2・「美優先生に初めてを奪って欲しい」





 真面目な印象が強い橙矢だって流石に知っている。
 大好きな女性と二人きりでエッチなことと言えば、ずばり本番行為しか無いだろう。

 ただどうやって相手に伝えるべきか、その言葉がなかなか出てこなかった。
 仕方がないので思いついたことをすべて並べてみた。

 美優とひとつになりたい、深く繋がりたい、愛し合いたい、などなど。

「け、けっこう大胆な子だったのね、キミ……」
「えっ……僕、変なこと言っちゃいましたか」

 橙矢自身は気にしていない様子だが、美優としては赤面せざるを得ない状況だった。

「ううん、全然かまわないわ。
 でも知らないよ?
 エッチなことが頭から離れなくなっても」

 そう言いつつ背を向けて顔を隠すのが精一杯だった。

(彼にこんな顔見せられないや……
 でもね、年下の男の子が嫌いな女の子なんて居ないのよ)

 気付かれないように深呼吸をしてからもう一度彼に向き直った美優は、いつもと変わらぬ口調で彼に告げる。

「じゃあ横になってもらおうかな? えいっ」

 両手で彼の胸を押す。強すぎず、弱すぎず、ベッドに倒れ込む程度の強さで。

「あ……」

 不意打ち同然だった橙矢は反応できず、そのままベッドの上に尻餅をついた。
 それとほぼ同時に美優が彼に覆いかぶさっていた。

「せ、先生……?」
「キミはね、これからいっぱい焦らされちゃうんだよ」

 語りながら美優は彼のシャツのボタンに手を伸ばす。
 橙矢もこれから何をされるのか薄々感づいていた。
 ただ一つ違うのは、自分がリードする側ではなくされる側だということ。

(な、なんだかはずかしい……僕は男なのに、美優先生のなすがままだなんて!)

 しかし冷静に考えてみれば、この状況で彼にできることは少ない。
 むしろ美優に任せてしまったほうが楽なのである。

 そうしているうちに、橙矢の上半身がほぼ露出した状態になった。

「や……」
「逃げちゃダメよ」

 強めの口調に体が硬直した。
 美優の視線は優しげなままではあるものの、有無を言わさぬ強さがある。

ツウウゥッ……

「んああぁぁっ!」

 しかし、美優の指先が彼の胸をそっとなで上げると、橙矢の中にあった戸惑いは消え失せてしまう。
 たった一度、乳首の脇をほんの少しかすめた指先の心地良さだけで美優に身を委ねてしまいたくなってしまったのだ。

(美優先生の、指がああぁぁぁ~~~~っ!)

 橙矢の呼吸が次第に乱れてくる。自らの身体を這う白い指を、見てはいけないものと判断してしまった彼は強く目をつぶってしまう。

 美優は健気な彼の様子を観察しながら、愛撫する指の数を増やしていく。
 人差し指、中指、小指と薬指で優しくなで上げ、親指の腹で強めに刺激する。

「ああああっ!」

 簡単に喘いでしまう年下の男子の反応が面白くてクスッと笑ってしまう。
 その声を聞いた橙矢が恥ずかしさと興奮がない混ぜになった表情でチラチラと美優の顔色をうかがってくるのだ。

「我慢して我慢して、こらえきれなくなって泣きそうになっても私はキミを焦らしまくっちゃうの」

 顔をそっと耳元に近づけて、妖しげな声色で美優は囁いた。
 それは橙矢にとって、今まで聞いたことのないオンナの声だった。

(先生の声、すごくきれいで、エッチで、色っぽい……)

 ドキドキする気持ちはそのままダイレクトに股間に伝わる。
 あっという間に挿入可能なレベルまでペニスは固くなっていた。

「おちんちん大きくなったね」
「い、いわないでくだ……ぁ、ああっ!」

 美優は彼の言葉を遮るように耳たぶに吐息を吹きかけた。
 背筋を駆け上がるゾクゾクした刺激が橙矢の性感をますます高めてゆく。

「もっと体と心を高めてあげるわ。
 その間、ずっと優しく体を撫でられながらキミは私に洋服を脱がされちゃうのよ」
「脱がされ、ちゃう……うあっ、あああ!」
「喜んでくれて嬉しいわ。
 もちろんおちんちんも丸出しにされて、しかもこんな風に優しく責められて」

