血花繚乱



「っぅ……」
衝撃で歳三は声もでない。
しかし、そのままうつ伏せに押さえつけられ、片腕を捻り上げられて、思わずその痛みで呻き声をあげた。
「いっ! つっ……ぅ」
もがこうとするが、力強く押さえつけられ、また捻られた腕の痛みに、なす術もない。
かろうじて回る頭を後ろに振り向け、狼藉者を見極めようとすれば、それは誰あろう総司であった。
「そう、じっ」
非難の声を歳三は上げるが、歳三には自分の身に何が降りかかっているのか、全く分からなかった。
総司にこんな乱暴な真似をされたのは初めてであったから。
総司は無言で歳三を押さえつけたまま、その裾を思いっきり捲くった。
歳三のすらりと伸びた白い脚や、引き締まった尻が露に見えた。
暴れる歳三の脚を自分の脚で押さえて固定し、空いているもう一方の手で、総司は乱暴に歳三の下帯を外した。
ここまでくれば、歳三も総司が何をしようとするのか、見当がつこうというもの。
身を捩って逃げようとするが、総司に全体重を掛けられたように押さえ込まれていては、なす術はなく畳に縫い付けられたままだ。
逃れられぬまま歳三は脚を広げられた上に、強引に脚を立てさせられ尻を高く掲げる格好になった。
そして、身構える間もなく歳三の体を衝撃が襲った。
総司が解しもせず、いきなり突っ込んできたからだ。
「ぐっ、ぅ……」
慣れているとはいえ、濡れることのない男の尻だ。
前戯も何もない状態では、簡単に受け入れられわけがない、
それなのに、相当の質感を持つ総司のそれが容赦なく貫き犯していく。
後ろ手に捻り上げられ肩口を押さえ込まれた状態では、前に這いずっていって衝撃を緩めることも出来ず、めりめりと呑み込まされていく。
性急な行為は歳三に微塵も快感を与えず、脳天まで突き抜けるような痛みを与えた。
まさしく尻から頭まで裂けていくような痛みだ。
初めてのときですら快感を得られた歳三には、初めての苦痛だ。
その証拠に歳三のものは萎えたままで、自由に動く歳三の唯一の左手が、痛みに畳を掻き毟るだけである。
「いっ……、うぅ、っ……」
締まりきった歳三の尻は、総司にも相当の苦痛を与えているはずだが、総司は全く気にも留めずに突き進めて行く。
「……はっ……は、ぁっ、――」
やがて、全て呑み込まされた歳三は荒い息を吐いて、動きを止めた総司を受け止めるしかない。
いつもは総司に貫かれて、仄かに桃色に染まる背も白く青褪めている。
全て歳三の内部に収めきった総司は、その背をいつにない冷ややかな目で見ていたが、捻り上げていた腕を離し激しく動き始めた。
「いっ! あっ……ぅ」
せっかく解き放たれた腕は総司の指の跡を赤く残しながら痺れていて、逃げ出す役にも何も立ちはしない。
腰を掴まれ総司の楔に繋がれたまま、歳三は激しく揺さぶられるが、潤いのない抽出は痛みしかもたらさない。
歳三の内部の襞が総司に擦られ引き攣れて、痛みのために中が引き絞られ、総司を締め付けそれが更に苦痛を与える。
「ひ、ぃっ!」
無理な行為に、とうとうぴりっと歳三の尻が裂けたようだ。
歳三の背が反り返り微かに血臭が漂いだしたが、総司は血の滑りに助けられたのも手伝って、ますます激しく歳三を犯す。
うつ伏せたまま肩で体を支え、総司に前後に揺すられるのを耐えるしかなかった。
歳三のものに手を絡め扱きでもすれば、痛み多少も和らごうというのに総司は全く触れもしない。
「そぅっ、じ――」
ただ、歳三の中を乱暴に蹂躙するだけして、総司は歳三の中にしたたかに精を放った。
それで解放されると思った歳三だったがその思惑は甘く、総司はそのまま抜かずに動き出した。
すると歳三に包まれた総司は瞬く間に力を取り戻し、歳三を圧迫して苦しめた。
しかし、しばらくして歳三の流す血と、歳三を犯す総司が放った精よって、歳三の中の滑りが良くなりだした。
そうすると現金なもので、総司との交わりに慣れた歳三の体は、素直な反応を見せ始める。
痛みが全くなくなったわけではないだろうが、それすら快感に変じだしたようだった。
きつく締まるだけだったものが、柔らかく総司に絡みつき蠢きだして、総司が触れていない歳三自身からも、蜜が滴りだした。
「あっ……、あぁ…………んんぁ……」
歳三の声も甘く掠れてきて、喘ぎが混ざりだす。
誘い込むように優しく総司を包み込み、総司にも快感を与えだしていた。
それを受けるように総司が歳三を突けば、青白かった背中も艶やかに色付きうねり、歳三は絶頂へと駆け上がっていった。
快楽の壷を総司の太く固い楔で幾度も擦り突かれて、
「あ、あぁ……っ」
反り返った歳三のものが、自身の腹に精をぶちまければ、その反動で総司を食い千切るように締め付けた。
歳三の締め付けのきつさに耐えようとして耐え切れず、総司は歳三の中に再び精を思いっきり放った。
自分が達して絶頂の快感に身を震わせていた歳三は、総司の吐精を奥に受けてさらにびくびくと体を震わせて崩折れていった。
だが、その歳三の背中に冷たい雫が一つ落ちたのを、薄れゆく意識の中で歳三が気づいたかどうか、それを知る術は誰にもなかった。






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