『せめて責められ四十八手』 前夜祭~選択肢 おユキのいたずら 

文章:11-47 イラスト:みかみ沙更さん


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「今日はなかなか良い一日だった……」

帰宅後、ベッドの上でゴロゴロしながら自然と顔がにやけてしまう。
芸能科へのお使いはめんどくさかったけど美月ちゃんを見ることができた。
こういうのを眼福っていうんだろうなぁ。

秋穂先生も真夏も、千春ちゃんも女の子には変わりないんだけど
やっぱりアイドルとか手に届かない存在って感じがして憧れる。

(みぃちゃんとエッチか……本当にできるのかな?)

おユキから授かった神通力とやらを信じつつある自分がいる。
あんなにオカルト苦手だったのに、今では――

「只今戻ったぞ、ワタル」

「おかえりー。どこに行ってたの? おユキ」

……普通に幽霊と会話してる。

僕と血縁関係にある父さんやおじいちゃんにも彼女の姿は見えるのだろうか。
そのうちこっそり探りを入れてみたいものだ。



「ちと気になることがあっての。調べものをしていたじゃ」

おユキは小一時間ほど僕から離れていたようだ。
近くにいなくてもなんとなく繋がってる気がするのは、きっと僕と彼女の魂が何らかの形でリンクしているからなのだろう。

「どんなことを調べたの?」

「うむ。重要な事じゃからよく聞け。ワタルが目をつけた4人のうち3人には神通力がかかっておるようじゃ」


「おお、わざわざそれを調べに! …ってことは、真夏と千春ちゃんと秋穂先生だよね」

「さよう。いつでも手篭めにできると思え」

手篭めっていつの言葉だよ!


「猛烈に人聞き悪いぞ……おユキ」

「妾にとっても重要な事じゃて。おぬしのようにやれ童貞喪失とか女体にウハウハできる~~~などという淫らな下心に浸っておるほどヒマではないのじゃ」

おユキは童貞とか下心という部分を特に強調して野蛮な言葉を僕にぶつけてくる。


「ふふん、当たらずとも遠からずじゃろ?」

否定どころか反論すらできない自分がちょっと恥ずかしい。

どんなに言葉を選んでもこちらの心が見えるおユキに言い訳しても無意味だ。

僕は黙って目を閉じた。




「ところでワタルや……こっちを見てみ。ほれほれ」

「ぅん? ……って、おおおおおおおおい!!」

おユキの声につられて目を開けるとそこには――、



着物の下に隠れた真っ白なおユキの体が露出していた。

「明日からは直接女体に触れてもらわねばならんのじゃが、その前に妾が見極めてやろうと思ってな」

「なっ、ななな、なにをおぅ!」

これは無理。慌てるなと言われても、いかに相手が幽霊だと言われても緊張してしまう。

いつもフワフワ浮かんでいるだけのおユキの体は僕よりも一回り小さい。現代の女性としても小柄な方だと思うが、小さいながらに非常にバランスが良い。

胸の膨らみは想像以上で、腰はくっきりとくびれている。その名の通りきめ細やかでユキのような肌は見ているだけで吸い付いてきそう……思わず手を伸ばしてみたくなる。

初めて見る女の子の体がこんなに細くて綺麗だなんて。



「どの程度免疫力があるのかどうか。ほれ行くぞ!」

じわじわと目の前に近づいてくる半裸のおユキ。

着物をはだけさせて右肩から乳首までを露出させて僕の顔の前で軽く揺らしてみせる。



ふるんっ♪

大きさはともかく柔らかそう。

凄く触りたい……この手でおユキの体を。


「はうううううっ!!」

だが先に声を上げたのは僕だった。

「ワタル、うっとりしたまま無防備になってはいかんぞ~?」

下半身が、腰の中心がじんじん熱い!

驚いた僕は視線を落とした。
なんと、おユキの細い足が股間に擦り付けられているっ!?

「少し念を込めればおぬしの体に触れることは出来るのじゃ」

「なんだって、そんな――!」

慌てて逃げようとしたけど今度は体が動かせない。

肘や膝、両肩や手首足首がベッドの上で杭打ちされているような。


「しかも金縛りにすることもできるみたいじゃの? 抵抗してみせい」

「ぐぎぎぎぎぎ……くそっ!!」

おユキの言う通り、まさに体中を針金で締めあげられているような感覚だった。


「これならいたずらし放題じゃの♪ ふふふふ、ほれっ」

きゅうううううっ


「あはああああっ!!」

家族に聞かれたら確実に問い詰められそうな声で喘いでしまう僕。

股間に感じるおユキの膝が少し沈んだだけで、じんわりとした快感が僕を包み込んだ。


「妾にいじめられたいのか? 可愛いやつじゃ……」

ぐぐぐっ!

