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  第三章 第六話
  
  
  
   俺はリリスが用意してくれた左側のゲートを選んだ。
   行き先はリンネの部屋だ。
  
   ゲートをくぐった瞬間、嬉しそうな声が耳に届いた。
  
  「おにいちゃん!!」
  「うっ、おわああああああっ!?」
  
   そして目の前が真っ暗になると同時に、柔らかいものを押し付けられた。
   これは何度も自宅で経験している「結菜ボディアタック」と同じ質のものだ。
   俺は落ち着いた動作で暗闇の先にある細い腰と背中に腕を回し、その場で半回転してから背中を反らせる。
  
  「ふんっ!」
  「え、わわっ、待って! 何するのよユウマ~~~!!」
  
   ある程度の勢いがついたところで手を離す。
   投げっぱなしのフロントスープレックスだ。
   普段ならベッドの上にこの返し技が決まるはずなのだが、今日の相手はそのまま宙にふわりと浮いてみせた。
   さすがは淫魔。
  
  「リンネ、俺の妹の情報に影響されすぎだ。今の技は見切っている」
  「ぶーーーーーーー! けちいいいいいいい!!」
  
   空中で地団駄を踏むリンネの頭をポンポン撫でる。
   予想通り満面の笑顔に……はならなかった。
   この辺りは妹の結菜と性格が違うということか。扱いには気をつけねば。
  
   ルルカの居室へ戻る前に、シフォンとリンネの二人には聞いておきたいことがいくつかあった。
   主に悲しみについて興味があるのかどうか、女王になったらどうありたいのか。
  
   俺が真顔で問いかけると、キョトンとした表情で彼女は話を聞いてくれた。
  「それであたしのところへ来たんだね、おにいちゃん」
  「うっ、その呼び方は……」
  「クスクスッ♪ 興奮しちゃうんだ? シスコン」
  
  ふよんっ
  
   彼女が笑って体を揺らすたびに、当然のようにバストも揺れる。
   そして俺の視線も当然そこへ向かう。
  
  「えっちぃ~~~~♪」
  「試したな、お前」
  「どうだろうね? うふふふふふ」
  
   一度体を重ねたこともあって、リンネは俺に親しげな眼差しを向けてくる。
   ただ、会話の節々でこちらの顔色に合わせて言葉を選んでいるという印象だ。
  
   こうして少し接しただけでも結菜より頭が切れる気がする。
   リンネ・ナハトは無邪気な皮を被っているけれど、相当手強い。
  
  「お前が相手ならシスコンの汚名は着せられないはずだ!」
  「相当言われたくなかったんだね、ユウマ。そんな顔してるっぽい」
  「ううぅ……! なんだか俺、どんどんリンネの言葉責めに弱くされてないか?」
  「そんなことないよぉ~! あたしはちゃんと最初の約束は守るヨ?」
   ふわふわと漂っていた彼女がストンと床に足をつける。
   同時に俺に寄り添って、柔らかすぎるバストを惜しげなく擦りつけてきた。
  
  「妹ちゃんとは違うから安心だし、それにおっぱい好きでしょ?」
  「そりゃそうだけど、でも……うあああ、くそっ! こんな……」
  「おっぱい柔らかすぎると何も考えられなくなっちゃうよね~? うふふふふ」
  
   可愛らしい笑顔を振りまきながらリンネが体をくねらせる。
   そうすることで巨乳もふよふよと動き、俺の視線もコントロールされてしまう。
  
   見た目は妹の結菜と殆ど変わらないはずなのに、何故か自然と魅了されてしまうのは俺が無防備になっているからなのだろう。
   結菜相手ならリラックスできるのは確かで、リンネは髪と肌の色が少し違うだけで……いつの間にか俺はベッドの上に座らされていたことに気づく。
   さらに彼女は俺に正面から跨ってきた。
  
  ぎゅっ……♪
  
   両手を俺の首に回し、リンネが抱きついてきた。
   まるでお互いのへそがつくように、背筋を軽く反らせながら。
  
  ぷにゅうううっ……
  
   ふたつの大きな山が、俺と彼女の細い体の間で潰れる。
   接している部分が快感で溶けるようで、俺の口から思わずため息が漏れる。
  
  「ねえユウマ、妹ちゃんはね……ずっと我慢してきたんだよ。だから遠慮がちになっちゃって」
  「ゆっ、リンネ……いきなり何を!? あああああぁぁ!」
  
  はむっ、はむはむ……ペロリ♪
  
   リンネは戸惑う俺の耳たぶを軽く噛み、舌を伸ばして噛み跡を舐めてきた。
   震える俺を抱きしめながらその行為を繰り返す。
   すっかり俺が脱力した頃、耳の穴に直接話しかけるように、妖しい声色でささやきかけてきた。
  
