なんだか今夜はおかしな気持ちになってしまった。
そんな言い訳もむなしく感じるほど、自分が興奮しまくっているのがわかる。

普段なら妹とキスなんて絶対にありえない。
でも、本音の部分で今は……これはきっとお前のせいだ、柚子。

「兄貴……」

可愛くねだるような声。
相変わらず妹は俺に頬ずりしてくる。
ゆっくりと触れ合う肌がお互いの気持ちを高める。
そして少し遅れて甘い吐息が俺の耳元をくすぐる。

キスしたい。
今はもうそれしか考えられない。

「あっ……」

妹が小さくうめいた。
少し背が低い柚子の身体をしっかり抱きしめる。
ここ数年、こいつを抱きしめたことなんて一度もない。
腰に手を回すと、思っていたよりも細く感じた。

「ゆず、覚悟しろ」

「ぅん……」

今度は俺のほうから妹に頬ずりした。
嬉しそうにその行為に応える柚子。

「今日のお前、いつもと全然違う」

「どんな風に?」

「悔しいけど、めちゃめちゃ可愛い」

俺の言葉を聞いて、柚子の体が小さく震えた。

「うふっ、もう一度言って?」

「…………。」

そんなに何度もいえるか!
口を閉じる俺を見て、柚子が妖しく微笑んだ。

「もう一度言わせちゃうもん」

妹がチュッ、と軽く俺の鼻先にキスをしてきた。
そして今度は俺をじっと見つめてから、静かに目を閉じた。

「兄貴の口から、可愛いって……絶対言わせる!」

そっと控えめにあごを上げて、キスをねだってくる。
やばい……もうだめだ。

俺はとうとう可愛い誘惑に屈した。

「ゆず……」

「恥ずかしいよ、兄貴……はやく…………して……」

妹が切なそうに眉根をひそめた。
その表情を見ながら、俺はそっと唇を重ねた。



およそ1分ぐらいして、ポツリと柚子が呟いた。

「100てん……」

「えっ?」

「今のキスは100点だよ、兄貴!」

俺の腕の中で嬉しそうに笑いながらウインクしてくる。
リアクションに困った俺は黙って妹を見つめていた。

「だって、すっごい伝わってきたもん」

柚子は胸の前で手を組んで乙女モードに入った。
うっとりした表情で何かを妄想しているようだ。

「あんなのされたら夏蜜さんだろうが誰だろうが、イチコロよ!」

「そ、そうかな……」

「でもこのままだと悔しいから、キスだけで参ったさせちゃうからね! 兄貴っ」

「なっ!!」

「今度はあたしからしてあげる……」

柚子はベッドの上にちょこんと座り込むと、レギンスを脱ぎ捨てた。
さらに背中に手を回してブラをはずした。
上半身はTシャツのままなのが妙にエロい。

「ゆずのこと、好きで好きでたまらなくしてあげるんだから!」

「こらっ、なんて……カッコしてるんだ」

「ノーブラでTシャツとか好きだよね? 兄貴」

ニヤニヤしながら俺を見つめる妹。
何でこいつそんなことを…………あぁっ!!

「おまえ、俺の部屋に勝手に入っただろ?」

「兄貴の読んでる本とかエロエロサイトのことなんてしらないよお~?」

「てめぇ……」

「へへっ、ほらぁ……こっちおいで♪」

コロンとベッドに横になり、手招きしてくる柚子。
俺が隠し持っているエロ本のモデルと同じようなポーズをとってやがる!
(俺の本をだいぶ熟読しているようだ。)

さらにゆっくりと脚を開いて、パンティラインに指を這わせている。
けっこう脚が長い……陸上部で鍛えてるせいか、引き締まった美脚だ。


「あたしもすっごく恥ずかしいけどぉ……こういうカッコすると興奮するの?」

「…………メチャメチャする」

「素直でよろしい」

甘い誘惑にフラフラと吸い寄せられた俺は、柚子に寄り添うようにベッドに転がった。

腕を広げて微笑む妹に近づくと、ぎゅっと抱きしめられてしまった。
細い腕が俺の首に絡みついて、しっかりと顔を固定してくる。

「兄貴、教えてあげる」

んちゅっ♪

柚子のほうから軽いキス。
余韻に浸る間もなく、すぐに顔を離してにっこりと微笑んできた。

「さっきみたいに軽くキスしたら、もう一回今度は長くキスしてあげて」

「長く……?」

「たとえば……唇の下のほうを軽く挟み込んで、噛んであげるの」

柚子はペロリと舌先で自分の唇をなぞってから、再び俺にキスをしてきた。
真っ赤な舌先がゆっくり弧を描く様子がとても淫らに思えた。

「いくよ……」

しっとりした感触が俺の唇を濡らし、ジワジワとうごめいてくる。
さらに柚子の小さな舌先が俺の口の中に!

「んん~~♪」

チュプチュプと音を立てつつ、俺の舌を絡めとる。
甘い唾液を流し込まれて、呼吸と一緒に飲まされる。
柚子の両腕がしっかりと俺の首に回されているので逃げられない。

俺たちは一分以上キスを続けた。
口元がだるくなってきたところで妹はいったん俺を解放する。

「兄貴、ドキドキしてきた?」

さっきよりも潤んだ瞳で俺を見つめる柚子。
口元から銀色の糸を引きながら、少し困ったような表情がたまらなく色っぽい。

こいつ本当に俺の妹か!?

自分でも信じられないほど興奮している。
もう一度キスしたい……心からそう思う。
俺は黙ってコクリと頷いた。

「あたしもだヨ……」

まるで俺の心を読んだかのような一言。
柚子はにっこり微笑んでから俺の顔を両手で挟みこんだ。





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