内容:拍手オリジナル
父×子。両性具有風味。鬼畜エロです。花珠の別設定含む。
「ごめんなさい、ゆるしてください……、ひッ」
「わるい子だな、奏(そう)」
男が握った細い鞭が剥き出しの背中に振り下ろされる。
細く悲鳴を零して、奏は冷たい大理石の床の上に這いつくばった。
肌を破かない絶妙な力加減で鞭を振るい、奏の背中を真っ赤に腫れ上がらせた男は、すすり泣く奏をやさしく宥めながら丁寧に薬を塗った。
「ごめ……ごめんなさい……」
「何を謝っているんだ?奏、何をしたと?」
薬を塗りおえた手を拭い、震える体をベッドの上で抱き起こす。
男の張りのある甘やかな声にびくりと熱をはらんだ背を凍えさせ、奏はからからに干上がった喉を震わせた。
「く、……薬、飲まなかった……」
「そうだ、奏。それはいけないことだ」
痛みと恐怖で揺れる双眸を満足げに覗き込んだ男は、とめどなくあふれる涙を舌先に吸い取り、瞼や頬をついばむ。
根気よく、ほっそりとした少年の体からこわばりがとれるまで、男は優しい動きで口づけをふらせた。
髪を撫で、背に触れないようにまわした腕で肩を抱く。さきほどまでの残酷さは微塵もない。唇を重ねて丹念に口腔をなぶる男の舌におずおずと舌先を伸ばした奏に、男は笑みをうかべた。
精悍な顔立ちに鍛え抜かれた張りのある体。切れ長の双眸と薄い唇から匂い立つような獰猛さ漂わせた男、深嶋井陣(みしまい じん)は腕の中にすっぽりおさまる体を愛おしげに抱き寄せ、花びらのように可憐な唇を潤すように何度も唇を重ね、小さく覗く皓い歯を丁寧に舌でなぞり、舌を絡めて吸った。
「ん…、ふ……」
心地よさげに鼻から息をこぼし、自ら男の背に腕をまわす。
よりいっそう抱き締める腕の力を込めた男は、耳もとに唇を移し、耳朶を甘噛みして、ゆっくりと舌先を舌へと落とした。
「奏」
「あ…、んん、…」
「奏。おまえは俺の子だ。だから分かるな?罰を与えるのはおまえが憎いからではない。おまえを思ってのことだ」
「………、はい……父様……」
大きな瞳を潤ませたまま、こくんと頷く。
そこにはわずかな怯えがのぞいていたが、従順な動きだった。男はよい子だ、と囁いてふたたび唇を軽くついばんでやる。
奏は今年13になったばかりで、まだどこかしら稚い雰囲気を残していた。ほっそりとした手足にふっくらとやわらかな頬。折れそうに細い首筋には、淫らな紅い痕をつけていた。男が吸い付いた痕だ。
鋭い双眸を細め、口もとの笑みを深くした男は、慈愛に満ちあふれた眼差しを少年にそそぐ。
奏には男の視線を逃れ、抗う術は残されていなかった。
本当は帰りたくない。
屋敷に父が帰ってくる日。奏の足取りはいつも重くなる。
屋敷からほど近いところにある軍の幼年学校に在籍している奏は、備え付けの寮には入らず、自宅から通っていた。
幼年学校には貴族の子弟が多く通っており、だいたいの生徒が卒業後、上級士官学校に入る。奏は同級の子どもたちより線が細く、華奢で、熱を出すことも多かった。貴族の子弟向けのゆったりとした教育課程ですら体力が足りず、いつも苦労している。
幸い学力の方では良い成績をおさめており、軍の中でも実際の戦場に出ることが少ない、研究科の方に行けば良いと言われていた。
研究科は武器の開発や糧食の開発、医療技術の発展などに携わっている部門で、内勤が主だから、おそらく奏でもなんとかやっていけるだろう。
奏は体力がないからといって、軍人ではない別の道に進むことは出来ない。
深嶋井家が代々軍人を輩出してきた家系である、というだけでなく、奏の父、深嶋井陣が国軍の総司令だからだ。
