『スライムバスター3 ~境界線からの使者~』







 ウィルはミルティーユに向かって穏やかに話し始める。

 まだ自分がスライム狩人だったころにライムと森の中で出会ったこと。
 そしてすぐに手ひどく敗北しかけたこと。

 転職の神殿での再会と二度目の戦い、レベッカとの戦い。
 その後でライムと一緒に暮らすようになったこと。

 さらにしばらくしてから、彼女の後輩であるリィナが尋ねてきたこと。

 自分の弟子であるマルクを救うためにクリスタルパレスに向かったこと。

 それにライムが同行してくれたこと。


 彼の言葉を聞きながらミルティーユは興味深げに時々頷いてみせた。
 その眼差しがどこかライムに似ているとウィルは感じていた。

 もっとも、彼女はライムの妹なのだから当然ではある。

 ここから逃げ出すことよりもライムとの思い出を丁寧に語り続けることにウィルは注力した。


 そして二時間が過ぎようとしていた。


「――だいたいこんなところかな。」

 ウィルの言葉が途切れるとミルティーユは少しさみしげな表情を見せた。


「聞かなきゃ良かったですわ」

「えっ!」

 自分のことをジト目で睨みつけてくるミルティーユを見てウィルは戸惑う。

 話の中で無意識に彼女を落胆させてしまったことを申し訳なく思う反面、自分の何が悪かったのかわからないといった様子で絶句するしかなかった。

 しっとりと濡れたような長い髪を指先で弄びながら恨めしそうにミルティーユがつぶやく。


「自分では気づいていないのね。あんな笑顔で話し続けていたのに」

「あの、ミル……それは……」


「ライムが羨ましい。二人ともずるい。幸せそうで」

「ううぅ、そんなこと言われてもなぁ」

 実際はミルティーユが思っているほど平坦な道のりではなかった。

 ライムの性格に起因する困難だけでなく、スライムと人間の種族間の差は未だに埋められていないし、何よりも彼自身がパートナーのことを完全にはわかっていなかったのだから。

 困ったように頭をボリボリと掻いているウィルに、ミルティーユがそっと寄り添う。


「もうライムの話はここでおしまい。今は私だけを見て」

 ウィルの頬がふんわりとしたミルティーユの手のひらで挟まれた。

 半ば強制的に、まっすぐ彼女のことを見つめさせられる。


「あっ……」

 ウィルが小さくうめいた。

 静かな湖のような深い碧色の眼。
 気の強そうな、それでいて優しげな眼差しの中心に引き寄せられる。


 このまま意識が彼女に吸い込まれる気がした。

 まずい、目を閉じないと――

(ぅあ、これはみ、魅りょ、ぅ……)

 感覚的にウィルはそれが魅了魔法であることを理解していたが、虚を突く形で発動させられては避けることはできない。


「フフ……」

 ガクンと彼の両肩から力が抜けたのを確認してからミルティーユはゆっくりとドレスを脱ぎ始めた。

 陶磁器のような美肌を見せつけるようにしながら優しく彼をベッドに横たえ、軽く口付けを与えた。


「初めての夜ですね。特別なことをしてあげますわ」

 ミルティーユのキスから解放されたウィルは、うっとりと彼女のことを見上げていた。

 ライムと同じ、彼にとって理想的なスタイルの女性の裸体が目の前で揺れているのだ。
 魅了魔法の有無にかかわらず虜にされてしまうことだろう。

 そっと指先を伸ばしたミルティーユは、彼自身の感度を確かめるように何度かペニスを上下にしごいてみた。

「うああぁ、あああ!」

 緩急の効いた手コキに思わず声を上げてしまうウィル。
 その様子を見ながら、彼女はゆっくりと体勢を入れ替えてゆく。

 添い寝をするようにしながらそっと乳首を口に含ませると、まるで赤子のように熱心に吸い始めた。
 そんな彼の頭を撫でながら、同時に指先で敏感な亀頭を何度もなぞって悶えさせる。


「ライムはこんなことをしてくれたのかしら? フフフフ」

 同じ姿勢のまま数分間愛撫を続けると、ペニスはすっかり射精寸前まで高められてしまった。
 我慢汁でドロドロになりかけているウィルの股間を容赦なく何度も指先でクチュクチュと揉みしだく。

