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第三章 第六話



 俺はリリスが用意してくれた右側のゲートを選んだ。
 行き先はシフォンの部屋だ。
 しかし何故だろう、少し緊張する。

 ゲートをくぐった瞬間、軽い衝撃とともに俺は天井を見上げることになる。

「あ、あれ……?」
「ようこそ」

 ベッドに横たわった俺を、憮然とした表情でシフォンが見下ろしている。
 いきなり押し倒されている状況も謎だけど、あの表情がやばい。
 魂を共有している彼女が、もしも志穂と同じ性格であるなら、絶対にやばい!

「駄目よ」

 反射的に身を捩って起き上がろうとする俺を、シフォンは逃してくれなかった。
 肩を軽く小突かれて、俺は再びベッドに転がされてしまう。

「ぐふっ、シフォン! 話を聞いてくれ!!」
「何故? ストレスを発散したいのにユウマの言うことなんて聞くつもり無いけど」
「そのストレスってなんだよっ!?」

 俺の返事にシフォンが眉を吊り上げた。

「気に入らなかったのよ。まず最初に私のところに来なかったことが」
「そんな!」
「今のは志穂の気持ちを代弁しただけ」
「志穂がそんな事言うわけない!」

 するとシフォンは表情を変えずに、俺の脚を広げて膝を差し込んできた。

「く、はあぁっ!」

 さらにすべすべした太ももが深く割り込んできて、丸い膝の先でグニグニとペニスを刺激してくる。
 一見すると雑な愛撫なのに、その刺激は極上だった。

(これが、サキュバスのテクニックなのか……うあ、き、きもちいいいいぃぃ!!)

 無表情に近いシフォンに見つめられながら、腰回りが蕩けそうになる。
 しかしなんとか理性を保ち、歯を食いしばる。

「は、離せ……ぇ……!」
「あっそ。もっと激しくしてもいいのね」

 シフォンが笑った。そして俺をベッドの中央に押しやると、自分も腰を下ろした。

「や、やめ……うあっ、あああああ!!」
「まだ当てただけでしょう?」

 シフォンの目が淡く光って、俺の下半身が露出した。
 ズボンとパンツだけが剥がされてベッドの外に転送されたのだ。

 そしてむき出しになったペニスにそっと押し当てられたのは、しっとりと吸い付くような足の裏。
 理想的な体型であるシフォンの美脚が俺を蹂躙する。

グニュ、クニュッ、クニュクニュッ♪

「なんでこうなるんだよおオオォォォ! あああああああああああああああああーーーーーーーーッ!!」
「いい鳴き声ね」

 足の裏が前後に蠢くたびにとんでもない快感が送り込まれてくる。
 その動きを見ているとますますおかしくされてしまいそうなので目をつぶろうとするのだが、まぶたが動かない!

「感覚を奪われた気分はいかが?」
「くそっ、こんなのって……!」

 抗おうとしても無駄だった。
 足の動きを注視するように何らかの術がかけられているようだった。

 しかし、不意にシフォンが足の動きを止めた。

「こういうのが悲しいっていうの?」
「ちがうっ、絶対違う!」

 すると彼女は数秒間、目を閉じてから言った。

「ふぅん……志穂も確かにそう言ってるわ」
「!?」
「ほぼリアルタイムで更新できるのよ。魂の一部を共有してるとね」

 それは俺にとって驚くべきことだった。
 こちらにいる限り人間界の時間は止まっているものだと思っていたのだが、そうでもないらしい。

「まさか、この会話も筒抜けなのか、志穂に……」
「だとしたら何? 謝るつもりなら、もう手遅れよ」
「え」
「だって、志穂も私もあなたの行動が気に入らないんだから!」

グチュウウウウウウウッ!

「ぐあああああああああっ、あああああ!」

 足の裏が強めに肉棒を踏み潰す。
 ほんの一瞬の痛みと、その直後にやってくる数十倍の快感に俺は喘ぐ。

「なんだ、いまの……」
「痛みが快感にすり替わるように仕込んでおいたの。素敵でしょう?」

 そしてまた凶器である美脚が俺の股間を押しつぶす。

ぐちゅぐちゅぐちゅっ、ぐりぐりぐりぐり!!

