木曜日の朝、僕は目覚めた瞬間から放課後のことしか考えられなくなっていた。
今日も掃除当番がある……そう思うだけで下半身が疼く。
いけないこととわかっていても、落ち着かせるために自分を慰める。
これでもう何回目だろう。数えるのも飽きた。
それでも頭の中から長瀬さんの顔が離れることはない。
全然鎮まらない。
身体中がだるい。まぶたが重い。
昨日から一睡もしてない感覚。
厳密には少し意識が途切れたところもあるから、少しは寝ていたのかもしれない。
それでも僕の頭の中は、たった一人の女性に支配されていたのだ……。
無理矢理登校して自分の席につく。
あっという間に午前中が終わり、昼食…あんまり味がしない。
午後も授業の中身がそれほど頭に入ってこない。
そして悶々とした気持ちのまま迎えた放課後――
「中谷くん」
「!!」
声につられて振り向くと、可愛らしいツインテールが目に入った。
そして距離が近いッ――
昨夜から僕の頭の中を支配していた女性が目の前で首を傾げている。
ああ、もう……話しかけられただけでおかしくなりそう。
「どしたの?」
「ひいっ、長瀬さん!!」
彼女は不思議そうに僕を見つめている。
まだ普段の彼女だ。
いたずらモードに入ってないみたいだ。
安心した反面、ちょっと物足りない。
つやつやした髪と、心配そうに僕を見てる目と、小さく結ばれた口元を順番に見比べる。
(そういえば長瀬さん、僕のことをどう思ってるんだろう。もしかして……いや、期待し過ぎちゃ駄目だ。後で痛い目にあう気がする……でも、でも!)
そんなことを自問自答しているうちに、クラスのみんながいなくなってしまった。
帰り際のクラスメートに手を振っていた彼女が振り返る。
「早く今日の掃除を始めようよ、中谷くん」
「う、うん!」
僕たちは昨日と同じように掃除用のモップを手にした。
◆
さすがに三日目、いや四日目になると面倒に思える作業もそれなりに苦痛を感じなくなる。
机を移動させて床のゴミを取り除く。ただそれだけのことだ。
「私達って息がピッタリあってるよね?」
「えっ…」
ひと通り終わったところで彼女が呟いた。
「ねっ?」
「あ、う……ん」
こういう場合にどう答えたものか。
呼吸があっているというよりは、彼女が合わせてくれてるだけかもしれないし……
「なんか歯切れが悪いなぁ……身体の調子悪いの?」
「そんなこともないけど…」
「ううん、なんだか目の下が真っ黒だよ! 誰かにパンチされたみたいになってるもん」
指摘されたので反射的に自分の指で目の下をなぞってみると、何となくいつもより凹んでいるような気がした。
「あ、これは……ただの睡眠不足でね」
「なにか心配事でもあったの?」
「ま、まあ……そうだね…ぅん」
「私で良ければ相談にのるけど。ねえねえ、教えて欲しいなぁ~?」
詰め寄ってくる長瀬さん。
でもこれは心配事というよりは、単純に気になる人がいるというだけの話で。
しかもその本人が目の前にいる彼女だなんていうことも出来なくて。
言い方を考えてるうちに、僕の両足の間に細い足が割り込んできた――
「あああっ!」
視界がぐらりと揺れ、僕は天井を見上げた。そしてお腹のあたりに軽い圧迫感が……
「簡単に押し倒されちゃうんだね、中谷くん」
柔道の小内刈みたいに、彼女は僕の膝裏を素早くかかとで小突いてきたのだ。
おかげで膝が折れた僕はこうして押し倒されて――、
(ちょっ、これって馬乗りっていうか騎乗位!?)
自分がいま置かれた状況を数秒遅れで理解した。
女の子に組み敷かれてるわけで、それに彼女の表情……エロすぎる!
無意識に彼女の太ももに触れると、昨夜と同じように股間がズキズキ疼きだした。
ペニスが一瞬で張り詰める。
彼女が腰を下ろしているのが下腹部ではないのが不幸中の幸いだ。
「そんなにお疲れなの?」
こちらの焦りなどお構いなしで無邪気に問いかけてくる彼女。
僕の表情が曇ったのは体調のせいじゃなくて、この密着感…長瀬さんの、気になってる女の子の体重を直に感じてしまったことによるものだ。
(それだけじゃない……なんか見下されてるような、そして確実に彼女はイタズラモードになってるうううぅぅぅ!!)
ドキドキする。あの目に見つめられてるだけで不安になる。
「教えて欲しいなぁ……昨日の夜、私とどんなことをしたの?」
そんなの言えるわけがない。
わかってるくせに!
「言わないつもりなんだ? ふふふふ…私ね、昨日までに気づいたことあるんだ」
薄く笑った長瀬さんの顔を見て背筋が冷たくなる。
「それはね……中谷くんを参ったさせる方法♪」
グチュッ……
「あはあああああっ!!」
彼女が不意に腰を浮かせた。
そして狙いを定めたように、勢い良くペニスの真上に腰を落とした。しかも勢い良く!
(お、お尻ッ! 長瀬さんのお尻が僕のあそこにいいいいぃぃぃぃ!!)
叫びそうになる自分の口を慌てて片手で塞ぐ。
スカート越しでも分かる柔らかいお尻の感触、たった一撃で気だるさを吹き飛ばして快感にすり替えるほどの刺激だった。
「たまらないでしょ。中谷くん、こうしてるだけで堕ちちゃうよね?」
「あああぁぁっ、動いちゃ駄目だよおおぉぉ!」
長瀬さんはペニスの真ん中あたりを的確にグリグリと押しつぶしてくる。
お尻の柔らかな部分が右に左に、クネクネと腰を揺らされるたびに僕の頭の中がパチパチと弾けるうううぅぅ!
