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NOTE
ラスト・イニング…! 2007/02/18

えー、見事に風邪引き込んで仕事の時間以外は寝込んでいるゆうきさらです(号泣)
寝込みつつも「ラスト・イニング」読了致しました。
ぶっちゃけ良く寝付けないくらいに、どう書こうか考えてまして、早く感想なんとかしたいんですけど
今から仕事なので今晩には一度更新出来るかなあ…
萌えサイドと通常読書感想サイドの二つをアップ予定です。通常感想はブログにもアップします。
てゆーかパソコン前に長時間座る気力があるかどうかが最大の問題…くう。

滴る<したたる>・3 2007/02/12

久々に流した汗をシャワーで流し終える頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。
生真面目に用具を片付ける門脇を冷やかしながら手伝ってやっていた瑞垣は、結局一番最後にシャワーを浴びる事になってしまい、
再び制服を身につける頃には他の部員達はすっかり帰ってしまった。
天井にお情けのようにぶら下げられた剥き出しの電球が、時折じりじりと音を立ててまたたく。
先にシャワーを浴びて待っていた門脇が、髪を拭きながら出てきた瑞垣に向かって微笑んでみせた。
「……なんや、秀吾、先に帰っとるかと思ったら」
実の所、瑞垣は一人で家に帰りたかったのだ。今日は何故か、この幼馴染みの天才打者の顔を見るのすら億劫だ。
「俊。……お前、高校、どうする?」
ストレートな問いだった。今までも何度か聞かれた事がある。その度に瑞垣は適当に答えをはぐらかしてきた。

野球部のない所へ。野球とは関係のない場所へ。

いつからそんな風に思い始めたのか、瑞垣はもう覚えていない。
その事を門脇に悟られたくなくて、瑞垣は毎回違う高校の名前を出しては話を切り替えていた。
「そういうお前は? ……ふふん、当ててやろうか。天才バッター門脇くん。野球留学の話が出とるんじゃろ。
甲子園常連の強豪校。『門脇くんの才能は我が高校でこそ発揮されます!』なんて言われて、おばさんは大喜び。
しかもお誘いは一つだけじゃない。……違うか?」
門脇は黙然と瑞垣を見詰めている。本当にわかりやすい奴だ。
「高卒でプロを目指すか、先にオリンピックにでも出てみるか。……将来は安泰じゃな、門脇選手」
口元に皮肉っぽい笑みを浮かべ、殊更に明るい口調で畳み掛けると、門脇は眉間に皺を寄せて瑞垣を睨みつけた。
「……お前にだけは、そんな風に言われとうない」
「そういうことやないんか?」
冷たく突き放す口調で吐き捨てると、門脇は何かを言いかけて、それを飲み込んだ。
自分が酷くささくれ立った気分になっているのがわかる。これは殆ど八つ当たりだ。
「……そうじゃ」
俯いて門脇は溜息をついた。
「冬休みに……見学に行ってくる。バッターとして成績が出せれば、授業料とか色々免除にもなるって、言われとる」
瑞垣の心の中が、じわり、と冷えてゆく。
「俺は……甲子園で俺の限界を、試してみたい」
地元ではもう門脇を抑えられる者はいない。前回の大会でも門脇を仕留めたピッチャーは皆無だった。
スタンドへ運ばれる白球を追う門脇の瞳に、複雑な感情が交じるようになったのはいつからだろう。
瑞垣だけがその視線の意味する所を知っていた。
いつかあの白球のように、門脇は羽ばたいてゆくのだ。全てのものを飛び越えて。
「俊と、甲子園で対戦したりしてな」
冗談を言って笑わせようとした門脇を、瑞垣は無表情に見詰めた。
「……甲子園に出たら、テレビ見ながら応援してやる」
酷く喉が渇いていた。声が僅かに掠れている事に、門脇は気がついただろうか。
「俺は、城山に行く。お前とは……同じフィールドに立つ事は、もうないじゃろ」
門脇は笑顔を凍り付かせた。
「城山って……お前……」
「野球は、中学で卒業じゃ。俺の分まで頑張ってくれよ、秀吾」
心にもない台詞をよくもまあスラスラと言えるものだと思いながら、瑞垣は微笑んだ。

……すみません、しばらく続きます…

滴る<したたる>・2 2007/01/22

*
力なく横たわる瑞垣のユニフォームを、門脇が無言で整えている。タオルの戒めが解かれた瑞垣の腕には、青い痣が残っていた。
もう一度強引に昇り詰めさせられ、抵抗する力を失った瑞垣を見つめる門脇の瞳には、何故か酷く傷ついた色が浮かんでいた。
口の中に放たれたそれをもう一度飲み干してしまうと、門脇は押し黙ったまま、瑞垣の乱れた衣服を整え始めた。肉体の疲労と精神の疲労で起きあがることの出来ない瑞垣を労るように、そっとタオルで汚れを拭ってやる。