陣は国軍の総司令官という地位を足がかりにして、いずれは国防だけでない、国の中枢に携わっていくだろうと言われる大物貴族だった。国王の覚えもめでたく、彼の母は王家の血筋に連なるから、黙っていてもある程度の地位は転がり込んでくるという立場である。
彼には3人子どもがいて、奏はその真ん中だった。
長男はすでに国軍の中で働き、前途を嘱望された将校だ。
ひとつ下の弟は優れた運動神経だけではなく、誰もが目を瞠る優秀な頭脳を持ったとても利発な子どもで、おどおどと言葉をつまらせることが多い奏の方が弟だと思われてしまうほどである。
そのふたりの間に挟まれた奏はいつも人の顔色を伺いながら、息を殺すようにして日々を過ごしている。奏には秘密がある。どうしてもそれを知られるわけにはいかなかったから、どうしても慎重に、身をひそめて生きていかねばならなかった。
「奏。おまえがこっそり捨てた薬は何包だ?」
「………っ」
鞭で打ち据えられただけで罰が済んだと思っていた。父の腕の中でうとうとと微睡みかけていた奏ははっと体を起こした。
その動きで背中がぴりと痛んだが、それさえ分からなくなる怯えが全身を貫く。
思わずそむけた顎を指先でつまみ、男は息子の顔を自分の方へと向けさせた。
「正直に言ってみなさい」
「……、さ、3包……」
1度に1包ずつ飲む。日に決められた数があるわけではなく、専属の薬師が藍葉の体調をみながら回数を決めた。
うろたえながらも正直に答えた奏の頬を撫で、陣はベッドの傍らにあるサイドテーブルに手を伸ばし、引き出しの中から白い薬包を取り出した。
1回分の粉薬が入れられた包みが6つ繋がったものだ。
無言で差し出されたそれを見つめ怯えた顔を晒しながらも、受け取らない限りゆるされることはないだろう。奏は意を決して手を伸ばし、半分の包みを切り取ろうとする。その手を陣の視線が薙ぎ払った。
「何をしている?」
「え……」
「誰が半分で良いと言った?全部飲みなさい」
「で、でも。飲まなかったのは……3回分……で…す…」
弱々しく訴える奏を冷ややかな眼差しが捉える。
怒りを含んだ視線にはぞっとするほどの威圧感があり、酷薄さが漂う。ごく一瞬のひと睨みは、奏を震え上がらせるに充分なものだった。
陣は奏の手のひらに薬包を持たせ、サイドテーブルに用意された水差しからコップに水を注ぐ。
コップいっぱいに満たされた透明な水を泣きそうな顔で見つめていた奏は、促されて、ゆっくりとひとつずつ白い包みの中身をコップの中に溶かし込んだ。
手もとが狂ってこぼしたら、叱られる。それが分かっている奏の動きはひどく慎重になり、ひどいのろさだったが、陣は黙っていた。どうにか最後のひと包みまで入れ終えると、水割りをつくるための用意された細い棒を使って、丁寧にかき混ぜる。
6包の薬を溶かし込んだ水は次第に透きとおり、やがてはどこにも白い粉が見えなくなる。
そうなってからおもむろに差し出されたコップを前に、奏の顔は青ざめていた。
受け取るために伸ばされた指先が震え、こわばる。それでも奏はそれを受け取り、ためらいを振り払うように一気に飲み干した。
父を待たせるだけ、あとでひどい目に遭う。それが分かっているから、奏はそうするしかない。
最後の一滴が喉を通っていく。舌先に苦みと痺れが残っていた。
ふだんはこの後、頭がぼうっとして眠り込んでしまうことが多い。だが、1度に多くを飲めば、別の効果をもたらすことを奏は知っていた。
そしてそれはほどなくして現れる。
どくりと心臓が震え、体中に焔の雫を落としたような熱が広がっていく。
その熱は下腹部に奇妙な疼きをもたらし、つい最近精通を迎えたばかりの幼い陰茎をささやかに固く張り詰めさせた。
