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第十八話 レジェンド先輩 後編





 次の日の午後、俺は美野里さんとの約束通り修練場へ向かっていた。
 テニス部は昼休みに軽く汗を流しておいたから今日はあっちに顔を出さないと決めている。バトルファックのほうは自主練中心のはずだから部員の誰かに出会うかもしれない。
(センパイに胸を借りるのって緊張するなぁ……)

 文字通り胸を借りる。余談だが美野里さんもサイズが大きい。
 部屋着みたいにラフな格好だとますます目立つ。
 昨夜は目のやり場に困った……などと煩悩全開で歩いてるうちに到着。
 部室の鍵は開いていた。

「やっほー、早いねー! 時間をきっちり守れるのはポイント高いよ」

 そして中に入ると俺たち以外は誰もいなかった。
 偶然なのか、それとも美野里センパイの取り計らいなのか。

「美野里さ、いや……センパイ! よろしくおねがいします」
「まあ、気楽にやろーよ。まずはリラックスして?」

 怒ってない。にこやかな対応にホッとする。出されたお茶を飲みながら気持ちを落ち着けると、目の前にいる女性がとても魅力的であることに気づいた。

 黒いニットに薄紫のカーディガンを羽織り、黒のミニからは揃えた生足が覗いている。女子高生の脚よりも全体的に細くて、なめらかな曲線は見ているだけで股間に響く。

「もう、どこ見てるのよ!」

 クスッと小さく笑い、脚を組み替えながら彼女が言った。
 急に恥ずかしくなった。

「すみません、きれいだったのでつい……」
「褒め上手だねー! ま、エッチな視線は嫌いじゃないからいいけど」

 普通の会話なのにいつも以上に序盤から圧倒されている感じがする。
 これは俺の女性経験が少ないせいなのか、それとも勝手に劣等感を抱いて気後れしているだけなのか。

「さあ、はじめましょうか。貴方の力を見せて」

 パン、と手を叩いて美野里さんは立って着替え始めた。
 つられて俺も勢いよく立ち上がる。
 そしてお互いに下着一枚になってマットに上がる。

 きっと刺激的な色だろうという俺の予想に反して美野里さんは白いレースのブラとショーツを身に着けていた。清潔感のある装いを見てミズホを思い出してしまう。
 体型も似てるし、姉妹だから仕方ないか。そしてブザーが鳴り響いた。

「今から10分間……きゃっ」
「はいっ!」

 センパイの言葉が終わる前に俺は彼女に飛びかかっていた。
 先手必勝。
 格上が相手ならなおさらだ。

「んっ、なかなか強引ね。悪くないわ」

 組み付いてきた俺の力に逆らわず、美野里センパイは細い腕を絡ませて俺に抱きついてくる。暖簾に腕押しと言ったところか。手応えが薄いのに倒せない!

「……今の痛くなかったですか?」
「そんなの聞いちゃ駄目。雰囲気を大切に」

 余裕たっぷりの様子で返されてしまった。
 柔らかな体を味わいながら、押してるはずの俺が僅かに不利な体勢になる。

 このままじゃ支えきれない、という絶妙なタイミングで彼女の左手が俺の後頭部を押さえつけてきた。

チュッ……

 キスのファーストコンタクト。それと同時に背筋を使って美野里センパイは体勢を完全に立て直した。たった一度のキスで怯んでしまったことを恥じた俺はがむしゃらにマウントを奪おうとするのだが、届かない。同じキスのはずなのに受け流されてしまうのだ。

「んふ、やさしいキスね。嫌いじゃないけどバトルファックではそれじゃ弱すぎ。お手本、見せてあげる」

 小さく息を吸い込んだ美野里センパイが両手で俺の顔を押されてキスをしてきた!

チュッ、チュウウウゥゥゥ!!

 唇が、呼吸が奪われた……それ以上に、ペースが乱されて彼女が有利な態勢に追いやられる。いつの間にか押し倒され、両手がマットに付いていた。

「んぶっ!?」
「ふふ、もっと激しくするわよ」

 顔を揺らし、口の中の全てを舐め尽くされると今度は脱力してきた。
 チュッチュッチュと規則正しく快感が刻まれ、頭の中がキス一色になる。

「あ、あ……ふぁ……」
「まだ始めたばかりで喘ぐのは相手を有利にするわ」

 舌を引き抜いて美野里センパイが笑う。この上なく魅力的な笑顔にまた心の中を見抜かれた。
 それからほんの数秒間、彼女はじっとしてくれていた。
 俺の反撃を待っているかのように。

「いい、いきますっ!」

 僅かに戻った闘争心に任せて上体を起こし、彼女の肩を掴んだ。
 ミズホよりも華奢に感じる肉付きなのにバトルファックでの責めは激しすぎる。

「クスッ、おいで♪」

 目の前の相手がかつてのチャンピオンだったことを思い出し、俺は美野里センパイをマットへ押し倒すのだが……

「じ、自分から……」

 倒れるやいなや、美野里センパイは微笑みながらゆっくりと脚を開きはじめた。
 まるで真珠を包み込む貝が自ら口を開けたような幻想的な光景。
 真っ白で長い足が開かれ、左右の手がそれぞれの膝裏を掴み惜しげなく俺を誘惑してくる。美野里センパイ足の付根にある花弁は小さく、淡いピンク色をしていた。

「きれいでしょ? お手入れしてきたんだよ。キミのために」

 甘ったるい声でセンパイは言う。

「俺のため……」
「うん、そうだよ♪」

 あからさまに誘惑されている。それくらいわかっている。でも抗えない!