 ウィルの背中が大きくビクンと震えると愛撫の手を緩めて調整する。イキたくてもイけない状況へ追い込まれることで彼の精神力は丸裸にされてしまう。



 さらに数分後、もはや苦しげに射精を待ち焦がれるだけの彼をミルティーユは念入りに焦らす。


 興奮しすぎて呼吸も乱れているウィルの顔を抱きしめたまま、今度は片足をそっと持ち上げて太腿の内側と膝をなめらかに滑らせて硬い肉棒を弄んだ。

 ツヤツヤしたミルティーユの肌に亀頭が転がされ、やわやわと擦りつけられる。新たに押し出された我慢汁がさらに滑りを良くしてしまい、結果的にウィルをますます追い詰めてゆく。


「んあっ、はああああ~~~~~~~!」

 美脚で焦らされ踊らされ、不意に強めの刺激がもたらされた瞬間、ウィルはたまらず切ない声を上げた。

 またそれに応じて彼女も嬉しそうにその愛撫を繰り返す。

 この膝と太ももによる上下コキは、ライムが出会いの森でウィルに施した最初の愛撫であったことなどミルティーユが知る由もなかった。

 夢見心地のまま彼はきっとライムとの初めてのセックスを思い出していたのかもしれない。


「可愛い声。そろそろ限界ですね。イかせてあげましょうか」

 ゆらりと体を起こして彼の上になるミルティーユ。
 真上からのしかかるようにしながら少しだけ両足を開き、射精寸前のペニスを太ももで挟み込んだ。

「ひいいぃぃっ!」

 美脚に挟まれ、快感に悶えるウィルを見つめながら彼女は笑う。

 そしてトドメとばかりにペニスを挟み込んだ両足を強く締めながら腰を前後にグラインドさせてきた!


「あああっ、イイッ! これいいよおおぉぉぉ!!」

「フフフ、こんなに硬くなってる……」

グチュグチュグチュッ!!

 ペニスを挟み込んだまま下半身を巧みに波打たせ、ミルティーユは人魚のように腰をくねらせる。
 結果としてそれがウィルの最後の我慢を打ち砕いた。

「んは、あああっ! イ、イくうう、出るうううぅぅぅ~~~~~!!」


ビュルルッ、ビュクウウウッ!!


「まだよ……もっと出せるでしょう?」

「はうっ、ああ、あっ、ああああ!」


ビュッ、ビュクンッ!



「まだまだ、ほらぁ」

「ぎいっ! ま、まって!!」


ドビュビュッ!



「もう一度♪」

「はあ、あっ、ひいっ!」


ビュッ!

 ミルティーユの美脚に挟み込まれたままウィルは断続的に射精させられてしまう。

 形の良い彼女の尻が左右に揺れ、時には8の字を描く。そして僅かな時間差の後に確実に射精させられてしまう。
 一度の射精は少量ながら萎えることを許されず、何度も絶頂を味わうことになる。

 しかも上半身は抱きしめられたまま射精の瞬間もその直後もしっかりと顔を見つめられてしまう。


(あああぁ、ミル! ミルの顔、すごく綺麗だ……ま、またイっちゃう、イっちゃうよおおぉぉ!!)

ビュルッ! ピュウッ……

 すでに二桁を超えた射精回数。短いスパンで何度も搾り取られ、快楽でもみくちゃにされながら何度も彼女にイキ顔を見られ、ウィルは羞恥まみれで気を失ってしまった。


「さぞかし気持ちよかったでしょう。暫くの間、夢の中で彷徨ってもらいますからね」

チュウウウゥゥ……♪

 すっかり抵抗力が無くなった獲物にディープキスしてから、ミルティーユはゆっくりと体を起こす。

 いつの間にか取り出したブルーティアラを被り、彼女はこの地に息づく精霊たちに祈りを捧げる。それから両手を彼の胸に置いてから呪文を唱えはじめた。


(北の大地、さまよう精霊……銀の槍と月のしずく……凍りゆく全てを我が手に)



 厳かに歌うような呪文の進行と共に、ミルティーユの手のひらから青い魔力が溢れ出してウィルへと注がれてゆく。

 その力が彼の体を静かに包み込み、繭のような形になってゆく。


 やがて数分後、ウィルの体は青い繭の中に閉じ込められてしまった。



「これで彼の時間は止まった……ライム、貴女の大切な人は私とずっと一緒」


 自らの魔力で包み込まれたウィルを見つめながら彼女は小さく笑う。

 そしてミルティーユは満足げに窓の外を眺めるのだった。




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