 美優はピアノを弾くように彼の上半身を指先でくまなくタッチした。
 乳首の周りや脇腹に触れると橙矢の体は面白いように跳ねまくる。

「キミは女の子みたいにアンアン鳴きまくるの」
「そ、そんなのっ、あっ、アアアアアーーーーーーッ!」
「そう、その声よ」

 くすぐったさの伴う愛撫だが、橙矢には効果的だった。
 美優が指先で直接ペニスに触れたら暴発してしまうであろう。
 それを回避するための曖昧な刺激は、思春期の少年にとっては生殺しであると同時にこの先に訪れるであろう快感への期待をふくらませた。

「もっと気持ちよくなれるから、たくさん我慢してね」
「は、はいぃぃ……」
「じゃあそろそろ見せてもらおうかしら」

 美優の手が彼のベルトにかかり、ズボンを脱がせ始める。

 できるだけ刺激を与えないようにしつつ丁寧に露出させてゆく。
 橙矢も軽く腰を浮かせたりしてそれに協力した。

 既にしっかりと主張していた股間は天を仰ぎ、トランクスを脱がされた拍子に大きく跳ね上がった。

(おいしそう……♪)

 美優は彼に見えない角度で密かにつぶやき、舌なめずりをした。
 屹立する青い果実は次の刺激を与えられるのを待ちわびているようだった。

ニュチュ……

 脈打つ肉棒へ指先をそっと伸ばし、鈴口付近であふれそうになっている透明な粘液を指先にまとわせる。
 美優は少し触れただけで橙矢は溜息をこぼした。

「おちんちんを触られると気持ちいいでしょう」
「すご、い、きもちいいですっ」
「うんうん、いい子ね。でもこれからが本番よ」

 そう言いつつ、美優はショーツを脱ぎ始めた。
 橙矢はその光景をうっとりした目で見つめている。

「おまんこの中で、おちんちんをいっぱい触ってあげる」
「っ!!」
「あったかくて、やわらかくて、私の指よりも気持ちいいところにキミのおちんちんは閉じ込められちゃうの」
「うあ、あああっ!」
「私に抱かれたおちんちんは、中で涙をいっぱい流しちゃうの。僕をいじめて、気持ちよくして~って」

 煽るような美優の言葉に橙矢の頭の中が一気に桃色に染め上げられてしまった。
 挿入前に淫らなレクチャーを受けてしまえば男子は必然的に女性の中に桃源郷を作り出してしまう。

(は、はやく入れて、欲しい……美優先生の中に、おちんちんを!)

「ほら、もう動けないでしょ。心も体も気持ちよくなってきたはずだもん」

 美優はそんな彼の気持ちを見透かすように笑ってから、脱いだショーツを彼の顔の脇に放り投げた。

「先生の履いてたやつ、あげようか?」
「えっ!!」
「ふふっ、嘘よ。エッチね」
「……」
「でも、キミが望むならプレゼントしてあげてもいいよ?」

 橙矢は突然の申し出に視線をさまよわせた。
 下着を集めるような趣味はないけれど、どこか背徳的で卑猥だ。
 しかも憧れている女性のものを手にしたら自分はどうなるのだろう。

「私の下着でオナニーしてくれる?」
「そっ、そんなこと! し、しま……」
「ふふふふ♪」

 歯切れの悪い返答をする橙矢の頬をなでつつ、美優がゆっくりと彼の腰にまたがる。
 そして膣口をペニスの根本にあてがうと、ゆっくりと前後にグラインドし始めた。

「あっ、な、なにこれっ、うっ! あああああっ!」

 粘膜同士の接触に慣れていない橙矢は戸惑いの声を上げてしまう。
 それでも構わず美優は腰を振り続ける。

「キミが切なくなって、敏感になって、おちんちんがピクピクしてきたらぁ」
「だめです、先生これっ、やば……でちゃうっ」
「おちんちん、私の中で可愛がってあげる♪ ほぉら、もっと硬くして」

 クチュクチュと音を立てながら美優は橙矢に我慢を強いる。
 すでに彼の体は弓なりに反り返り始め、快感をどこかへ逃がそうとしていた。

 しかし美優の腰振りがそれを許さない。
 前後の動きに左右のひねりを加え、さらに言葉責めまで行っているのだから。

「おまんこの中に入れた瞬間、びっくりしておちんちんがドピュってしちゃうかもしれないけど」
「うあっ、あああ、だめですうううう~~~!!
「橙矢くんのおちんちん、射精した後もゆっくり舐め続けてあげる」