 こんなにきれいな秘所を俺だけに見せてくれている。俺のために磨いてきたと言ってくれている。それが嬉しくてたまらない。

 気づけば俺は小さく震える桃色のクリトリスを見つめるために、自分から顔を突っ込んでしまっていた。ゆっくりと閉じてくる美野里センパイの脚の動きも気にならないほど魅了されていた。

ギュ……

「はい、つかまえた♪」
「あ……」

 正気に戻った時にはもう遅かった。美野里センパイの笑顔が見える。だが動けない。
 三角締めに似たような格好で抑え込まれているのだ。

「くそっ、こんなの……」

ギュウウウウッ!!

「うああああああああっ!」

 逃げようとして締め付けられ、スタミナを奪われた。
 なんとか有利な態勢を取り戻したくて俺は焦るが、全てセンパイの手のひらの上。

「誘い込まれちゃ駄目よ。相手のペースになっちゃう」

 そのやり取りを繰り返し、俺が息切れしたところを狙って美野里センパイは動いた。

「えっ……あっ、あああああああああああーーーー!!」

 全く解けなかった抑え込みから解放され、2秒も経たないうちに転がされて天を仰ぎ、馬乗りになった彼女を見上げ、ペニスは粘膜に包み込まれた。

「いっぱい鳴かせてあげる♪」
「ひ、ひいいっ!」

 無邪気な笑顔で宣言する美野里センパイを見て恐怖を感じた。
 否、俺より先に挿入されたペニスが感じ取っていた。

(こ、この膣内はヤバい……! ずっと、うねりまくって、敏感なところばっかり責めてくるッ)

 まだ腰を振っていないセンパイの膣内。
 普段の俺なら、今までの相手なら歯を食いしばれば我慢できる。

 でも全然違った。美野里センパイの膣内は俺を甘やかしてくる。
 徹底的に優しくて、気持ちよくて、抵抗する気力を奪いにかかってくる!

「なにこれ、なんだよこれええ!」
「男の子は敏感なの。こうして捕らえちゃえば、あとは思うままよ」

 逆らえない、こんな気持ちよくされたら……指先から抜けていく力が戻ってこない。
 体の芯が溶かされる前に逃げ出さないとおかしくなる!

「キミの名誉のために言っとくけどこれは私に限ったことじゃなくて女の子全般が得意とするものだと思っていいわ」

 その言葉に俺は首を何度も横にふる。

 あってたまるか、こんなのが当たり前のはずがない!

 相変わらず美野里センパイは俺にのしかかったまま動きを見せない。それでも確実に追い詰められている。射精に向かって体の奥が精子を増産している。一度や二度吐き出したくらいじゃ満足できないほどの心地よさのために、代償を払うかのように精巣の内部がぐるぐる渦巻いているのがわかる!


「気持ちよさそうにしてるけど、このあとキミならどうする?」

 意地悪な笑顔だった。
 わかってるくせに尋ねてくるなんて。

 でもそんな彼女が今は愛しくて、魅力的でたまらない。
 反撃しなきゃいけないのにずっと見つめていてほしかった。

「どうすることもできないでしょ。まずはそれを覚えてくれればいいわ。そろそろ楽にしてあげるからね……えいっ」

 わずかに美野里センパイの腰が動いた。
 それは小さな円運動。
 初心者のイキリを相手に目一杯の手加減をした王者の腰使いだった。

「ぅあ……」

ビュクビュクビュクウウウッ!

「んあああああああああああああああーーーーー!!!」

 美野里センパイが動きを止めて腰を沈めた瞬間、きた。

 ずっと溜め込んでいた精液が、まるで一週間くらいオナ禁したあとみたいな勢いでセンパイの膣奥めがけて激しく遡る!

「はううううっ、あ、ああ、とまんないよぉ……」
「当然でしょ。イかせた直後に追い打ちかけられてるんだから」

 そう言われて初めて気づく。
 センパイの腰が、緩やかにうねり続けていたことに。

(い、イく、勝てない、こんなの駄目、負けることしか、考えられなくなっちまう!)

