奇跡のためにクリスマスを利用するはなし
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カミュはふと、しごとにでかけた海賊たちのことを
おもいだしました。
「おじさんは、まものは倒せる?」
おじさんと呼ばれた妖精の友だちは、どうようしました。
「そうだねえ、つよくてわるいまものなら」
「つよくてわるい、イカのまものだよ!」
カミュがこえをあらげると、マヤもかせいにきました。
「海賊でもかなわないんだ!
「おうさまのふねが帰ってこれなくて
冬至のおまつりも、ほどこしもない!」
それは、こらしめにいかないといけないなと言って
妖精の友だちは、にもつから笛をとりだしました。
いきもののなきごえのような、短いうたをかなでると
からだが光って――
3人は、しろくてやわらかい何かのうえに降りました。
そこは、船のマストの一番うえまでのぼったときのように
星が近くて、みなもが遠くにありました。
「オレたち、雲のうえにのってる!」
カミュはこうふんして言いました。
それはほんとうは、大きなくじらのうえでしたが
くじらは何も言いませんでした。
妹は、こわいと言ってマントにしがみついています。
妖精の友だちがカミュに聞きました。
「まずは王様の船を見つけよう。どこに向かったかはわかる?」
「クレイモランの冬はこおりの海だから、
南にしかふねが出せないんだ。
"うんが"をぬけないと、どこの国にも行けないから
王様の船の"こうろ"はひとつだよ!」
地図でよく見たそのままのけしきが真下にあるので、
カミュはすぐにわかりました。
はたしてカミュの言うとおり、王さまの船は
航路の途中の北の島に停まっていました。
王さまの船は大きくてごうかなので、すぐにわかります。
「みんなー! いまからイカたおしてくる!」
カミュは空のうえから海賊たちに呼びかけましたが
船のほうではとつぜんあらわれた空とぶくじらに
上を下へのおおさわぎ。
3人をのせたしろいくもは、イカのまものをさがして
波のあいだをなめるようにとんでいきます。
船を見つけた北の島からクレイモランへ
しばらくすすむと、にわかに海がもりあがり――
ざばあと空まで届くしぶきをあげて、大きなイカがあらわれました。
イカのまものは、長いしょくしゅを宙にのばして
空とぶ船を海のそこに引きずり込もうとねらいます。
「これは強そうだ、ちょっと暴れるよ」
海賊船でくらすカミュとマヤは、シケた海にはなれっこです。
妖精の友だちは、しろいくもに声をかけて
まもののこうげきをひらりひらりとかわします。
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