 脳内を駆け巡る淫らな妄想が、橙矢の肉体に一段階上の快感をもたらしている。かろうじて美優からの命令を守ろうとする気持ちで射精をこらえているに過ぎないのだ。

「膣内でそのままカチカチに固くしてからもう一度、キミは私に食べられちゃうのよ」

 真下でビクビクと脈打っているペニスを美優が静かに捧げ持つ。
 左手の中指と人差し指だけで持ち上げるようにしながら、我慢汁でヌルヌルになった肉棒の先端でクリトリスを刺激し始める。

「んっ、くぅぅ……硬い……」
「あ、あああっ! 先生ッ」
「ふふっ、先生意地悪だった? いっぱい想像させられちゃったでしょ」

 頬を赤く染め、橙矢を見つめながら美優がウィンクした。
 その可愛らしさに視線が釘付けになる橙矢。

「そろそろ食べてあげる。一分間は我慢しようね?」

 美優は静かに宣言すると、いきり立つ肉棒を膣内へと招き入れた。
 息を止めて口を一文字に結びながらゆっくりと腰を落としてゆく。

クプッ、ニュプププ……

 とろけるような肉壁が橙矢自身を包み込んでゆく。

「うっ、うあっ、あああっ、熱い……ッ!」

 予想以上の暖かさと柔らかさに橙矢は困惑した。
 さっきまで妄想していた美優の膣内よりもシンプルで、しかも抗えない快感。

「ふふふふふふ♪」

 半分以上膣内へ埋め込まれた肉棒がやんわりと握りしめられた。
 童貞である橙矢は、いや応なしで美優の名器の実力を思い知ることになる。

「最後まで我慢できるかな? もう少しだよ~」

 憧れの美優から微笑みかけられているというのに、橙矢は必死で快感を堪えることしかできない。気を抜いたらすぐにでも射精してしまいそうなのだ。
 絡みつく美優の内部が橙矢を複雑に拘束し、しかも甘い媚薬をじわじわと染み込ませてゆく。

「ま、まだですか!? あ、あああああ~~~!」
「ふふ♪ 焦らないで?」

 肉棒は既に半分以上埋没しているが快感は強まるばかりだ。
 美優は涼しい表情で彼を責め続けるが、心の中で橙矢に感心していた。

「これで挿入完了。橙矢くん、お漏らししなかったんだ?」
「はぁ、はぁっ、でも、こんなにっ、気持ちいいなんて……」
「えらいえらい♪ じゃあご褒美あげるね」

キュウウウ~~~!

「ひああああっ」
「そのまま我慢だよ~」

 美優がゆっくりと腰を持ち上げる。
 最奥まで突き刺さっていたペニスが強制的に抜ける直前まで引き戻される。

(き、きもちいいいいっ!
 さっきと逆で、快感が巻き戻されて二倍になってるみたいで!)

 美優は内部からペニスを引き抜く時、わざと膣内を締め上げていた。
 それこそこのまま射精してしまっても構わないというくらいに。

「本当にすごいよ、橙矢くん♪」
「え、えっ、せんせ、待っ……」

「でも、これならどうかな?」

 美優は橙矢の制止を聞かずにそのまま腰を一気に沈めた。

ずちゅうううううううううっ!

 腰を落とす時、美優は膣内の締め付けを緩めた。
 そのせいでペニスの表面には優しくなで上げられたような絶妙な刺激が走る。

「あっ、あああああああああああああああああーーーーーー!!」

 その甘い感触が張り詰めていた橙矢の忍耐力を一瞬で溶かし尽くした。

(出るっ、今度はダメ、我慢できないいいいいいいっ!)

 ガクガク震えだす自分の体を抑えきれず、橙矢は悶絶した。
 だがしっかりと美優がその体を押さえつけている。

「私が受け止めてあげるから、全部出して♪」

チュッ……

 上半身を前に倒し、震える橙矢を拘束しながらのキス。
 その最後のダメ押しによって彼の我慢はついに決壊した。

ビュクンッ! ドピュッ、ブプッ、ビュルッ!!

 美優に抱きつかれながらの射精。
 初体験でここまで深い快感を味わうことになった橙矢は、頭の中が真っ白になったまま何度も腰をヘコヘコと動かし続ける。

「やっぱり一分も我慢できなかったね? 童貞クン♪」

 長いキスが終わり、白目になって呼吸を乱す彼を見つめながら美優は優しく微笑むのだった。






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