「ああああっ、ちが、違うううううぅぅ! それやめて~~~」

痛みを感じるほうがきっと楽だと思う。
意図的なのかわからないけどおユキの膝に押しつぶされても快感しかやってこない。

しかも身動きできない状態で脚をゆっくりと上下にスライドさせてくるのだ。

そして目の前には真っ白な肌に浮かび上がる桃色の乳首。

そういえばおユキって……処女だったよな。


「そのとおり。お師匠様にも見せたことがないのだぞ……だがおぬしになら、北葛飾の末裔であるワタルになら見せても惜しくはないのぅ」

軽く頬を紅潮させながらおユキは続ける。

「だからほれ、もっと悶てみせよ」


クニュクニュクニュッ♪


「ふあああっ、ああああ~~~!!」

「そんなに心地良いか? 妾の足でなぶられて感じるとかまさに変態じゃの。ほほほ……」

腰回りを甘く焦らされ、頭がぼんやりしてきた。

目の前の可愛い乳首にそっと舌の先を伸ばしてみる。


「だいぶ色気づいてきたようじゃの……そんなに女体に溺れたいのか。まあやりたい盛りじゃから仕方ないとは言え……」

「おユキのここ、舐めたい。ペロペロして感じさせたい!」

思わず言葉に出してしまった。
頭のなかで求めるだけでもおユキに伝わるというのに。


「このまま続けてやっても良いのだが……」

おユキは満足気に微笑んでから、突然着物を着直した。


「おぬしには働いてもらわねばならんからの。今夜はこのへんで許してやろう」

「ええええっ! 生殺しかよっ」


「そうじゃ♪ その欲求不満を他の娘にぶつければ良い。ところで手始めに誰を選ぶのじゃ?」

「えっ」


おユキに聞かれて一瞬言葉を失う。誰にしよう。

『超乳戯画』を完成させるためには四十八手を試すことが必須。

つまり四十八回以上はエッチすることになるわけで――


「いい忘れたが一人のおなごにすべての負担をかけるわけではないからの。そのための四人じゃ」

「あ、そうなんだ?」


「それと行為の最中、妾は無言でその様子を写しとるわけで……おぬしらはいわゆるモデルじゃ。できるだけじっとしてて欲しい」

「そうだよね。結構疲れるんじゃないかなって今から心配なんだけど」


「快感に顔を緩ませながらイチャついておれば良い。ワタルの相手については疲れ知らずとなる。おぬしの精力を消費させるからの」

「どういうことっ!!」

おユキの説明によれば、神通力でとりこにした女の子の気持ちをつなぎとめるためには僕自身の力を注いでやる必要があるらしい。

簡単にいえばペニスを挿入して、快感をお互いに感じるということ。


「ワタルは相手の体を自分から触ることはできるが、普段よりも感じやすい体になる。さっき妾にされたようにな」

「嘘だろ……女の子の体って、誰でもあんなに気持ちいいの?」


「たぶん妾とリンクしたせいもあるのだろうが、おぬしは敏感体質になっておるようじゃ。だから相手から流される快感を我慢するので精一杯。自分から責めようとしても無駄ということじゃ」

四十八手の中には難易度の高い体位……触れ合う面積が大きかったり、男子にとって屈辱的だったりするものもある。

そういったものを含めて一生懸命耐えなければいけない。

精力の消費が激しい責め方、責められ方をすると僕が気絶することになるらしい。

さまよえる浮世絵師の魂を成仏させるお手伝いを引き受けてみたけど、これは思ったよりハードな道かもしれない。


「僕がイきそうになったら相手は止まってくれるのかな……」

「その時は逆におなごの方から動いてくれるかもしれないのぅ? 楽しみじゃ♪」

動かれたら簡単にイかされちゃうじゃないか!!




なんだかとんでもないハンデを背負わされた気がするけど、自分が気に入った女の子たちと関係できるのはこの上ない魅力だ。

僕にとってのリターンはその一点につきる。

少なくとも彼女いない歴の更新はここでストップ。

童貞ともさようなら。

これ以上何か求めたらバチが当たる。



「まあ、せいぜい情けなくヒイヒイ言わされぬよう、頑張れよワタル」

「……」

純真無垢で何も知らない千春ちゃんから行くか。

それとも生意気な幼馴染の真夏をヒイヒイ言わせてやるか。

やはり優しそうな秋穂さんとゆっくり交わるか……

いきなり高嶺の花、美月ちゃんを陥落させるか。この場合は握手会参加が必須だけど。


「それとも全員同時に相手とか。みんな可愛いし全部選びたい……」

「なんと淫らな欲望。ワタル、末恐ろしいやつ!」



「う、うるさいよ!」




誰を選ぶ?

1・緑野千春

2・青海真夏

3・赤嶺秋穂

4・横山美月






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