その下の窄まりは小さく喘ぎ、まるで何か待ち望むようにひくつく。
変化はそこだけに留まらない。
奏の下肢には秘密があった。陰茎と後肛の間。
ふだんはうっすらと古傷のような痕を残すだけのそれが、みるみるまに口をひらいて、やわらかに綻び出す。
シーツにそこが触れるのがいやで、わずかに腰をうかせた奏は足を取られて横倒しになり、大きく片足をひろげた形で押さえ込まれた。
「いっ、いや…っ」
「ひらいてきているな」
「さわらないで、…や、…ぁ…っ」
ぐちゅ、と濡れた音が響き、紅く割れた箇所に指を埋められた奏は全身をわななかせ、抗ったが、鍛え抜かれた男の体がますますきつく奏を押さえ込んだ。
そうしている間も薬によってもたされた熱は奏を蝕む。
こらえきれずに息をあげ、熱っぽく瞳を潤ませた奏は、父の指の動きによって浅く悲鳴をこぼし、体の奥底からわきあがる快楽のうねりにすすり泣いた。
「たっぷり蜜をだして。ここまで濡れているぞ」
「……や、…ぁ、っ」
切れ込みの柔らかさを確かめるように蠢いた指が呆気なく抜かれたのも束の間、姿を現したばかりの花裂をなぞり、そこからあふれた分泌物を絡めた指先が奥の窄まりへと触れた。とっさに力を込める奏のささやかな抗いなどものともせずに、つぷりと埋め込まれる。
淫らな動きで抜き差しを繰り返し、襞を圧し広げるように蠢いた指は、奏にどうしようもない嫌悪感と悦びの両方をもたらす。
奥へ奥へと侵入する指を恐れて腹に力をこめれば、甘く痺れるような快感が背筋を駆け抜ける。それで思わず力を抜けば、指を足され、内奥を犯す動きはますます烈しさを増した。
「ゆるして、…、ゆるして、父様……っ」
「そのように締め付けるな。指を持って行かれそうだぞ」
涙に煙る視界のなかで、父が口もとにうかべた笑みが見える。
奏は自由になる腕をよじらせ、シーツを掴んでわきおこる衝動を懸命に逃そうとした。
固く張り詰めた陰茎はすっかり勃ち上がり、先端からつやつやとした雫をあふれさせている。
指は3本に増やされ、内臓を圧し潰されるような不快感や苦しさは相当なものになっていた。
指の腹や折り曲げた関節を使って、陣は丁寧に固く窄まった後肛を解していく。
恥ずかしい水音が耳を灼き、熱をはらんだ吐息に甘さが混ざり出し、頬の火照りは涙を乾かしそうなほどだった。
父に淫らなことをされている。
そしてそれに感じている。
羞恥と、絶望と、それを上回るような体の歓びが奏の頭の中をぐちゃぐちゃにして、焦りと動揺をもたらす。
半ば恐慌状態の中、埋め込まれた指がずっと避けていた固いしこりをひっかき、抉って、快感のフタが外されたみたいに全身がわななく。奏は鼻から抜けるような甘い吐息をこぼした。
「そこ、…や、…だめ……っ」
とっさに力を込めて指を追い出そうとした奏の反応は、逆により指を感じる羽目になり、奏を追い込んだ。
「あ…、ぃぁ…っ」
「1度達け」
シーツをつかんだ握り込んだつよさで白く青ざめ、それと反比例するような目尻の朱色が奏が感じている快感のつよさを物語る。
こらえようも、逃れようもなく、やがて奏の先端からぱたぱた精がこぼれた。
「もう…、もう…、ゆるして……お願い……」
「どうした、奥孔だけで達したのがそんなに辛かったのか?」
どこでが問題なのではない。達かされたそのこと自体が辛かった。
しかし涙に喉をつまらせた奏にはそれを伝える術がなく、腹にかかった白い飛沫を拭われている間すすり泣くことしかできないでいた。
「奏。何がいやだ?花珠を孕むのが恐いのか?」
「それ、それも…、……」
「奏は俺の花珠を孕みたくないと?」
「ちが、違う…、でも、明日も学校が……」