  「おっぱいでおにいちゃんを誘惑したり、おちんちんを挟んであげるときも、目一杯手加減してたみたいだよ」
  「な、なんだって……あいつに限ってそんな気配りをできるはずがない!」
  「そういうこと言っちゃうんだ。じゃあ、こうしたら?」
  
   不意にリンネの体が、腰を中心にしてクネクネと円を描き始める。
   くっついた胸が小刻みに揺れる、股間に触れている部分……胸に負けず劣らず柔らかなお尻が俺を責める。
   そして少し乱れた吐息が直接耳に流し込まれ、思考を妨げてくる。
   それらひとつひとつが凶悪な愛撫だった。
  
  「んあああああああああっ! 結菜……ちが、リンネッ、待って待って待ってええええ!」
  「ほらね、すぐイっちゃいそうになるでしょ」
  
   俺が懇願すると、リンネは体を震わせるのを止めた。
   すっかり呼吸を乱された俺を見つめながら彼女が言う。
  
  「まだ意識があるうちに、さっきの質問に答えちゃうね」
  「はぁ、はぁ、はぁ……さっきの、って……」
  「あたしは女王様だけが持ってる感情については、あってもなくても良いかな~って考えてるの」
  
   左手の人差し指を唇に押し当てながらリンネは続ける。
  
  「だって、今までなくても普通に暮らせてきたわけだし?」
  「そりゃたしかにそうだろうけどさ……わわああああああっ!?」
  
  ぽろん♪
  
   突然リンネは着ていたものを脱いで、自慢のバストを俺の目の前に突きつけた。
   ピンク色が特に綺麗だ……肌の色のせいもあって、蕾の部分だけピンク色で乳輪がとても小さく見える。
   こんな乳首、見惚れないはずがない。
   いや、違う! 真顔で話していたと思ったら、急にこうなるのか。とんでもないやつめ!
  
   慌ててリンネをにらみつけると、小さく舌を出しておどけてみせる。
  
  「こうやって、男の子をおっぱいで魅了するだけでも結構楽しいし……」
  「男の子、だと……」
  「ふふ~ん、妹ちゃんに見下されてるみたいでカチンときちゃった?」
  
   図星だった。別人とわかっていても、結菜に言われているようで心が穏やかじゃない。
   それを見越しての言葉選びなのだろう。
  
   俺が黙り込むのを見て、リンネはさらに俺に体を密着させる。
   手を握り、両手の指を絡める。
   正面から力比べをしているような姿勢だが、不思議と力が入らない。
  
  「ユウマは男の子なんだよ。あたしの体で弄ばれて、簡単にヒイヒイ言わされちゃう可愛い男の子なの」
  「ううううっ、くそ……!」
  「まずはその辺りから教えてあげないといけないよネ? じゃあ復習~」
  
   組み合わさっていた手のひらを離して、リンネは微笑みながら俺の腕や首筋に手を這わせ始める。
  
  「私の得意技『残酷な看守の調教(プリズナー・ラブ・ドレイン)』覚えてるでしょ……あれを少し変形して、ユウマの自由を奪ってあげる」
  
   背中や脇腹、肩や太ももまで万遍なく撫でられているうちに、俺は自分の体に起きた異変に気づいた。
  
  「なんだ、これ……?」
  「いくよぉ~、縛技『残酷な看守の枷(プリズナー・ラブ・バインド)』」
  「あああああああああああっ!」
  
   リンネの言葉が終わると同時に、パリッと小さな雷が弾けた。
   すべての音が消えて俺の体が静寂に包まれる。
  
   先程の入室時に目を塞がれたのとは逆で、今度は暗闇ではなく光に包まれた。
   真っ白な視界の中で彼女の声が頭に響く。
  「クスッ、不思議だよね~? 全然動けなくなっちゃった……ううん、違うよね?」
  「ううううぅぅぅっ、何をしたんだリンネ……!」
  「手足を動かしてるはずなのに動かない。意識と体が切り離されちゃうカンジ?」
  