プピュッ……
(あっ、出ちゃう……我慢しててもダメだ、これ気持ちよすぎて! どんどん膨らんじゃうよおぉぉ…)
無邪気に揺れるお尻のせいで我慢汁が止まらない。昨日だって今朝だってあんなに抜いてきたのに!
長瀬さんの言う通り、僕は彼女に弱点を全部さらけ出してしまったのかもしれない。
学校でこんなことしちゃいけないのに、クラスメートを汚すようなことをしちゃいけないってわかってるのに――、
(今日は入れてアゲる……)
知らないうちに身体を倒していた彼女が耳元でささやく。
入れる? ど、どこに……
「えっ……ええええっ!?」
甘い髪の香り、彼女の頬から伝わる体温……そしてゆらりと顔を上げた彼女に見つめられ、スローモーションのようにうごめく唇に魅了される。
(あったか~いところで中谷くんをね、優しくご招待しちゃうの)
長瀬さんはそう言った。聞き違いじゃない、確かにそういったのだ。
そして、ゆっくりとスカートの裾を片手でめくってから反対の手でペニスを優しく撫でた。
「んあううぅぅ!」
思わず小さな声を上げそうになる。我慢しきれない…
ズボン越しに撫でられただけでこの刺激。
やっぱり彼女の指って気持ちいいんだ……一昨日感じた心地よさが頭の中に蘇る。
ゆっくりとベルトを外し、ペニスがあらわになると長瀬さんは目を細めた。
指先がショーツの隙間に入り込んで、僕は食い入るようにそれを見つめた。
うっすらと彼女の秘所が見え隠れしてる。きれいなピンク色のそれは、心なしは潤って見えた。
クイッと指先でショーツを持ち上げたまま、長瀬さんは少しだけ腰を動かしてペニスの先端を隙間へと導いた……
クチュウゥゥ!
「ふぁひいいっ!!」
柔らかい布地と、暖かい彼女の肌の隙間にペニスが捕獲されてしまった。
しかも潤いを持った彼女自身が僕に吸い付いてくるみたいで、
(熱いッ、それにエ、エロい! こ、れエエエ、気持ちいいよおおおお!!)
昨日の夜、妄想していたことよりもずっと刺激的な光景。
男子にとってあこがれの場所に、こんな窮屈な方法で囚えられてしまうなんて考えてもいなかった。
「うふふふ、他のところに入れられちゃう……って思った? エッチ……」
「ちっ、違うううぅぅ、これっ、ヤバいよ長瀬さ……いひいいいいっ!!」
じっとしたまま動かなかった彼女が、少しだけ腰を回し始めたのだ。
熱い液体が交じり合う音が聞こえてくるような卑猥な動きで。
(これっ、もうすぐ! はいっちゃうううううう!)
腰を突き上げたら本当に滑りこんでしまうかもしれない。
グリグリと腰を回すだけじゃなく、前後に腰を揺らし始める彼女。
ドロリとした我慢汁が大量に吹き出す。それを潤滑剤にしてますます艶かしい感触へと変化してゆく……
反り返ったペニスが苦しそうに跳ねる。
角度によっては深く突き刺さってしまうかもしれない。でも動けないッ!
「あはぁ……ねえ、頭の中で私、中谷くんにいたずらしてる?」
してる! 頭の中じゃなくて、実際にいいいい!!
「本当はね、私も昨日眠れなかったんだ……誰かさんの可愛い声を思い出しちゃって」
少し小さめの声で彼女が言う。
快感に侵されながら見上げると、長瀬さんの頬は軽く上気していた。
「誰のことだろうね。ふふふふ……♪」
恥ずかしさを隠すように長瀬さんは腰を上下に振り立てた。
ショーツの中で捕獲されたままのペニスは、スベスベした感触の布に引っ張られる刺激と、彼女の素肌に融かされる快感を交互に擦り込まれる。
射精へのカウントダウンのように、淫らな信号を何度も打ち込まれる
「あ、あああああぁぁぁっ!」
「ほら、もうすぐだよ……中谷くんが可愛く叫んじゃう瞬間」
もはやこらえきれず、自然に腰を反らして快感を逃がそうとするけど……
「えいっ! 我慢しちゃ駄目ぇ♪」
彼女は腰のうねりだけで僕の身体を教室の床へと押しつぶした。
ドピュウウウウウウッ、ビュルルルルッ!!
爆ぜた……
彼女の中で僕の欲望が弾けた。
ショーツに縛られ、スカートに隠されたままで密かに吸いだされる熱いミルクが彼女の肌を汚す。
窮屈な状態で強制的に射精させられた僕は前日からの疲労も重なって、急激に意識が遠のいた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「中谷くん……んっ!」
チュプッ…
息ができない、苦しい……
レロ、レル、チュルルル……
何かが入り込んできて、苦しい。でも……
「ね、私達って息がぴったり合うでしょ」
僕がほんの少しの間だけ気絶する直前、すごく近くに長瀬さんを感じた……。
◆
「はっ!」
意識が戻った瞬間、僕は反射的に飛び起きてあたりを見回した。
教室の中は僕一人だった。彼女の姿は、ない……。
代わりに小さなメモ紙が僕の手に握らされていた。
「今日もありがとう。
明日で掃除当番おしまいだね」
私、部活に行きます!」
何故だかわからないけど、僕は自分の唇をそっと指先で撫でた。
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