父の眼差しに青ざめながらも、奏は1度達してもおさまることがない火照りに細かく肌を震わせていた。
陣は奏の体を引き寄せ、後ろから抱きかかえて小さく尖った胸の粒に手のひらを這わせた。
声を震わせながらもどうにか口をひらこうとする奏に、陣の指がきゅぅと、粒をつねる。それだけで奏は言葉を奪われ、こねられながら爪を立てられると、過敏になった肌がいつもよりもつよい痛みを発した。
「と、父…、様……」
「それでは、孕みたくないと言っているようなものだ」
「い、ぁあ…ッ」
返答を間違えた、と感じたが、弁解はゆるされなかった。
首筋に歯を立てられ、引きちぎらんばかりに小さな粒を捻られる。
あまりの衝撃にがたがたと震えた奏の瞳から大粒の涙があふれて落ちた。
陣は痛々しく腫れた紅い粒をゆっくりこねまわし、奏の体をまわして正面を向かせ、膝の上に抱きかかえる。
「痛かったか?ン?」
薬によってふだんより敏感になった奏にとって、薄く血がにじみ、腫れ上がるほどの責めなど酷い拷問でしかない。
鞭で傷ついた痛みさえも吹き飛んだ様子で青ざめ震える奏に、陣はやわらかな笑みをうかべてみせた。
「大丈夫だ。ちゃんと乳首は残っている。ねじきってなどいないよ。血もほんの少ししか出ていない」
傷の浅さを分からせるように舌でくるんで、そっと舐めなぞる。
あやすように膝を揺らし、奏の顔に少しずつ血の色が戻るのを待って、陣は猛り高ぶった自身をそっと奏の腹に押し付けた。
その硬さと熱に、奏の目がぎょっと見開かれる。
「と、父様…っ」
「奥孔はいやだと言うなら、花裂を使ってみようか?奏?そうすれば花珠は孕まずに済むかもしれんぞ」
「だ、だめ…っ」
慌てて奏はかぶりを振った。
今もぬめりを滴らせ、浅く唇を綻ばせた花裂で男を受け入れるなど到底考えることが出来ない。
奏は花人だ。後肛に精を注がれることで花珠と呼ばれる透きとおった丸い珠を孕み、それを花裂から生み落とす。
王侯貴族の中でも一握りの人々の中で受け継がれてきたのが花人という存在で、彼らが孕む珠は怪我を治す妙薬とも、あるいは若さを保つための秘薬にもなると言われている。
誰もが花人をつくれるわけではなく、誰もがなれるわけでもない。
特別な薬効をもった花からつくった薬を定期的に摂取するだけではダメだ。花師と呼ばれる特殊な技能を持った人々から丁寧な管理を受けてやっと、花人は誕生する。
花人の証でもある花珠を通すための花裂は、ふだんはその姿を隠していて、指で触れても分からないぐらいぴったりと口を閉ざしていた。
花珠を孕んだ時にその姿をあらわすものだが、今回のような薬の飲み方をしたり、あるいは体調によってはあらわれる。そうして姿を見せた花裂に直接精を注ぎ込むと、稀にここでも花珠ができた。
だがそれは通常のものとは違って歪だったり、あるいは花人の気が触れるほどの快楽をもたらしたりする。
通常の花珠さえ苦痛を覚えている奏が、そこので交接を受け入れるはずがない。
それを十分承知した上での陣の問いかけは、もはや罠とも呼べない定められた仕掛けだった。
「なら、どうする?奏」
「こ…、…ここに、して……」
「ここ?」
意地悪く尋ね返す相手に頬を強張らせながら、奏は差し出された手を指し示す場所に導かなくてはいけなくなる。
「ここだな」
「ん…、そこに、そこに…して…」
こくりと頷く奏の双眸から、つう、とひと筋涙が伝う。
その雫を愛おしむように舐めとり、男は己の高ぶりを指し示された場所にあてがった。
凶器のようなそれが容赦ない勢いで後肛に突き立てられる。奏は全身を灼きつくすようにあふれる歓びに身悶え、夢中でそれを受け入れた。