「があああああああああああああーーーーーーーーーーっ!!」
「ほら、もっと気持ちよくしてよ。私のことを」

 視線を逸らすことも出来ず、俺はその扇情的な光景を見続けた。
 整ったシフォンの顔がこちらを見つめている。
 片方の足を絡ませて俺の太ももを固定しつつ、もう片方はペニスをすりおろすように不規則に動いている。

「もうカチカチになってる……♪」

 彼女が初めて見せた笑顔は凄絶で、見たことがないような色っぽい表情だった。

「シフォン、ああっ、もうやめてくれええええ!」
「足で激しくされるの、キライ?」

 すっと足を持ち上げ、踏みつける角度を変えながら彼女は続ける。

くちゅ……くにゅくにゅくにゅっ!

 溢れ出す我慢汁を塗り拡げながら、ペニスの感じやすい場所を探るように美脚が動き続ける。
 あの太ももに、真っ白な肉の間に挟み込まれたら……深くにもそんな妄想が頭の中に広がって、俺はますます感じてしまう。

「ぐあ、あ、ああああぁ!」
「でもこんなにビンビンだよ。いじめられて嬉しいんじゃないの?」
「ち、ちがっ……違うんだああああぁぁ!!」

 クールな表情は崩さずにシフォンが得意げに鼻を鳴らす。
 今の俺が見ている状況、特に彼女の脚は完璧だ。
 形も俺好みだし、長くて細い。
 そんな見惚れてしまうような脚を武器にしてくるなんて……!

「違うの? 感じてないんだ。自分の言葉を証明して見せてよ。リリス様のお気に入りなんでしょ? ユウマ」
「知るかそんなの! 俺は、別にそんな事頼んでねえ!!」
「へぇ、まだ心が折れてないんだ……ふん、一旦おしまい」

 シフォンはつまらなそうにつぶやくと、ペニスから足をおろした。
 息を切らせる俺を見つめながら、M字開脚しているような格好だ。

「どこ見てるのよ」
「はぁ、はぁ、はぁはぁ……え……?」

 不機嫌そうにしているシフォンの、太ももの付け根に注目してしまった。
 ほっそりとしつつも柔らかそうな美脚の奥に、ふんわりと俺を包んでくれそうな膣口が見え隠れしていた。

(やばい、あそこに入れたら……いや、入れてみたいけど今は自殺行為だ!)

 おそらくさっきの足コキよりも強い快感に耐えきる自信がまったくない。
 妄想を振り払うように首を左右に振る。

「エッチね」
「いや、今のは不可抗力だ!」
「ふん……じゃあ今度は優しくしてあげる。こういうのはどう……?」

すりゅ……♪

「えっ!」

 それはさっきとは全く違う動きだった。
 再び俺の股間に添えられた足の裏、その指先がくすぐるように肉棒をなぞる。

「う、ううぅぅ!」
「我慢しても無駄だよ。もうすっかりほぐれてるからね」

ツツツツツ……

「あああああああっ!」

 思わず声を上げてしまうほど、優しくて強烈な刺激。
 気持ちいい……ただひたすらに、それだけが伝わってくる。

 動き自体はさっきよりも穏やかなのに、シフォンの指先が的確に性感を高めてくる。
 俺を見つめる彼女の笑顔も、見惚れてしまうほど可愛い……。

「ああぁ、なんで! こんな、体が……ぁ!」
「ふふふ、おちんちんが逃げようとしてるみたいね」
「し、シフォンま、待って……これ、きもち、い、あああ! 優しいけど、怖い!」

 それでも必死に腰をひねると、彼女の脚がやんわりと俺の腰に絡みつく。

「に、逃げられないいいいぃぃ!」
「はい、追いつかれちゃった。また優しくされちゃうのよ」

くにゅ……すりすりすり……ツウウゥゥ♪

「ふあああぁぁ!」

 そしてまた与えられる穏やかな快感……終わりが見えないトンネルの中を歩かされているようで、俺はひたすら喘ぎ続けた。
 必死で逃げようとしても動きを読まれ、封じ込まれる。

「ほぉら、気持ちいい気持ちいい……」
「あああああああっ、あああああああああーーーーーーーーーっ!!」

 気づけば俺はシフォンの脚にすがりつくようにしながら、ただただ震えることしかできなくなっていた。

「きもちいい、きもちいいよおおぉぉぉ……!」
「クスッ、前に私のお腹で射精した時のこと、思い出してみて」
「や、やめ……ふぐううぅぅ!?」

 足の指で裏筋をこねられ、カリ首をめくられる。
 露出した敏感な部分を見逃さず、ヌルついた指がさらに俺を追い詰めようとしてくる。

「あれと同じように、我慢が出来なくしてあげるわ」
「おかしい、これ絶対、普段と違う……!」

 喘ぎながらも俺が口にした言葉に、シフォンがニヤリと笑う。

「正解。これが私、シフォン・スタークの特性のひとつ……極細素肌(シルキータッチ)」
「っ!?」
「私に密着して、素肌で擦られた相手は敏感になっちゃうの」
「あ……」