   まさにそのとおりだった。いくら前に進もうとしても進まない感覚。
   動いている自覚はあるのに景色が変わらないような、正体不明の不安に襲われる。
  
  「ヒントあげる。おにいちゃんは、体を小さくされて私のおっぱいの中に閉じ込められちゃったんだよ」
  「なっ!!」
  「動けないのは、体の外側に見えないシールドを張っちゃったからだよ」
  
   驚く俺の隣に、光の中からリンネが現れた。
  
  「シールドの中に直接触れられるのはあたしだけ。そして今から小さくなった私、分身のリンネにた~~~ぷり可愛がられちゃうの♪」
  「触り放題ってことか」
  「そういうことになるね?」
  「話が違うッ! このまま一方的に犯されるだけじゃないか……女の子に耐性がつくなんて思えないぞ!!」
  「んぅ~、でもでも! この責めが終わる頃には、おっぱい耐性が付いてるんじゃないかな? それじゃ駄目?」
  
   そう言われると何も言い返せない。
   たしかに、激しくサキュバスに責められれば、それだけで我慢強くなるかもしれない。
  
   しかし目の前のリンネが分身と言われても理解できず、俺の体を小さくされたというのも実感がない。
   ただ俺は動きを封じられ、彼女は自由に動けるということはわかる。それはあまりにも不公平な現実だった。
  「じゃあゆっくり慣らしていこうね~」
  「こ、こら……何をする!」
  「選ばせてあげる。おにいちゃんはぁ、最初から寄せられてるおっぱいに挿入するのと、挟まれてからギュってされるの、どっちが好き?」
  「えっ」
  
   予想外の問いかけに答えが出てこない。
   リンネは俺に見えやすい位置でバストを寄せてみせた。谷間が深すぎる!
  
  「ど、どっちもヤバい……」
  「どっちも好き? あはっ、エッチ~♪」
  「そういう意味じゃないって!!」
  
   リンネは自分の指を軽く舐めて、胸の谷間にゆっくりと突き刺す。
   トロリとした唾液が胸の谷間に跡を残す。
  
  「うふん、両方試してみようよ。ねっ? まずはこっち……最初から狭くなってるところに差し込んじゃうの」
  
   彼女がパチンと指を鳴らすと、俺の下半身が丸裸になった。
   すでに股間はギンギンに膨らみきっていて臨戦態勢だ。
   あれだけ淫らな振る舞いをされたら誰だってこうなるだろう。
  
   その固くなった先端を、リンネは谷間へ迎え入れた。
  
  ずにゅっ!
  
  「あああああぁぁぁ~~~~~~~~~!!」
  「どうかなぁ?」
  「うっ、あ、あれ……何だこれ、柔らかい……思ったほどきつくないっていうか」
  
   窮屈な刺激を受けると思っていただけに、この優しさは肩透かしだった。
   でもそれは一瞬で終わることになる。
  
  「ふふふふ、じゃあ~~~……きゅんっ♪」
  
  ぎちゅうううっ!!
  
  「んっ、うわああああああああああ!!」
  
   リンネが両脇を締めると、乳肉がグリュグリュとペニスを圧迫し始めた。
   あえて手のひらで両サイドを押さえつけていないせいで、その光景はとても淫らに見える。
  
  「どんどんいくよ? きゅっきゅっきゅううううう~~♪」
  
   リズミカルに脇を締めるリンネと、それに合わせて踊るバストの動きは妖艶すぎた。
   左右に関係なく、柔らかそうに乳肉が揺らめく度に全身が甘く痺れる。
   まるでリンネの胸で体中を愛撫されているような、逃げ場のない快楽だった。
   すると頭の中に、直接リンネの声が響いてきた……。
  
  「ユウマは今、全身がおちんちんなんだよ……」
  「くっ、は、あああ、なんで、そんな!」
  「想像して? 体を小さくされて、あたしのおっぱいの中に閉じ込められたままクニュクニュされてるところ」
  「っ!!」
  
   蕩けた瞳でリンネは言う。
   たしかにそんな感覚だった。
   実際に体が小さくなっているかはわからなくても、完全にリンネに支配されていることはわかる。
   更に粘液が溢れ出したおかげでクチュクチュという音まで加わり、視覚と聴覚が完全に麻痺した。
  
   バストは揺らめきながらねっとりと肉棒を貪り、確実に快感を蓄積させてゆく。
  
  (こ、こんなパイズリ……結菜の胸より、断然刺激が強すぎるうううぅぅ!!)
  
