『魅惑のラッキーガール♪』
ここ、都内某所のBFアリーナでは新春特別マッチが開催されている。
男子のランキング一位である加持勇人(かじゆうと)と、女子のランキング一位の女子との対戦。
その第2ラウンド開始直後のことだった。
素早く踏み込んで対戦相手の胸へ伸びた勇人の指先が女子に受け止められ、やんわりと握られた。
「フフ、お好きなのですね……」
「ッ!!」
動きを先読みされた勇人は赤面する。
少しだけつり目だが優しげな表情の美少女が目の前で微笑む。
責めるような言葉遣いでもないのに、彼女の穏やかさがかえって勇人への哀れみに感じてしまう。
(ふざけるな、このおおぉぉぉ!)
ちょっとした怒りと焦りに任せ、勇人が掴まれていた指先を引き抜く。
しかしその前に彼女が動いた。
彼の引き手に合わせての体重移動。
もちろん指先は掴んだままだ。
サラサラした黒髪が勇人の目の前で揺れていい香りがした。
「なっ……!」
強引に振り払ったはずなのに、逆に勇人の腰が抱きしめられていた。
少女は空いている反対側の手のひらでそっと彼の背中を撫でる。
(ふああああぁっ!)
勇人は妖しげな感覚に身を震わせてしまう。
抜け出そうとする力に逆らわず身を任せるようにして距離を潰して密着されてしまったのだ。
そして先程から指を掴んでいた美しい手は、勇人の手首へ絡むように一旦滑ってから違う動きを見せた。
キュッと優しく指先同士が絡み合い、まるで恋人繋ぎのようにさせられてしまった。
(ううぅぅ、何故こうも先回りされてしまうのか……)
すべすべした女の手の感触を味わいながら勇人は戦慄した。
自分の動きが完全に相手に読まれてしまうもどかしさと焦り、屈辱が彼の中で渦巻いている。
「そんなに慌てなくてもラウンドは始まったばかりですよ」
そんな彼に向かって柔らかな物腰で美少女は言う。
思い返してみれば第1ラウンドから加持勇人は圧倒されっぱなしなのだ。
彼女の名は鷹富士茄子(たかふじかこ)という。
リングでは「幸運の女神」とか「ラッキーガール」などと呼ばれている。
一年に数回しか地下バトルファックの舞台に出てこないこの少女は、現役アイドルと言われてもおかしくないほど端正な顔立ちをしている。
実際に表の世界ではアイドルとしてある程度名前は知れ渡っている。
勇人がその方面に疎いので知らないだけなのだが、集まった観客の顔ぶれや声援を見る限りそれなりに有名人だとわかる。
今日の観客は男性の比率が高い。
そして茄子についてバトルの勝率だけで言うならば文句なしで女子ナンバーワンだ。
何しろ黒星がないのだから。
敗北した男の中には加持勇人の同期や後輩の男子プロも居た。
対戦前の下調べとして彼が数名にヒアリングしたところ、共通していたのは「決め手が何なのかわからない」ということだった。
終始ペースを握れずに混乱したままだったと敗北した彼らは言い訳していたが、それも今の勇人にならわかる話だった。
茄子は全く掴みどころがない相手、と言える。
1ラウンド目は勇人が得意な立ち技が中心だった。
先に打撃でリードして衣装を剥ぎ取ってしまえば大抵の女子は羞恥心でおとなしくなる。
しかしなかなか彼は茄子に触れることすらできなかった。
露出度の高い和服、振り袖のような衣装をまとった彼女は、舞を踊るように勇人の攻撃を避け続けた。
しかも避けるときに必ず軽い一撃を置いてゆく。
勇人が左ジャブを放てば懐に潜り込んできて右肘を胸に当て、返しの右フックに対しては左の掌底をアッパー気味に顎へ入れてくる。
威力はないがどれも厄介な返し技だった。そして何より苛立ちがつのる展開。
おかげでラウンド後半はにらみ合いが続いた……もっとも睨んでいたのは勇人の方で、茄子はにこやかな表情を崩さなかったが。
(ふざけやがって……!)
