Elbereth

 メイドが深々と頭を下げる。

「お帰りなさいませ」
 昨日ああ言った手前、今日はまっすぐ帰宅した。これなら文句はあるまいと顔色を読むと、心なしか眉尻が下がっているように見えた。
「……今日は何が気に入らないんだ?」
「……ぷぷっ」
 ……吹き出した。
 笑いを堪えていたらしい。ごめんなさい、でもどうしても我慢が、などと言いながらまだ笑い転げている。
「だって、極端じゃないですか」
 時計を見ると、6時だった。
「昨日帰ったのは何時だった?」
「11時50分です」
 約四半日も早かったわけだ。
 一瞬、昨日はそれだけの時間を待たせていたのかという良心の呵責があったが、彼女があまりにも笑うので、そういう気持ちはすぐに有耶無耶になった。
「……いいから。夕食を」
「はい」

 ……まだくすくすと笑っている。そんなに可笑しいのか。

Elbereth

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