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第三章 第二話 ~ルートS~
二人で学園に向かう。
「志穂、お前はなんともないのかよ」
「何が?」
志穂は至って普段どおりに見える。
「朝から、俺とこんなにくっついて……」
「確かに周りの目は少しだけ気になるわ」
「少し!?」
ジロジロ見られてる。
腕を組んでるから当たり前だ。
「幼馴染だからいいじゃない別に」
「よくねえだろ!?」
俺たちが歩いていく先にいる生徒たちが道を開けてくれる。
学園で最優秀の志穂のせいだと思っておきたい。
「変なところに気を回すのね」
「……お前、わかっててからかってるだろ?」
「バレた」
小さく舌を出しやがった。許せん。
「でもね、こうやって牽制しておかないと」
少し歩いた先でじっとこちらを見つめている女子生徒がいる。
見覚えのあるシルエットだ。
そしていつも俺が気にしている視線だ……やばい。
「か、香織さん!?」
「あっ! 見つかっちゃった……」
香織さんが目を丸くしてこちらを見ていた。
「ごめんね、奏瀬くん……あと仲川さんもおはよう」
香織さんは足早にその場を立ち去っていった。
「あ、ああああぁ、絶対誤解されたぞあれ!!」
「誤解させちゃった。てへっ」
「棒読みやめろ!」
志穂を睨むが、簡単に視線を外された。
「こっちも的確に意思表示しておかないとまずい相手だからね」
「え」
「今まではノーマークだったけど、まさかあんな最上級クラスの子がアンタなんかになびくと思ってなかったわ」
ふむふむと頷きながら志穂がそんな事を言う。
心なしか頬に赤みがさしているようだ。
「志穂」
「何よ」
「ヤキモチか?」
「は?」
「聞いてんだろ、今のはヤキモチなのかって!」
返事をする代わりに志穂は俺に向かってこの上なく憐れみを浮かべた顔をしながら、大きくため息を吐いた。
「悠真、アンタって女性恐怖症以前に超級馬鹿なんじゃないの?
ううん、超級どころかもっと上の、手の施しようがないほどの……」
志穂はスタスタと一人で歩いていった。
(2019.09.08 更新部分)
(2020.05.23 追記)
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