   俺は必死で抗うが、身悶えして伸ばした指先さえも、妹そっくりのサキュバスに掴まれてしまう。
   それは当たり前のことである。リンネは快楽を紡ぐ専門家なのだ。
  
   胸の柔らかさもルルカに勝るとも劣らず絶品で、大きさは確実に彼女のほうが上だろう。
   しかも目にうつるのは、こちらの様子を窺いながらの優しいパイズリだった。
   かなり手を抜かれているのだろうが、その屈辱すらも快感を上乗せする役目になっていた。
  
  「う、ぎい、あ、あっ! あああああああ、出ちゃうううううぅぅぅ!!」
  「いいよ、出して♪」
  
  ビュルルッ、ビュッ、ビュウウウウウ!!
  
   白くて熱いものがリンネに吸い取られていく。
   柔らかすぎる胸の中でビクビクと何度も跳ねて、汁を吐き出す。
  
  「イっちゃったぁ。おにいちゃんを降参させるのは簡単だね?」
  「ぐ、あ、あぁ……」
  
   身動きも許されず、リンネに見つめられながら俺は爆ぜた。
   しかし彼女は休ませてくれそうになかった。
  「じゃあ今度はこっち~」
  「え、ええええっ!?」
  
  ふるんっ♪
  
   両脇を締めずに突き出されたバストが俺の目の前に現れた。
   それはゆっくりと、深い谷間を広げて左右から俺を包み込もうとしている。
   いつの間にか付着した精液はきれいに消えていた。
  
  ふにゅんっ、ふにゅ!
  
  「あ、あああああああーーーーーーーーーーーーっ!!」
  「ほらぁ、やわらかいよぉ~~~♪ ふわふわふわぁ~」
  
   何の力も加わっていないバストによる挟み込みは、感じやすくなったペニスの芯をも容易に溶かしてしまう。
   もしも両手で挟み込まれたり、フェラでもされようものならくすぐったさで快感が相殺されてしまうだろう。
  
   しかしリンネの技は違う。純粋に快感だけを上乗せしてきた。
   少し前かがみになることで、胸のラインを美しく保ったまま、無理なくペニスを包み込む。
   でもそれだけではなかった。
  
  「こんなっ、同じおっぱいなのになんで弾力が違……」
  「女の子なら誰だってそんなの調整できるもん」
  「嘘だろ!?」
  
   さっきよりも柔らかく感じたのは包み込まれるときだけで、今はずっしりとした圧迫感を伴っている。
   こんなの普通の人間にはできるわけがない。
  
  「嘘じゃないって~! 少なくとも結菜はできるみたいよ?」
  
   リンネが少しふくれっ面になる。
   どうやら本当のことを言っているようだが、結菜のやつ……本当にこんな芸当ができるのなら、もはや人間じゃない。
  
  「あっ、もしかしてもしかして! 今度お願いしてみようかなって考えちゃった?」
  「やめろ。その顔で、その声で俺の心を読むな」
  「ごめんごめん。じゃあ続けるね♪」
  「待て、決してお願いしようとしたわけじゃ……あ、あああああぁぁぁ!」
  
  ぐちゅり♪
  
  「それヤバい、さっきよりヤバいいいいいぃぃぃ!」
  
   包まれたペニスが快感で悶えるよりも先に、俺は大声を上げてしまった。
   両手を脇腹付近においたまま、リンネは軽く上半身を揺らしている。
   ただそれだけなのに、触れてるだけでチンコが焼けそうなほど熱くて気持ちいい!!
  
  「うっふん♪」
  「ぐにゅぐにゅって、動かしたら駄目だ! リンネ、待って、リンネエエエエ!!」
  
   もちろん彼女は待ってくれない。
   じわじわと俺を追い詰め、絶頂付近の高みで焦らす。焦らしまくる。
  
   前後の動きだけでなく、時々上下に体を揺らされる。
   それがまた、たまらなく心地よかった。
   まるで膣内に挿入しているような錯覚をもたらす刺激。
  
  ちゅる、ちゅるちゅる、ちゅぷうううっ!
  
