Elbereth

 目覚めると白いシャツが用意してあった。
 さらさらとした生地を確かめながら袖を通す。

 春が来た。



 軽快に台所へ行くと、メイドが微笑んで挨拶をする。

「丁度薄手のシャツが着たいと思ってたんだ」
 そう伝えると、くすくすと笑った。
「昨日はお久しぶりの遠出でしたでしょう。陽気より厚着で、よく汗を掻いていらっしゃいましたから……」

 程なく柊柯が食堂に現れた。こちらは相変わらず布地を多量に用いた装いだった。

「お前は衣替えしないのか?」
「紫陽花の咲く頃になったらね」

Elbereth

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