゃん言葉でささやかれると、頭の奥が熱くなった。
 なんで、こんなに感じさせられちゃうんだ……その理由より先に快感に包まれてしまう。

 先生に抗えない、逆らえない、支配され尽くしてるから……。

「……ねえ、そろそろ楽になりたいよね?」
「も、もう、とけ、とろけて、おかしくなるううぅぅ~~~!!」

 抱かれたまま僕は悶える。
 先生は妖しく微笑みながら、ペニスを握り直す。

「じゃあ最後はここね……おちんちん指で挟んで、くにゅんっ♪」
「うっ、くうぅぅ!!」
「ふふ、我慢できるんだ? すごいね~」

しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ 
しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ 
しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ 
しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ しこしこしこしこ♪ 

「あっ、あっ、ああああああ!」
「我慢強いね。でも、あとどれくらいもつかなぁ? いくよぉ……指と指の間で、くにゅんっ♪」

 急所だけを狙いすました手付きだった。

「んはああああああああ!!」
「ピクピクしてるおちんちんの、芯を溶かしてあげる……ほら、くにゅんっ♪」

 感じやすい部分をむき出しにされたまま、何度も同じところを撫でられ、悶絶する。
 もはや自分で我慢している感覚も消えて、糸の切れたタコのように性感を制御できない。

「ほら、次でおわりにしよ? ……5つ数えたら、イっちゃいなさい♪」
「い、いやだ! こんなので、うあ、あ、ああああ!!」

 ぎゅっと強く抱きしめられ、僕の反論は遮断された。

「5~、4~、3~、ふふっ、脚がプルプルしてるぅ! 2~、1~……ゼロ♪」
「ん、あ、あっ、イくううううううううううううううううう!!!!」

 たっぷり焦らされた肉体は、先生の一言であっけなく解放された。

ビュルルルルルルルル~~~~~~~~~~~~~!!

 大量の精液を撒き散らしながら僕は喘ぐ。
 しかし先生の責めは終わらない。

「おちんちんを、ふわぁ~……包まれたまま、どっぴゅんしちゃえ~~~~~~!!」

こしゅこしゅこしゅこしゅっ!

「ひい、ひいっ、はああぁぁ!」

ビュルッ、ビクン、ビュクウウウ!!

 さらに熱い精液が遡り、僕はブリッジするように背中を反らせた。

「あはっ、すごい顔ね……気持ちよさそう。
 何も抵抗できないまま、心と体をいじられた感想はいかが?」

 ヒクヒク震える僕を抱きしめながら先生がささやく。

「スイッチ、一つ増やしておくから。キミ、今日もまた私に染められちゃったね」
「先生、せんせえぇ……」
「そんな情けない顔をしなくてもいいよ? 私もキミが、好きだから。
 これからも支配してあげる。幸せでしょう?」

 ねっとりと囁かれ、僕は何も考えられずに首を縦に振った。
 もっと、支配されたい……でも、体が言うことを聞かない。

「丁寧に植え付けられた条件反射には、誰も逆らえないの。
 だから落ち込まなくていいの。出かける前に、あなたの好きそうな言葉を囁いてあげる……」
「も、もう、いいです……あ、あああぁぁぁ……」
「……次も、私のおもちゃにしてあげるからね。 ぱちんっ♪」

ビクンッ!

「あひゃあああああああっ!!」

 合図とともに体が跳ねた。
 ペニスが反応して、薄くなった精液が先端から吹き出すのを感じた。

「くすっ、またイっちゃった……ちゃんと綺麗にしておいてね」

 支えがなくなった途端、どさり……と僕はその場に崩れ落ちる。
 先生の後ろ姿に見惚れながら、ゆっくりと僕の視界に暗幕がかかっていく。




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