勇人は改めて彼女の姿を舐めるように見つめて分析する。
身長は160センチの中頃、女性としては高い方なのだろう。
とにかく細身で、力比べなら彼が絶対に負けることはないだろう。
顔立ちはとても美しくバストも大きめだが爆乳と言うほどでもない。
むしろこれくらいのボリュームならそのへんの女子プロで見慣れている。
精神的に取り乱すほどではない、と勇人は冷静に判断する。
つまり彼女に身体的な優位は少ない。
それなのに彼はことごとく主導権を握れない。
(何故だ? 俺のリズムが完全に狂わされている気がする……)
体調管理に問題はないはずなのに、鷹富士茄子の前では加持勇人本来の力が出せていない。
「おりゃあああっ!!」
その焦りを背に乗せた不用意な一撃。
彼はがむしゃらに、暴れるようにして茄子を突き飛ばした……はずだった。
「まあ、元気のいいこと」
自分へ襲い掛かってきた拳を軽く避けながら、大して驚いた様子もなく彼女は笑う。
勇人が体を跳ね上げる寸前に自分からスッと体を引いたのだ。
「もう少し楽しませてもらえそうですね♪」
距離にすればほんの2メートル弱だが、勇人には試合終了までがかなり遠くに感じた。
この少女に勝つための道筋が見いだせていない。
(それにしても厄介な相手だ……)
肩で息をしながら勇人は茄子を凝視する。
こちらの打撃に関しては確実にカウンターを入れてくる。
今のところ致命打は受けていないが、ダメージの蓄積は確実に残っている。
何よりもこちらの技を避けるときに見せる度に自然と目に飛び込んでくる彼女のくびれた腰つきや、和を意識した衣装から零れそうな美乳もたまらなくセクシーだった。
「そろそろ様子見は終わりで良さそうですね」
「!?」
鷹富士茄子の口元が少しだけ緩む。
そして彼女が腰を落とした瞬間、本能的に勇人は後方へと飛び退いた。
(やばいっ、距離を保たないと確実にこれは……うああああああっ!!)
彼の動きにかぶせるように身を寄せてきた茄子だったが、スピードが違いすぎた。
ほんの一瞬で距離を潰し、ほっそりとした足首で勇人の膝裏を小突いて転ばせた。
そのまま自分は彼の上に倒れ込み――、
気がついた時にはもう勇人は天井を見上げていた。
「ふふふ、掴まえちゃいました。ここからは寝技で熱くなりましょう?」
ペロリと舌を出しながら彼女が微笑む。
そして細い手足で上から彼を押さえ込みに入った。
「がっ……く、くそっ……ぅ」
苦し紛れに伸ばした彼の腕をいなすように茄子は丁寧にさばいてゆく。
徐々に体を折りたたまれていくような圧迫感がじわじわと勇人に焦燥感を与えてゆく。
(こんな体勢すぐにひっくり返してやる……おらっ、おらあああ!)
勇人は左右に体を揺さぶり馬乗りになっている少女を振り落とそうと試みる。
「あんまり暴れないで下さい。すぐに気持ちよくなっちゃいますから」
「なっ……」
ほんの一瞬だけ茄子が彼の目の前で右手を見せつけた。
手のひらを自分の方へと向けているので綺麗に整えられた爪と真っ白な指が勇人にはよく見えた。
そのままゆっくりした動作で手のひらが股間へと滑ってゆく――。
「ぅあっ! んぐうううっ!!」
勇人は自分の口から溢れる情けない声を押し殺すことができなかった。
試合用のパンツの上から手のひらを押し当てられただけなのに、思わず射精してしまった気分になる。
目の前で微笑む対戦相手の顔と、重力に従って柔らかそうに揺れるバスト、そして密着している体の感触が全て快感となって彼に流し込まれていた。
「私の手、気持ちいいでしょう?」
「くふっ、あ、あああぁぁ!!」
彼女の美しい唇が勇人の左耳に近づいた。
加えてペニスに添えられた指先は彼の弱点を探るようにじわじわと快楽を植え付けてくる。
オナニーでは到底得ることのできない心地よさをわずか十秒程度で何度も味わっている勇人。
異性と触れ合う経験が浅い彼にとってはすでに射精までカウントダウン間近だと言うのに、茄子は容赦なく追い打ちをかけてきた。
(もしも一度イったあとに触れられたらどうなると思いますか?)