  「あはあああああああああっ!!!!!!!」
  
  ビクッ、ビクンッ!!
  
   不規則に吸い付いてくる弾力性のあるバストに、ペニスが二度目の敗北宣言をした。
   しかもさっきよりも早い。興奮の度合いがぜんぜん違う!
  
  「はいおしまい~。どっちも良かったでしょ」
  「この柔らかさ、全然我慢出来ないよぉ……おかしくなるぅ……」
  「すっかり可愛い顔になったね♪ じゃあ最後にとっておきのやる~」
  
   リンネは両手を背中に回してゆっくりとM字開脚をした。
   乳首と同じピンク色をした秘肉が足の付根に見え隠れしている。
   その体勢のまま、ふわりと体を浮かせて秘所を俺の目の前に晒す。
  
  「浮いて、る……?」
  「そう、これが今日の最後の技『親愛なる奴隷クンへの歌(ナハト・ムジーク)』……んっ、あん、はあぁん♪」
  
   リンネは、その秘肉を指先でそっといじり始めた。
   すぐにトロトロした粘液が溢れ出す。
   クリトリスをいじる指先は、手慣れた様子でもあり、どこかぎこちなくも見える。
   男の劣情を誘う表情と声、それにたどたどしい手付きがマッチしていた。
  「ねえ、お願い……このおちんちん、おまんこに入れよう? おにいちゃん」
  
   熱に浮かされたようにリンネは言う。
   俺は無意識に頷いてしまう。
  
   彼女は宙に浮いたまま、膣口をペニスの真上にあてがう。
   そっと握られた肉棒の先から嬉しそうに粘液が滲んだ。
  
  「よく見てて~。リンネの、エッチなお口が……」
  
  くにゅ……
  
  「あっ、ああっ!」
  「おちんちんにチュッ♪」
  
  くちゅ……ちゅうう……
  
   この上なく柔らかいと感じた彼女のバストよりも、膣口は柔らかくて暖かかった。
   本当にキスをされているように感じた俺は喘ぐ。
  
   ペニスの先端という男にとって抗えない場所へのキスは、一瞬で俺の心を甘く染め上げた。
   溶け始めたアイスをこぼさないように舐めるのと同じように、その動きは快感を丁寧にしゃぶり尽くす。
  
  「んふ、狂っちゃお?」
  「ああっ、あ、ひいいいいいいいいいいいいいいっ!!」
  「チュッチュッチュッチュ♪ うふふふ、ヌルヌルしててエッチな味だね~」
  
   リンネはその淫らな愛撫を繰り返す。
   先端だけ何度もキスをして、粘液があふれるたびに小さく円を描く。
   塗り拡げられた場所はさらに熱を帯びて、リンネと自分との境界線が曖昧になっていく。
  
  「気持ちいいでしょ。何も言わなくてもわかるよ。サキュバスだもん。美味しくなってきたから、そろそろもらっちゃうね」
  「えっ、駄目えええええ! 入れたらヤバイ、まじでこれ――、」
  「却下でーす。それ、パックン♪」
  
  ずちゅううううううううううううううっ!!
  
  「あああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーっ!!!」
  
   俺はこの部屋に来てから一番の悲鳴をあげさせられてしまった。
   包まれる、リンネ・ナハトの魔性の肉壷に……本当にこれじゃ、彼女の奴隷にされちゃう!!
  
  「先っちょだけモグモグしてあげる。これやるとすぐにビンビンのカチカチになっちゃうよ~?」
  「あ、ああ、ああっ!!」
  「少しだけ上下にも動いて……ほら、気持ちいいね? でもイけないね~、うふふふ♪」
  
   相変わらず俺は動けない。
   自分では動いているつもりでも、実際は神経が切り離されてるみたいで手足の反応がない。
   それなのに快楽だけはいつも以上に深く感じる!
  
  「このまま一番奥まで入れたら、すごく気持ちよくなれると思わない?」
  「やめ、やめて……リンネ、もういいからああああ!」
  「ダ~メ。入れちゃうもん。えいっ♪」
  
  ぐちゅううううううううう!
  
  「うああああああああああああああああああっ!!」
  
   鈍い俺でもわかる、ペニスが彼女の子宮口に……咥えこまれた。
   まるでもうひとりのリンネが居るみたいに、膣奥で俺のペニスの先端を優しく抱きしめてる。
   小さな手で撫でられてるううううぅぅぅ!!
  