 シフォンの脚が閉じて、両足にペニスが挟み込まれる。

くにゅ、しこ……しこしこしこしこ♪

「ふああああああああーーーーーーーーーーーっ!!」
「手の指でも足の裏でも効果は一緒よ。決して逃さないわ」

 すべすべの足の裏に上下ピストンされる。
 それはまるでそれは手コキ……いや、それ以上に俺を狂わせる魔性の快楽だった。

しゅこしゅこしゅこしゅこ♪ クリクリクリ……

 足の動きが複雑になり、左右の足の裏が交互に上下にうごめいている。
 もみくちゃにされるような動きはすぐに新たな快感を生み出し、俺を惑わせる。

「あっ、ああああああああああ! なんだよこれ、シフォン! シフォンッ!!」
「くすくす♪ さあ、そろそろ次のステップへ進みましょうか」

 背筋を反らせヒクついている俺を見つめながら彼女は足の動きを止める。
 両足でペニスを固定すると、ペニスの先端めがけて何かが近づいてきた。
 それはシフォンの尻尾だった。

「ひ……!」

 先端の花弁がクパァ、と開くのを見て俺は戦慄した。
 慌てて手をのばすと、その指先が彼女の手に包み込まれた。

「こうして……両手も握っちゃえば、もう自分から腰を動かせない」

 股間は足の裏で、伸ばした手はシフォンの手のひらの中……動けない俺に向かって、ゆらゆらと尻尾が近づいてくる。

「や、やめて……!」
「駄目よ。ユウマ、たっぷり搾り取ってあげる。私の可愛い尻尾(ドレインテイル)でね」
「なっ、ドレイ…ンって…!」

 言葉の意味を理解したくなかった。
 それなのに感覚的にわかってしまう。あの尻尾に絡みつかれたらどうなるのか。
 どれだけ気持ちいいのか、想像もつかない。

 それでも確実に、シフォンの尻尾が亀頭に近づいてくる。

「ふふふ……先っぽでキスした瞬間、射精しちゃダメだよ?」

 トロリとした粘液が尻尾の先からこぼれ落ちた。
 まるで食虫植物のような器官が、口を下にしてペニスの真上に到達した。

ペチュッ……チュ、ル……ペトリ……

 開いた花びらが一枚ずつ、ペニスを舐めるように押し当てられてゆく。
 粘液は生暖かく、ヌルリとした感触は予想していたよりも気持ち悪くない。
 むしろ――、

クプッ、チュプ♪ ジュルルルルル……

「あ、なにこれ、柔らかすぎ……ひっ、ひいいい、吸い付いて!!」
「ほら、ゆっくりゆっくり……ズプズプズプ~~♪」

 開いた花びらが一枚ずつ閉じていく。
 亀頭を包むように花びらが絡みつき、わずかに咀嚼するようにモグモグと動き出す!

「ふああああっ、待って待って待って!!」
「駄目よ。よく見なさい。足の裏でシコシコされながら、先っぽが飲み込まれちゃうのってエッチじゃない?」

 シフォンの声は楽しそうだった。
 それ以上に俺は股間がじわじわと蕩けていく感覚に溺れてしまいそうだった。

グジュ、ジュル、クプ……♪

「あ、ああああぁぁぁ! しゃぶられて、なかで、ぐにゅ、ぎゅううって!!」
「しっかり見てなさい。ユウマのおちんちんは、もう私の虜よ」

 シフォンの言葉が心に染みる。それと同時に体も溶かされていくようだった。

「ああぁ、その言葉、逆らえない……まるで魂がシフォンに掴まれてるみたいで……あっ……」
「思い出した? 私の得意技『淫らに踊る魂の共鳴(ソウル・シェイカー)』を」

 初めて会った時に受けた技だった。
 あの時は心臓あたりを直接いじられていたけど、今は違う。

「今はこの尻尾の中で、おちんちんの芯を掴んでるの……つまり、あなたの心を弄んでいるんだよ」
「うう、あ、くそ、あっ、ああああああああっ……!」

 もがいてみても無駄だった。
 あまりの心地よさに脱力している上に、シフォンの体にあっさりと抑え込まれてしまう。

 彼女は体を起こし四つん這いになった。
 もはや俺が動けないことを知った上での行動だろう。
 両手を俺の顔の脇について、鼻先でささやきかけてくる。

「わかったでしょう。肌を合わせた状態で、しっかり束縛して、言葉責めすれば……誰でも私の言いなりよ」
「く、そっ……でも、俺は負けない!」
「そうね。あなたは特別な抵抗力を付与されている。これを見て」