その言葉に勇人が小さく震えた。
淫らな妄想が否応なく彼の脳内で渦巻き始める。
美少女に密着され、上からのしかかられた状態。
さらに会場内でただ一人彼にしか聞こえないような甘い囁きは続く……。
「い、イったあと……あうっ、ひいいぃぃ!」
またしても情けない声を上げてしまう勇人。
そっと添えられた少女の指先が僅かにじわじわと亀頭を嫐るようにうごめいたのだ。
的確に感じるポイントを指先で刺激しながらも茄子は押さえつける力を緩めない。
こんな華奢な少女に抑え込まれたまま彼は呻くことしかできなかった。
「優しくスリスリすると、だいたいの男の人はすぐにまた元気になっちゃうんですよ。フフフ♪」
「ば、馬鹿な……そんなことがあるわけ――」
「本当ですよ~? ほらぁ」
茄子はいたずらっぽく笑いながら今度はゆっくりと手のひら全体を波打たせてきた。
すると不思議な事にペニスはさらに硬度を増す。
(ああああぁぁ……なんだよこれえええぇぇ!)
まるで上限なしで硬くさせられていくような感覚に勇人は戸惑う。
極上の手触り、それもまだ直接触れられたわけでもないのにこの快感……
すでにヌルヌルになっているパンツの中をゆっくりと焦らされながらシェイクされ、勇人は無意識に自分から腰を上げて彼女の手のひらの刺激を求め始めていた。
ギュッとつむっていた目を恐る恐る開けてみれば、目の前には茄子の美しい顔があった。
「ふふ、おかえりなさい♪」
「ああぁ……ッ」
視線が交差しただけで彼の羞恥心がさらに煽られる。
とりわけ大きな瞳で優しく見つめられていると自らの痴態を意識させられてしまう。
「クスッ、だんだんいい表情になってきましたね。かわいい……」
ヌリュ……クプッ、チュクゥ!
「ぐ、ああぁぁ!!」
ふいに指先で裏筋をなぞられて勇人は悶絶した。
彼女の綺麗な爪がカリカリとつなぎ目をくすぐっている。
(ああああぁ、もう直接触って欲しい! もっと触ってくれえええ!)
そう言いたくなる気持ちを必死で堪える。
対戦相手への懇願など意地でもすることはできない。
歯を食いしばる彼の額に、コツンと自分の額を当てながら茄子はつぶやく。
「もう一段階上の気持ちよさをすぐに味わうことになりますから楽しみにしてて下さい」
体重も身長も俺が有利なはずなのに返せない!!
その思いがますます彼を窮地に立たせる。
(く、くそおおおっ!)
まるで体中の力をあの手のひらに吸い取られているかのように、勇人は弱々しく彼女の下で悶えることしかできなかった。
「さあ、早く抜け出さないともっと気持ちよくされちゃいますよ。それとも、もう抵抗は終わりですか?」
「誰が終わ――、ッあああああっ!!」
勇人の覇気をあざ笑うように、茄子の細い指先がパンツの隙間から内部へ侵入してきた。
ツルツルした指先は潤みきっているペニスの先端をチョンチョンと軽くノックしていた。
「はうっ、ああ、あああああー!!」
勇人は恥を気にせず叫びながら首を横に振る。
ただそれだけなのにとんでもない気持ち良さだった。
美少女の指先、それもたった一本の指で射精してしまいそうな自分が勇人は許せなかった。
しかしそれ以上に現状は待ち望んだ状況……
彼女に直接触れられているという事実だけで気を抜けば達してしまいそうになのだ。
この上ない力で快楽に抗う勇人に対して、彼女はにこやかな笑顔を変えない。
「慌てることはないですよ。ゆっくり私に溺れてしまえば良いのです」
クニュ……ニュチ、クチュクチュクチュ♪
「うはああっ! あ、ああっ!」
さらにパンツの中で指先が翻り、勇人のペニスへ新たな快楽が流し込まれる。
激しく首をふって抵抗する彼を余裕たっぷりに見下す茄子に対して……
(選択肢)
1・「絶対お前なんかに負けるものか!」と叫ぶ
2・「このまま手のひらで気持ちよくして欲しい……」とお願いする
3・「できればおっぱいで……」とお願いする
4・「せめてアソコの中に入れてくれ」とお願いする