『スライムバスター3 ~境界線からの使者~』








2・ライムたちと一緒に過ごす




ルシェを追うように思わず立ち上がったウィルであったが、人差し指をあごに当てるような仕草で、すぐさま何か考えにふけってしまった。


(今のライムを放っていくわけにはいかないよね)

自分が知っている重大な事実を、当事者である彼女は知らない。
それは良くないことだと彼は感じていた。

シアノ女王の気持ちを考えると、出生の秘密を語るのは自分が一番適任の気がするのだ。


大事な何かを話そうにしていたルシェの事も気になるけど、結局ウィルは静かに元通り、ベッドに腰を下ろした。
隣では不思議そうな表情でライムが彼の顔を覗き込んでいる。


「ねえ、行かないの?」

少し首をかしげながらライムが言った。
それはとても穏やかな声だった。

彼女もウィルの気持ちをなんとなく理解しているのだ。
正確には肌や空気で感じている。
何か話さずにはいられない彼の心境を。


「うん。やっぱりここにいるよ」

「……どうして?」

傍目には言葉少なめのやり取りに見えるが、長い付き合いの彼らにはこれくらいがちょうど良い。
元々ライムはめんどくさがりだし、ウィルも口下手である。

唯一、口が達者で陽気なリィナも今は二人の邪魔をしてはいけないと思っているのか、部屋の片隅で沈黙している。


「いや、なんとなく……キミのそばにいたくて」

言葉を終えたあと、ウィルは自分のつぶやいた言葉の拙さに頭を抱えたくなったが、言われたほうはまんざらでもないといった様子だった。


「そう……♪」

直接見なくてもわかるほどに、隣にいるライムの雰囲気が柔らかくなった。



がたたっ!

「ふあああっ、お姉さま! あたしルシェ様のところに行ってきます~~~」

突然立ち上がったリィナは、それ以上何も言わずに部屋の外へ飛び出していった。



「ふふっ、あの子にも気を使わせちゃったみたいね」

「なんだか悪いな……」

決まり悪そうに頭をかいている彼にぴったりと寄り添うライム。

そっと重ねた手のひらが、軽く彼の指と絡み合う。


「そんなことないわ。きっと」

久しぶりに訪れた二人きりの時間を確かめ合うように、彼らは静かに唇を重ねた。







「早くおいでよ、ウィル」

「ま、待って…」

長いキスのあと、ベッドの上で恥ずかしそうに足を開くライム。
細く長い両脚がゆっくりとMの字を描く。

芸術的なアーチの中心、ライムの花弁は既に真っ赤に燃えて蕩けきっていた。


(早くアソコに入れたいけど、今はまだ僕の方がヤバイっていうか……ああ、このままじゃ瞬殺されちゃう)

顔には出さないが、ウィルはすっかりペースを乱されていた。
彼女とキスを何度か交わしたあと、いつも以上にライムを愛しく感じてしまったのだ。


それはきっとシアノ女王から聞かされた話のせいなのかもしれない。

自分の目の前にいるのがスライム界のお姫様……

しかも自分のことを悪くは思っていない超絶美形のハーフスライム。

興奮しないで済むはずがない。


「待たされるの嫌いなの。挿入するわよ?」

しかし当の本人はそんな事にお構いなしで、いつものようにウィルを求めている。


「ふふふ……ねえ、早くゥ…」

強気な表情のまま、ライムは少しだけ微笑んで見せた。
形の良いツヤツヤした唇を、真っ赤な舌先がぺろりと舐めまわす。

さらに、ゆっくりとした動きで腰から下をクネクネと揺らして見せた。
こうすることで彼の視線を独占できる、とライムは知っている。

妖しくうごめく腰使いに魅せられたウィルは、食虫植物に吸い寄せられる虫のようにペニスの先端をライムの膣口に押し付けてしまった。

すっかり熱を帯びた彼の亀頭をトロリとしたライムの粘液が包み込む……


「美味しそうになっちゃって……遠慮なくいただくわ♪」


M字開脚したまま、ライムはウィルのほうに向かって腰を突き出した。

ズチュ、ヌリュ、ジュルウウウッ!

半分くらいまで飲み込まれたペニスが腰の動きにつられて膣から抜け出し、また捕まえられる。

トロリとした愛液をまぶされ、ウィルの性感が一秒ごとに高められてゆく。


「あはあああっ、ああ、そ、んはああああああっ!!」

すっかり濡れそぼっていた花弁がペニスを優しく舐めまわす度に彼は叫んだ。

ライムの秘所は、ペニスの先端を捕獲した瞬間、内部がざわめいて彼を奥へと導き出す。

柔らかな突起にカリ首をもてあそばれ、なすすべも無く最奥へと招待されたころには射精寸前まで追い詰められていた。


(これええ! なっ、あふ、きき、気持ちいいよおおおおぉぉ~~~!!)

狂いそうになるほど頭の中で何かがパチパチと弾けてるみたいだった。

それが、いやらしい音を立ててライムの秘所が彼を包み込んでから数秒間続いた出来事である。


「大げさね。クスッ♪」

快感に震える彼の体をそっと撫で回すと、ますます身を硬くして応えてくれる。
ライムはこのパートナーのそんなところがとても好きだった。

しかし、ウィルの反応は決して大げさではなかった。
無防備にされた心と体のままで、ライムの名器に閉じ込められてしまったのだから。



「うああぁ、ライム、ライム~~~~!!」

「あはっ、その声すごく素敵よ。嬉しいわ、もっと喜ばせてあげる」

ジュルル……

ライムの体の表面がさらにしっとりと粘り気を帯びてきた。

歓喜の声を上げながら、彼がしがみついた体は極上のスライムに変貌している。

さらに手のひらに多くの粘液を垂らしながら、彼の背中や腕を撫で回すライムのテクニック……

ペニスをがっちりと捕捉された上に、さらに上積みされてゆく快感は、彼を悶絶させるには充分な刺激だった。


「もっといっぱい感じていいよ、ウィル…」

正方形の大きなベッドの上で抱き合いながらお互いの体に触れる。

ライムの美しい脚が彼の腰を逃がさぬように絡めとり、結合した部分がジワリと締め付けられた。

ただそれだけのことでウィルはいつものように……いや、いつもより早く果てそうになる。


(ああ、この脚が気持ちよくて、今日はいつもより、なんでこんなに……ィ…!?)

彼が彼女と関係するとき、何度体を重ねても快感慣れすることはなかった。

むしろ新たな性感帯を刺激されて、ますますその引き締まった肢体に魅了されていくような……ウィルにとってライムはそんな相手。

おそらくそれはライムにとっても同じで、彼らの体の相性は良くなる事はあれど、悪くなる事はなかった。

彼らはお互いに満たされる瞬間に、しばらく身を委ねた。




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