 ここからすぐに離脱しなければと本能が訴えかけてくるのだが、美野里センパイはその気持すら快感で押しつぶそうとしてくる。上体を倒して俺に密着しながら、鼻先で吐息を吹きかけながらそっと囁いてきた。

「このままもう一度固くなってもらうわ。耐久力には自信があるんでしょ?」

 整ったセンパイの顔がすぐそばにある。
 目を引くのは魅惑の唇。
 ああ、またキスされたい……

 美しい瞳で見つめられ、同意を促され、俺は考えるより先に返事をしていた。

「は、はいいいいいっ!」
「良い返事ね。ますます可愛く感じちゃう」

 センパイは目を細め、俺の首に腕を回してギュッと抱きしめてくれた。
 それだけで幸せな気持ちがあふれてしまう。

 バトルファックで対戦相手に恋慕の情を抱くことなんてないはずなのに。
 これじゃあまるで……

「セン、パイ……」
「なぁに?」
「……俺の、やり方じゃ、駄目なん、ですよね?」

 聞くまでもない事実確認。ここまで圧倒されればどうしようもないはずなのに、俺は聞かずにいられなかった。解決策が欲しい。このまま絶望した気持ちで射精を続けたくなかった。

「ううん、そんなことない。キミの気持ち次第で逆転できる」
「ッ!!」
「今は私に身を任せて」
「あああぁぁ……」

 優しく応えてくれるセンパイにアドバイスを貰いたくて甘える。
 柔らかく包み込んでくれるバトルファックの大先輩に心が溶かされていく。

「……それ、でセンパイ、どうすれば俺は、強くなれますか?」

 美野里センパイは、スッと顔を離して正面から俺を見つめてきた。
 吸い込まれそうな大きな瞳に俺が映っている。

「慌てないで。ちゃんと今から秘策を授けてあげる♪」

 そのままゆっくり顔を寄せてきた。

「ちょっ、美野里センパイ……あの……?」

 それには構わず彼女が続ける。
 俺の左肩に顎を乗せて、耳を優しくひと舐めした。

レロォ……

「ひっっ!」
「くすぐったい? 例えばこんなふうに……」

 さらにギュッと抱きつかれ、やっと聞き取れるくらいの声で囁かれる。

「……きだよ」
「えっ」
「好き♪」

 聞き間違いじゃなかった。
 自分の心臓の音が大きく聞こえる。

 好きって言われた。

「な、なっ! センパイ、今のは」
「もう一度聞きたいの~? いいよ、何度でも」

 美野里センパイに何度も告白される。
 年上の美人さんから、何回も、俺のことを好きだって、本当かな……
 やばい、どんどん腰のあたりが暖かくなってきた。

 自分ではわからないうちにさっきよりも興奮させられていた。
 挿入されてこの上なく気持ちよくされたはずなのに、その上のステージに無理やり引き上げられた。

(体だけじゃなくて心が、おかしくなる! 自分ひとりじゃどうしたらいいのかわからない……)

「そろそろみたいだね?」
「えっ、な、なにを……」

 すっかり混乱した俺に彼女が優しくささやく。
 全身を再びギュッと抱きしめられ、何度目かの骨抜き状態にされた。

 うっとりした目で自分を見つめる俺の状態を確認してから、少し顎を引いて上目遣いで美野里センパイが甘くおねだりしてきた!

「キミのたいせつなもの、私にちょうだい?」
「俺の、って、あ……ああっ、やばい、で、でちゃう!」

ビュクンッ!

 そこから先はもう何も考えられなかった。
 触れられては困る心のスイッチを強く何度も押されたみたいに、彼女への思いが一杯になったから。

ビュルッ、ビュルルル、ビュウウウウーーーー!!

 さっきとは比べ物にならない圧倒的な射精。
 自分が壊れてしまうことを覚悟するほどの勢い。

 しかしこの感覚に覚えがある。
 甘く、優しく、淫らで、とろけるような連続射精。

(ミズホ……違う、これは美野里センパイなのに、どうして彼女のことを)

 目の前にいる女性以外のことを考えるのは失礼な気がした。

 でも止められない。
 大好きな人を思いながら俺は美野里センパイの膣内に射精を繰り返した。

 小刻みに何度も、絶頂しながら頭の中がかき混ぜられる。

 その間ずっとセンパイは俺を抱きしめ、ささやき続けてくれた。

 気持ちいいのが止まらない。
 体の奥から何度でも精液が引きずり出されていく。

 やがて気力が尽きて倒れた俺は彼女にもたれかかるようにして数秒間気絶した。

「どう、気持ちよかったでしょ。これが現役時代の私の技『求愛操作(マリオネット)』だよ。体より先に心を奪っちゃえばどんな相手にだって負けない。まあ、おそらく今のミズホもこの技を使えると思うけどね」

 やっとの思いで薄目を開けながら俺は彼女からのアドバイスを聞いていた。
 でも残念ながらセンパイのありがたいお言葉は最後まで俺の耳に届いてなかった。



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