  「あれ? 我慢できたんだ。すごいね!」
  「ん、ぐぅ、ああぁ……!」
  「あ、そっか。妹ちゃんパワーを解放してなかったから我慢できたのかなぁ?」
  
   俺を即イキさせられなかったのが不満だったらしく、リンネは少し不満顔だ。
   だが思い出して欲しい。ここに至るまで、俺がどれだけの量の精液を放出したのかを。
   単純に生産が間に合わないだけなのにリンネは無理やり俺を射精させようとしているのだ。
  
   そして彼女が取った手段は……、
  
  「おにいちゃぁん……」
  
  ぎゅううっ♪
  
  「なっ、な、な!?
  「好きぃ、好き好き♪ 結菜のおまんこにドピュってしちゃお? ここなら大丈夫だからぁ」
  
   奥深くまで挿入したままで、全身を俺に預けてきた。
   しかも結菜の声と喋り方そのままで、思い切り甘えてくる。
   別人だとわかっているのに、俺の心が背徳感で塗りつぶされた。
  
  「だいじょうぶ、って……?」
  「そうだよ。いっぱい溜め込んだ精液は、一滴残らずリンネが吸い尽くしてくれるから、安心して全部出しちゃって♪」
  「っ!!」
  
   そういう意味だったのか。
   リンネは俺の自制心を、根こそぎ溶かすためにこんな真似を……くそっ、舐めるな!
  
   俺は確かに結菜のことを嫌いじゃないけど、肉欲に溺れるようなことは、
  
  ぷにゅんっ♪
  
  「う」
  「おっぱい、感じてネ?」
  
   肉欲に、妹に溺れるようなことなんて、
  
  ぐちゅぐちゅぐちゅんっ!
  
  「うあぁ!」
  「おまんこ、あったかいね? おちんちんも喜んでるよ、おにいちゃん」
  
   胸と、アソコで責められたくらいで俺が妹に負けるわけが、
  
  「こっちむいて」
  「えっ」
  
  んちゅっ、ちゅううう♪
  
   唇、奪われた……それに指先まで、握られてる。
  
  「おにいちゃぁん……」
  「ゆ、結菜!」
  
  クイクイクイッ!
  
  「もう出して、お願い♪」
  「あ、まずい、これ、出――」
  「クスッ♪」
  
  ちゅうううっ♪
  
  ビュクビュクビュクビュクウウウウウウウウ~~~~~~~~~~~!!
  
   唇を吸われ、同時に膣奥もキュンキュン締め付けられ、俺はとうとうリンネに屈した。
   彼女に自制心を蕩けさせられてしまった。
  
  (今の、リンネの、本気キスだ……それだけはわかった。妹の結菜じゃなくて、サキュバスの本気のキス。こんなの、耐えられるわけがないッ!)
  
  
  ちゅ、ぽっ……
  
   数分後、ようやく唇が解放された。
   精液だけじゃなく、口からもなにかたっぷりと抜き取られ、代わりに彼女への恋心を植え付けられた。
  
   セックスにおいて、もうリンネに逆らえない……そう思うに充分な快感だった。
  
   それでも俺は密かに再戦を願う。
   妹みたいな容姿のサキュバスに負けっぱなしなんてゴメンだ。
  「あはははははっ、ほんのちょこっとだけ心に甘い言葉を差し込んであげたら、すぐにイっちゃったね! ごちそうさま。妹ちゃん思いの精液、とっても美味しかったよ~」
  「く、そ……ぉ……!」
  「ユウマ、悔しかったらまたここへ来てよね……鍛えてあげる」
  「それは嬉しいけど、理由は? 俺を鍛えたらリンネにメリットは有るのか」
  
   俺の問いかけに、リンネは一瞬だけ困ったような顔をした。
  
  「理由ならちゃんとあるよ。だってぇ、ルルカだけに独占させるのは少し悔しいし、ぜ~んぜん我慢できないこんな激弱おちんちんをルルカの中にいれたら絶対即死だよ。このおちんちんはあたしが鍛えてあげたいから!」
  「ルルカの膣内ってそんなに具合がいいのか……?」
  
   その問いかけには、リンネは答えなかった。
   代わりに、とびきり色っぽい表情で俺を見つめ返してくれた。
  
  
 
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