 シフォンがそっと俺の頬に触れると、彼女の手のひらが淡く輝いた。

「なんだこの光は?」

 これがリリスの加護だという。
 エスノートの所持者は自動的にサキュバスに対して最低限の抵抗力がつくらしい。

「でもそのおかげで、ユウマは正気を保ったまま快感を受け入れなければならない」
「!!」

じゅるぅ♪

「うあああああっあああああああ!!」
「エスノートの力と自分の体質に感謝しながらイきなさい」

 シフォンは俺の耳たぶを舐めたり、手のひらに粘液をにじませながら全身を愛撫し始める。
 その間もずっとペニスは彼女のドレインテイルによって弄ばれたままだ。

グプ、ジュププ……♪

 ゆっくりと上下に揺れる尻尾の中に、ペニスが完全に包まれてしまった。
 まるでシフォンに全身を抱きしめられているような、安心感と絶望感が入り混じった状況。

「そうだ、尻尾の中の媚薬濃度も調節してあげる」
「媚薬!? 待て、もう何もいらない! やめ、あ、あっ! うあっ、ああああぁぁ!」

 拒絶するように伸ばした指先は、またしてもシフォンの手のひらで遮られる。
 その指を恋人握りのようにしながら彼女が笑う。

「もちろん濃い目にしてあげたわ。クスッ、あはははははは!!」
「あ、あああぁぁ……ッ……」

 シフォンがゆっくりと上体を俺に預けてくる。
 弾力性のあるバストが形を変え、お腹もピッタリとくっつけられた。
 俺はと言えば、体の内側から敏感にされてしまったのだから、もう本当に動くことが出来ない。

「全身で吸い付いてあげる……大好きよ、ユウマ」
「しっ、シフォン……!?」

 ズリュッ……!

 尻尾が一番上まで伸び上がり、再び奥深くまでペニスを咥えこんだ。

「だから……」
「うあっ!!」
「おねがい……」

 ゆったりとしたストロークでその動きが繰り返され、俺の体に強めの快楽が与えられる。
 情けなく緩んだ顔をしっかりと見つめながら、シフォンは手のひらで俺の頭をなでている。

「み、見るな……ぁ! やめてくれ……」
「やめないよ。ほぉら……もっと辱めてあげる」
「やめ、は、はずかしい、恥ずかしいんだ……志穂、シフォン……ああぁぁ……」
「本当ね。さあ、このまま恥ずかしく、イっちゃえ♪」

 シフォンの尻尾がギュッとすぼまりながら、左右にねじれて上下する!

グチュグチュ、ズチュッ、ズチュウウウウウウウウウウウ!!

「あがあああああああああっ! イ、イイ、イ、イくうううううううううううう~~~~!!」

ビュクウウウッ、ビュル、ビュルルルッ!!

 溢れ出す精液が全て吸収されていく。
 サキュバスの尻尾の中で、一滴残らず快楽に屈した証が飲み干され……俺はその甘い刺激を全身に浴びながら気を失った。

 ヒクヒクと震え続ける俺に、シフォンが顔を寄せる。

「可愛い寝顔……いや、気絶顔だね」
「ぎ……ッ」

 正確に言うならばまだ俺に意識はあるのだが、口も動かせないほど疲弊していた。
 彼女からしてみれば同じことなのだろう。

「好きにしていいと言われたからそうしたけど、志穂は今どんな気持ちなのかしら」

 ゆっくりと近づいてきたシフォンの整った顔に見とれていると、さらに彼女の顔が近づいて――、

チュ……♪

「んっ……」

 わずかに触れる程度の口づけだったが、俺にとってはたまらなく刺激的な体験だった。
 それはシフォンの、志穂の気持ちが流し込まれたみたいで……。

「普通のキスのはずなのに……不思議と心が暖かくなる。もう一度、してみましょうか」

 シフォンはその言葉通りもう一度俺に口づけをした。
 そして暫く口元に手を当て、考え事をしているようだった。

(ああぁ、シフォン……きれい、だ……な……)

 美しく整った横顔を見ながら、俺は今度こそ気絶してしまうのだった。




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