Swords Tour

 Salisbury
  (UK) 2009 Nov 02

 Brentwood
  (UK) 2009 Nov 03

 Alexandra Palace
  (UK) 2009 Nov 05

 Liverpool
  (UK) 2009 Nov 07


Morrissey & The Lads
Morrissey - himself
Boz Boorer - guitar
Jesse Tobias - guitar
Solomon Walker - basse guitar
Matt Walker - drums
Gustavo Manzur - keyboards

This Charming Man / Black Cloud / When Last I Spoke To Carol / How Soon Is Now? / Ganglord / Cemetry Gates / I'm Throwing My Arms Around Paris / Teenage Dad On The Estate / Ask / Irish Blood, English Heart / Why Don't You Find Out For Yourself? / One Day Goodbye Will Be Farewell / Death At One's Elbow / The World Is Full Of Crashing Bores / Is It Really So Strange? / The Loop / Because Of My Poor Education / I'm OK By Myself // First Of The Gang To Die

 ブレントウォードはロンドンから列車で30分程の郊外にある町だ。会場になったLeisure Centreは、さらに駅からバスで20〜30分程離れた町の複合施設でイベント用スペースの収容数は2000人程度とのこと。今回は全席指定のオール・シーティングだった。

 前後にロンドンでの公演が何会場かあったこともあり、利便性の良いとは言えないこの会場までわざわざ観に来るのは、何会場も回る特別熱心なファンたちか、あるいは地元の人たちといった感じだ。

 ブレントウォードのチケットは、購入時にWill Call(会場渡し)のオプションがなかったため自宅送りにしていたのだが、私の日本出発までに配送が間に合わなかった。チケットマスターには、会場に直接届けるよう手配をお願いするメールを送ったが無しのつぶてだった。電話で問い合わせをしてくれた友人によると、彼らは顧客からのメールに対する確認、返信は早くとも27日後になると答えたそうだ。問い合せフォームの意味が全くない。

 まあ、直接電話でやり取りする英会話能力のない私が悪いのか……い、いや、待て待て、ウェブサイトの案内に「出発10日前までにチケットが届かない場合は問い合わせフォームで知らせてくれ」と表記してあるくせに、返信一つまともにしようとしないチケットマスターの方が絶対に悪い。ちゃんと10日前に問合わせても、27日後の返信ではそもそも間に合わないだろ。結局のところ、ついぞ返信はこなかったし。

 仕方ないので、会場のボックス・オフィスに直接掛け合い、購入時のメールを見せて中に入れてもらえた。ここでは「わたし、にほんからきました。にほん、しゅっぱつするまえ、ちけっと、とどかなかった。ちけっとますたーはくそです」という、私の拙い英語がかえって説得力を醸し出したのかもしれない。何にせよ、今回は全席指定だったので良かったが、もしスタンディングだったら、その場で少しモメていた恐れだってあった。

 中に入れて一安心。最前列に空席を見つけて忍びこむ(おそらく関係者用にキープされていながらも、誰も座ることのない席だ)。そしてサポートバンドのDoll and The Kicksの熱烈ファンを装いつつ、ステージ前の柵を掴んでスタンディング・ポジションをキープする。私なんかは遠慮しいしい一列目に座っている人の視界を遮らない場所を選ぶが、他の人はおかまいなしで前に立つ。勿論、彼らだって一列目のチケットなど持ってはいない。だが、セキュリティも特別注意はしない。先にやったもの勝ち……の世界である。

 さて、モリシーは黒いシャツにダメージ加工をしたジーンズで登場。本当にジーンズが似会う。素敵。

"When Last I Spoke To Carol "での、顔の横で手を叩く振付はフラメンコを意識しているのかな、と思うと愛らしい。しかし、モズに合わせて手拍子をする観客は意外と少ない。私はちゃんとするよ。……いや、別に求められているわけではないが。

 愛らしいといえば、"Ask"のリリック・チェンジ部分"If it's not love/Then it's military might/Then it's macho military might that will bring us together"で、言葉の意味はともかくとして"macho"、"military"、"might"と続くMの発音が、むやみに可愛らしいと思うのは私だけでしょうか。

 歌と歌の合間に一人の男性が最前列からステージに飛び上がってモリシーの前に跪き、手にキスをした。モリシーは「またお前か〜、仕方ないなぁ」という顔をしてキスを許していた。

 この日のモリシーはあまりお喋りではなかったが、その代わりアンコール前に数人の観客に「何か言うことはある?」とマイクを渡していた。渡されたうちの一人が、緊張のあまり「Some girls are bigger than others!」と口走っていたのが面白かった。モズは「?」って感じで肩をすくめてスルーしていたが。他にも、「俺はジーザスは許していないが、スウィンドンは許すよ」と言った人に対しては、スウィンドンについては触れてほしくなかったのか「君、スペイン人?」とかわしていた(※10日程前に、モリシーはスウィンドン公演の最中に呼吸困難を起こして公演を中止、病院に運ばれている)。

 ところでこの会場、先述したとおり駅から離れた住宅街の外れにあり、困ったことに、アンコールを最後まで観ていると駅行きの最終バスが出てしまう。更に、次のバスは1時間近く待たされる上に、駅前のホテルまで徒歩で30分近くかかりそうな場所までしか行かない。真夜中に暗い道を一人で歩くのは怖いし、駅行きの最終バスに間に合うようアンコール前に会場を出た方がいいかと迷っていたが、結局のところ、いったんショーが始まってしまったら、最後まで観ないなんてあり得なかった。

 アンコールの"First Of The Gang To Die"も、しっかり皆と合唱して、終演後にはセキュリティからモリシーがステージで飲み残したペットボトルをせしめた。もしかしたら、ジェシーのボトルという可能性もあるが、モリシーと思うことにする。ちなみに"Buxton"という結構お安めのメーカーだ。

 さて、会場を出て、どうやって帰ろうかと思っていたところ、幸運なことに同じく駅まで行く年配のご夫婦がタクシーをシェアしてくれ、無事にホテルまで辿り着けたのだった。ご夫婦でファンだなんて羨ましい。あの時の親切なお二人、ありがとうございました。