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第四章 第三話





 ――翌日。

「それで、結菜ちゃんと関係しちゃったの?」
「は、はい……」
「ふぅん」
「やっぱり怒ってます?」
「まあ、それについてとやかくいうつもりはないケド」

 俺の目の前にいるのは呆れ顔をした香織さんだ。
 そしてここは俺の部屋だ。
 学園の帰り道、香織さんを呼び止めて一緒に歩いて帰ってきたのだが、話を伝えきれずに今に至る。

 しかし、我ながら愚かだ。
 今更だけど話す順序を間違えた気がする。

(バカ正直に志穂と結菜のことまで話す必要はなかったんじゃないか?)

 他人との情事を聞かされて気分が良くなる人なんているはずがないのだ。
 この辺りは本当に自分の経験不足を呪うしかない。

「あの、香織さん」
「なぁに?」

 困ったような顔をして目を細める香織さんは、いつになく不機嫌に見える。

「怒ってます、よね……」
「どうして?」
「だってさっきから目が――、」

 全く笑ってないと言う前に、香織さんが距離を詰めてきた!
 がしっと俺の両肩を掴みながら、ぎこちなく笑ってる。
 はっきり言って、怖い……。

「奏瀬くん、自分に負い目があるからって私を疑うのは良くないと思うんだけど?」
「ヒッ!」

 ひんやりとした手のひらが俺の頬を撫でる。
 目が笑ってないのに口元が笑ってる表情。
 妙にすごみがある香織さんを俺は見たことがない。

「たしかにルルカはね、けっこう怒ってるかも」
「じゃ、じゃあ香織さんは……」
「私? なぜ?」

 香織さんの表情がさらに冷ややかなものに変わる。
 恋愛経験の少ない俺でもわかる。この状況は……

(や、やべぇ……このあとどうすればいいんだ俺!)

 自分から地雷を踏みにいってしまったと気づいたときには遅かった。
 香織さんはすばやく俺の手首をつかみ、背中の後ろへと回す。

「あ、あの!?」
「正直に言うとね奏瀬くん、私だってもちろん怒ってるよ! どうして最初に私のところへ来てくれなかったの?」

 それについては弁解のしようがない。
 あちらの世界でゲートを潜る前に自分で念じれば違う結果になっていたのだろうけど、リリスに送り出される形だったので行き先を制御できなかったのだ。

「ごめんなさい……」
「もういいよ、謝らなくても。そのかわり好きにさせてもらうから」

しゅるるる……

「ちょっ、香織さん!?」
「結菜ちゃんもそうだけど、仲川さんだってズルいよ……」

 なにかブツブツいいながら、彼女が制服を脱ぎ始めた。
 形の良い胸がブラウスの下で揺れるのを、俺は息を呑んで見つめる。

「ず、ズルいって聞こえたけど……どういう意味?」
「あ……! 今のはルルカの言葉だよ! わ、私の気持ちじゃないからね?」

 不意に彼女の顔が赤く染まる。
 怒りながら照れてるなんて器用すぎる。

 そしてスカートのファスナーを緩めてから、香織さんが正面から俺に覆いかぶさってきた。
 柔らかな素肌に抑え込まれただけで、頭の中がぼんやりしてきた。

「ルルカは奏瀬くんのこと、好きみたい」
「え……」
「それだけよ。ちゃんと伝えたからね?」

ふうぅぅぅ……

「うああああああ!」

 柔らかな重みを感じながら、少しすねた香織さんの声を耳に吹き込まれる。
 脳みその手前まで一気に侵入され、自分が彼女の色に染められたように感じた。
 それだけで全身の力が抜けてしまい、俺はゆっくりと彼女に押し倒されてしまった。

「なに、を……」
「ルルカの力を借りて、奏瀬くんにいたずらしちゃうの♪」

キュイイイィィィン……!

「うああっ!?」

 いつの間にか真っ赤に染まった香織さんの瞳に、魂が吸い寄せられた気がした。
 頭の中が彼女で一杯になって、魅了されてしまったように……

 天井を見上げる俺の視界を塞ぐのは、どこか小悪魔的な表情の香織……いや、これはルルカ!?
 俺としばらく見つめ合ってから、ふいに彼女が膝立ちになり右手の指で秘所をクパッと開いてみせた。

「私の大切なところ、見せてあげる……」

 その途端、なんとも言えない芳香が周囲に漂ってきた。
 俺の頭の中に桃色の靄が急激に広がってくるようだった。

「あ、ああああぁぁぁ……!」
「見覚え、あるよね? いまはここだけルルカの体なの。だから」

 ピンク色で、ねっとりと甘い蜜が滴る香織さんの指の先に、男を狂わせる花園が見える。
 あそこにペニスを入れたら絶対にイく……しかも何度も、何度だって搾り取られてしまうだろう。

(やばい、やばいやばいやば、ああああああああああーーーーーーーーっ!)