「……何で」
瑞垣が問いの言葉を発しようとするが、それは途中で途絶え、埃っぽい部室に重苦しい沈黙が落ちてくる。
何で、こんな事を。
いや、違う。本当に問いたいのは。

「……すまん」
門脇の口から出た言葉は、瑞垣の質問に答えてはいなかった。

*

3学期を目前にして、いよいよ志望校を明確にするための三者面談が行われる。
そう聞かされたのは期末試験の最終日。いよいよ来年の春から受験生なんじゃからな、と担任は何故か嬉しそうに生徒達に告げた。
来年はついに中学3年、灰色の受験生活が待っているのだ。瑞垣は溜息をついた。
試験期間中の部活禁止が解け、今日からまた野球部の練習が始まる。
部室のドアを開けようとすると、後ろから唐木が呼び止めてきた。
「おミズ!」
「……元気じゃな、お前……テスト勉強真面目にしたんかよ」
「今更したって無駄無駄。お前とはアタマの作りが全然違うんじゃから」
唐木は瑞垣の皮肉をさらりと受け流し、何かを思いついたような表情をして、問いかけてきた。
「そういや、冬休みに三者面談があるじゃろ。おミズじゃったら選び放題か? ええなあ」
「オレサマは出来が違うからな」
「おミズも門脇も、あっちこっちから推薦の話が来とるんじゃないか? こないだ監督の所に、どっかの高校からのスカウトも来とったじゃろ。やっぱり、凄ぇなあ」
唐木の声には素直な賞賛しかなかった。瑞垣は複雑な気分でその賞賛を聞く。
……実は野球を続ける気がないと知ったら、こいつは何て言うんだろう。
「噂をしたら来た。門脇、三者面談、いつじゃ?」
道具を詰め込んだバッグを背負って、門脇が唐木の後ろに立っている。何故か一瞬、気まずそうな表情を浮かべた。
「ああ……えっと、明後日、かな?」
妙に歯切れの悪い口調だった。何か一言言ってやろうと、瑞垣が門脇と目を合わせる。その瞬間門脇の顔に浮かんだ安堵の色に、瑞垣は何故か、奇妙な胸騒ぎを覚えたのだ。

なんか寸止めですが…次は今週中に更新が出来るといいなあ(涙)

週末更新出来ませんでした… 2007/01/22

週末は仕事が立て込んでいてパソコン立ち上げる暇すらロクになく(泣)
…ということで今から更新です。しかし風呂敷広げたのはいいけどどう畳むんだろう(おい)

滴る<したたる>・1 2007/01/14

一体、何をしてるんだろう。
プレハブの天井が瑞垣の視界で滲んでいる。目に浮かんでいる涙のせいだ。
感情の発露としての涙ではなく、生理的反応としてのそれは、溢れる事も出来ずに瑞垣の眦を赤く縁取るだけ。
もう嫌だ、逃げ出してしまいたい。
意志を伝えたくて、瑞垣は自らの手を戒めていたもう一つの手に、容赦なく爪を立てた。
「……つ」
不服そうな声が上がる。けれどもその声が、瑞垣をまた追いつめるのだ。振動で。響きで。
声の主は、つい先日までは、いわゆる「幼馴染み」と言われてきた同級生……門脇秀吾だった。
しかし、その門脇が瑞垣に施している行為は想像を絶している。
野球のための道具が整然と並べられた部室。
誰もいない部屋で、本来ならみんなが集まった時に座り込んでワイワイと話をする古ぼけたマットの上で。
瑞垣は門脇に口淫を施されているのだ。
後ろ手に戒められ、さらに力だけは無駄に強い門脇に手を絡められて。
瑞垣に出来るのはその門脇の手に爪を立てる事だけ。
「もう、やめ……っ!」
酷く抵抗したのに門脇は怯む事も聞き入れる事もなく、容赦ない責めたてに屈して瑞垣は一度門脇の口の中に精を放ってしまった。
しかし門脇は一瞬だけ顔を蹙めた後にそれを飲み干してしまい、また瑞垣に愛撫を施し始めたのだ。
はしたない水音が部室内に響き渡って、瑞垣は死にたくなる。
一度達して感覚の冴え渡った所に施される愛撫は苦痛ですらあった。しかし、瑞垣の身体は心を裏切って門脇の愛撫を再び受け入れはじめる。
熱を持ち、張りつめる。とろりとしたものが零れ始める。
門脇が軽く歯を立てた。限界まで敏感になっているそれは、痛みすら快楽として受け止める。
「っは……!」
どうしてこんな事に。
零れる甘い声を聞かれたくなくて、瑞垣はぎり、と奥歯を噛み締めた。

(続く)

すみません、タイムアウト…続きはまた来週(ひでえ!)

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