ずちゅ……

(きもち、い、いいいいっ、こんなのだめだ、だめなのにいいいいい!)

にゅく、ずちゅうううぅ……

 予想以上に窮屈な入口を抜けると、暖かな肉癖がみっちりと肉棒に絡みついてきた。
 それが気持ちいい。気持ちいいなんてもんじゃなくて、貼り付いて、吸い付いて、舐ってくる!!

「んひいいいいああああああっ!!」
「どう? 気持ちいいでしょ」

くいっ……

「んあっ!」
「あはっ、声も出せないんだ……可愛いね、奏瀬くん♪」

 軽く腰をひねられただけで俺は悶絶した。
 また新しい刺激が俺に注ぎ込まれ、射精するより早く脳が先にイかされてしまった。

「なに、これ、すご、いいい! きもちいい、きもちいいいですううううっ!!」
「うんうん、わかるよ……私だって気持ちいいもん。んふぅ」

 軽く上半身を揺らしながら彼女は笑う。
 やがて両手を俺の胸においたまま、わずかに腰を浮かせて前後のグラインドまで加えてきた。

くいっくいっくい♪

「あはぁっ、かなせ、くん……いいよぉ……!」
「はぁ、はぁ、は、ああ、い、色っぽい声……」
「ふふふ、声だけで感じてくれるんだ? じゃあこんなことしたらどうなるの、かなっ?」

 続いて腰を思い切り落とし込んで、香織さんが固く目を瞑る。

キュッキュウウウウゥゥ!!

「ふあああああああああっ!!」

 絡みついた肉襞の奥に、さらなる楽園があった。
 カリ首から先が入り口と同じくらいの強さで締め付けられたあと、先端がチロチロとしゃぶり尽くされる。

「おちんちん、抱きしめてあげる。ほら、もっとおねだりして?」
「んはぁ、あっ、ああああ! こんなの、おかしくなるううう!」
「いいよ。いっぱい感じて、おかしくなって♪」

 甘い声で囁かれながらゆるゆると腰を振られ、俺は完全に脱力してしまった。
 膣口と膣奥がキュンキュン締め付けながら我慢汁を舐め取ってくるような刺激だった。
 香織さんが上体を倒して、たっぷり快楽漬けにされた俺に囁いてきた。

(このまま射精しちゃお? 大丈夫だから)

 その言葉は俺に効いた。
 ここは淫魔の世界ではなく現実だから、誘惑に負けて射精したら香織さんを妊娠させてしまう危険だってある。
 さすがにそれはまずいだろうと思い、射精を耐え続けてきたわけだが……

「え……で、でも」
「赤ちゃんできないから。だってここは――」

 香織さんが自分のお腹をゆっくりと指でなぞる。
 すると、ハートマークを二重に描いたような紋章が浮かび上がってきた。

(淫紋……! じゃあこれはルルカの――)

カプゥッ♪

 頭で理解するよりも先に突然ペニスが甘噛みされた。
 絶妙の締まり具合で俺が一番感じやすい場所をえぐり取られたのだ。

「あ……あああああああああーーーーーーーーッ!!」

ドピュドピュドピュウウウウウウウウウウッ!!

 もはやそれ以上は我慢できなかった。
 そして俺はリンネの言葉を思い出す。

『こんな激弱おちんちんをルルカの中にいれたら絶対即死だよ』

 たしかにそのとおりだ。
 でもこんなの、どんなに鍛えたって我慢できるわけがない!!

ビュクウウウ!

 さらにペニスが絞られた。
 当然のように射精してしまう。

「くすっ、面白いお顔になってるよ? 奏瀬くん♪」

ビュルルッ!

「……ッ! ~~~~~~~ッ!!」

 耳元で楽しそうに笑う香織さんの声が遠くに聞こえる。
 あまりの快感に喘ぎ声も出せず、俺はさらに数回膣内で射精してしまうのだった。





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